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ルイーズに訪れた恋は・・・
P.S.

2006年9月9日銀座テアトルシネマ他全国順次公開

story

ルイーズ・ハリントン(ローラ・リニー)は、コロンビア大学芸術学部の入学選考部で部長を務める39歳独身。同大学の教授ピーター(ガブリエル・ バーン)と離婚したばかり。毎日大量の入学願書と絵画に目を通し、平凡だけれども充実した生活を送っていた。
そんなある日、彼女は一通の入学願書を目にし、衝撃を受ける。そこには高校時代に交通事故でなくなった初恋の彼スコット・ファインスタウトと 同じ名前が記されていたのだ。ルイーズは彼に会いたい一心で特別に個人面接をセッティングする。

面接に現れた学生スコット(トファー・グレイス)は、20年前に亡くなった恋人、そのものだった。しかも声や癖まで同じだったのだ。 青春時代の想いが蘇り、ルイーズは息が止まりそうになる。スコットが描いた絵は、どれも目を見張るほどの素晴らしさで、面接が進む中ルイー ズは初恋の彼スコットと一緒にいるような気になってしまう。
そんな二人が恋に落ちるのに時間は掛からなかった。二人は楽しい時間を過ごすのだが、その一方で、彼女は一抹の不安を抱いていた。スコッ トにとって自分は大学に入学するための道具でしかないのではないか。自分は彼には年上すぎるのではないかと。

ルイーズの高校時代の友人ミッシー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、ルイーズに恋人ができたことを察知し、本人から聞きだそうとする。しかし、ル イーズは彼女にスコットのことをひた隠しにする。なぜなら、高校時代ルイーズと付き合っていたスコットを奪ったのがミッシーだったのだ。偶然に も、ミッシーがルイーズの部屋に電話した際にスコットが電話に出てしまい、 ミッシーはスコットの存在を知ってしまう。
ついに、ルイーズは初恋の彼のことを、スコットに告白する・・・。

 

キャスト
ローラ・リニー
トファー・グレイス
ガブリエル・バーン
マーシャ・ゲイ・ハーデン
ポール・ラッド
ロイス・スミス
 





プロダクションノートより
ディラン・キッド監督が語る

”Roger Dodger”(前作)が、テンションの高い夜のニューヨークを舞台にしていたのに対し、”P.S.”(原題)は明るいが印象の薄い街の風景が映り、天地ほど 離れた世界に見える。しかし、この2作品は驚くべき相似点がある。@大人になりきれない大人を描いた映画A大人の生活ぶりを感じさせる装飾 。両作品とも外見とか仕事の成功といったもので飾られた主人公たちが、しだいに感情的に自分にとってぴったりの場所を見出していく様子を描 いている。
制作するにあたり、原作小説では主人公の内的な声でユーモアとペーソスを語らせているのに対し、映画では登場人物の語りやフラッ シュバックの手法は避けた。なぜなら、行き詰った人間を表現するため、現在という時間軸を守り、表面下で過去がふつふつと蘇ってくるように見 せたかったからだ。
また、ロマンチックコメディの常識を逆手に取り、物語の早い段階で恋を達成させ、真実味を出すため、その後の俳優の演技をじっくり見せていっ た。あまり、ことばで語り過ぎないように気をつけたんだ。なぜなら、ルイーズはコロンビア大学のオフィスで働いているが、周りには誰もいない。 携帯電話も登場しない。だから全体的に少し現実離れしていてスタイリッシュだけど華やかさとはほど遠い。カメラの位置と美術と衣装があまり目 立たないようにし、役者に優位性を持たせたんだ。これは、役者を愛し、ニューヨークを拠点にしている映画監督のシドニー・ルメットに影響を受 けていると思う。

 

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地位もゆとりもある女性にやってきた突然のロマンス、それは、初恋のやり直し。年下の相手に対する絶えず挑戦的な姿勢が印象的だったが、それはどこからくるのだろうか。成功したとはいえない結婚生活を経たからこそできる恋愛のかたちなのだろうか。初恋の人が描いた絵画を、今も居間に飾っているルイーズに、自身の落ち着く居場所がどこかなのを感じる。飾らない映像が美しく、大切なものは何かをひと時感じさせてくれる作品。(JS)

 

スタッフ
監督:ディラン・キッド
脚本:ヘレン・シュルマン / ディラン・キッド
原作:”P.S.” ヘレン・シュルマン 
製作:ロバート・ケッセル / アン・チェイソン / ジョン・ハート / ジェフリー・シャープ
撮影:ホアキン・バカ=アサイ
美術:スティーブン・ベアトリス
音楽:クレイグ・ウェドレン
衣装:エイミー・ウエストコット


         
     


オフィシャルサイト
http://www.louise.jp/

2004年/アメリカ/1時間40分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR/ドルビーデジタル
日本語字幕:栗原とみ子
原作:メディアファクトリー刊
配給:ギャガ・コミュニケーションズ



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