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マッチポイント
Match Point

2006年8/19(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、 シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

■story
ロンドン。アイルランド人のクリスは英国の上流階級に憧れる野心家。 プロテニス・プレイヤーの道を諦め特別会員制テニスクラブでコーチの 職に就くと、すぐさま大金持ちのトムと親しくなる。オペラの席でクリスに 一目惚れしてしまったトムの妹・クロエは、郊外の別荘で開かれる親族 のパーティに彼を招待する。クリスはそこでコロラド出身のアメリカ人、 ノラと出会う。その挑発的な態度と魅惑的な容姿に惹かれてしまうクリス。 しかし、彼女はトムの婚約者だった。

クリスとクロエはロンドンに戻ると、サーチ・ギャラリーでのデートを楽し む。二人は結ばれ、付き合い始める。テニスコーチの仕事に満足せず、 「人生を賭ける仕事がしたい」と言う彼の思いを、クロエは企業家の父・ アレックに伝える。彼を気に入っているアレックは、母・エレノアの心配 をよそに自分の会社の管理職を与える。

ある日クリスは偶然街でノラと出会い、彼女のオーディションに付き合う。 緊張して上手く演じられなかったと落ち込む彼女を飲みに誘うクリス。酔 っ払ったノラは、英国上流社会の中で自分と同じ外国人というクリスに親 近感を感じたのか、少しずつ自分自身のことを話し始める。女優としてな かなか道が開けないことや悲惨だった家庭環境のこと、トムの母に認め てもらえないこと――。そして、酔った勢いでいたづらにクリスを誘うのだ った。

ヒューイット家の別荘に再び招待されたクリス。アレックは、彼を次期役 員に考えていると告げる。一方エレノアから女優を諦めるよう厳しい助 言を受けたノラは、怒りと哀しみを抑えられず、大雨の中に飛び出して しまう。クリスはその様子に気付き、後を追い掛ける。二人は全てを忘れ体 を求め合ってしまうのだったが……。


 


■キャスト
クリス・ウィルトン:ジョナサン・リース・メイヤーズ
トム・ヒューイット:マシュー・グード
アレック・ヒューイット:ブライアン・コックス
エレノア・ヒュイット:ペネロピー・ウィルトン
クロエ・ヒューイット・ウィルトン:エミリー・モーティマー
ノラ・ライス:スカーレット・ヨハンソン
ヘンリー:ルパート・ペンリー=ジョーンズ
イーストビー夫人:マーガレット・タイザック
パリー刑事:スティーヴ・ペンバートン
ダウド警部:ユエン・ブレンナー
バナー刑事:ジェームズ・ネスビット
 








       

■ウディ・アレン インタビューより

ストーリーと「運」について_
この物語は、人生でいかに「運」の果たす役割が大きいかということを描いている。人生はとても無秩 序で恐ろしく、目的も意味もない。われわれは皆、自分の人生や運命をコントロールできると思いたい。
だから「運なんてばかばかしい。一生懸命努力して幸せを呼び込むのだ」と思ってるんだ。たしかに 努力は大切だ。でも反面、人間は運に左右されているかということを認めるのが怖いだけなのだよ。

『マッチポイント』の製作上の幸運について
本作では本当に恵まれた。どんな端役も見事に演じられており、脚本もうまく書けた。この役に必要だ ったジョナサン・リース・メイヤーズにも出演してもらえ、ぜひとも必要だったスカーレット・ヨハンソン にも出演してもらえた。マシュー・グード、ブライアン・コックス、ペネロピー・ウィルトンも。そして凄い ことに、ロンドンでは、細かな部分でをミュージアムやレストランの中で撮らなくてはいけないという状 況があったが、なんら問題がなかった。雨が欲しければ、雨が降ったし、晴れて欲しければ太陽が出 た。そのように、大変運に恵まれた。この映画は「運」について語っているが、本作を製作できて私は とても運がよかった!

