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没後五〇年特別企画      

溝口健二の映画  / 恵比寿ガーデンシネマほか

2006年 9/ 9(土)―10/20(金)
当日料金:1,600円均一 シニアは1,000円 


 

上映予定作品
『お遊さま』 『雨月物語』 『祇園囃子』 『山椒大夫』 『噂の女』 『近松物語』 『新・平家物語』 『赤線地帯』  『楊貴妃』 『浪華悲歌』 『祇園の姉妹』 『残菊物語』 『元禄忠臣蔵(前篇、後篇)』 『夜の女たち』  『武蔵野夫人』 『西鶴一代女』 『雪夫人絵図』 『大阪物語』 全19作品

     


黒澤明、小津安二郎とならび、日本が生んだ最