音楽について
音楽をオペラにしたのには、多くの理由がある。ひとつにはこの作品がオペラ風であるからだ。
欲望・情熱・嫉妬・殺人・裏切りなど、オペラと同じ題材を扱っている。だからオペラ音楽を使いたか った。

 
■プロダクションノートより

2004年7月、ウディ・アレンはロンドンにて『マッ チポイント』の撮影を開始した。彼の出身地ニュ ーヨークを完全に離れた撮影は、この作品が初 めてである。

 撮影はロンドン市内と周辺で7週間にわたって 行われた。ロケ地には同市の最も有名な場所、テ ート・モダン、セント・ジェームズ公園、そして最 近話題の建物“ガーキン”も含まれる。またメリル ボン、ノッティングヒル、チェルシー、コヴェント・ ガーデンなどのベルグレーヴィア地区及びその 周辺の建物や、バッキンガムシアの屋敷なども内 観・外観が撮影に使われた。

 美術のジム・クレイの果たす役割は重要だった。 アレンにロンドンの景色を紹介し、ロンドンらしい 映画を作り出す手助けをするのだ。クレイは語る。 「アレンは難なくこなした。彼は私の知る中で最 も目先の利く監督の1人だ。協力的で決断力が ある。ある場所がロケ地に適しているかどうか、瞬 時に分かるんだ。例えば、彼はテート・モダンを 一目見てロケ地に採用した。そこに映画的価値を 見いだしたんだ」

 アレンはできる限りロケ撮影を希望した。必要 があれば、俳優の演技に合うよう実際の建物に 手を加えるのだ。そのために数週間をかけて俳優 の背景に視覚的に溶け込む場所を探した。それ に加え、2つの重要なシーンでは、クレイが美術 監督としての手腕を発揮した。テート・モダンの あるギャラリー(撮影は禁止されている)内部で のシーンと、ロイヤルオペラハウスの内部でのシ ーンだ。クレイは限られた予算の中、慎重に選ば れたイーストエンドの倉庫を、彼独自のテートの ギャラリー・スペースに変え、撮影用に特別に作 られたアート作品を飾った。オペラのシーンは、 イーリング・スタジオ内に舞台のセットを建設した。

アデファラシンは語る。「アレンは温かみのある色 調を望んだが、セット・衣装・髪形・照明すべて を暖色にしてしまったら、目立つものが何もなくな ってしまう。そこで我々は撮影の前にスクリーン・ テストを何度も行った。これが功を奏した」  撮影は迅速かつ効率的に進み、撮りなおしも スケジュールの時間内で行うことができた。アデ ファラシンはアレンの撮影の進め方に強い印象を 受けた。「アレンは自らレンズをのぞき込むのを 好み、撮影中も常にカメラの近くにいて、俳優の 表情を見ている。ビデオモニターは使わない。当 てにならないと考えているんだ」  アデファラシンとの仕事はアレンにも満足のい くものだった。「彼は素晴らしい。とても才能ある カメラマンだよ」

アレンと初めて仕事をしたもう1人の人物は衣装 のジル・テイラーだ。彼女の役目、及びデザイン・ チームの共通の目標は、すべての衣装をできる 限りナチュラルかつシンプルにまとめ、温かみの あるオータム・カラーで統一することだった。テイ ラーは語る。「型にはまった衣装は避けたわ。そ れぞれの登場人物のライフスタイルに合った、現 実味のある衣装を作りたかったの」  彼女は正確さを求め、上流階級の服装のリサ ーチもした。「多くの人にインタビューして彼らの ワードローブを調べ、どんな場でどのような服を 着るかの判断材料にしたわ」

 またテイラーは俳優からの意見も採用した。例 えばペネロピー・ウィルトンは彼女独自のスタイ ルを提案した。テイラーは説明する。「彼女の役 はとても優しく人懐っこい性格。それが衣装からも 伝わればいいと思う。エミリー・モーティマーも自 分で衣装をコーディネートして彼女の個性を表現 していたわ」






■スタッフ
キャスティング:ジュリエット・テイラー
      ゲイル・スティーヴンス
      パトリシア・ケリガン・ディセルト
衣装:ジル・テイラー
編集:アリサ・レプセルター
美術:ジム・クレイ
撮影:レミ・アデファラシン
共同製作総指揮:ジャック・ロリンズ
        チャールズ・H・ジョフィ
製作総指揮:スティーヴン・テネンバウム
共同製作:ヘレン・ロビン
ニッキー・ケンティッシュ・バーンズ
製作:レッティ・アロンソン
ギャレス・ワイリー
ルーシー・ダーウィン
脚本・監督:ウディ・アレン

 


           


■オフィシャルサイト
http://www.matchpoint-movie.com

2006年:
第78回アカデミー賞 脚本賞ノミネート
第63回ゴールデン・グローブ賞 4部門ノミネート 作品賞/監督賞/脚本賞/助演女優賞


2005年イギリス/提供:BBCフィルムズ・セーマ・プロダクションSA
製作:ジェイダ・プロダクション/カラー/2時間4分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
日本語字幕:古田由紀子/オリジナル・サウンドトラック:ビクターエンタテインメント
配給:アスミック・エース

(C)JADA PRODUCTIONS 2005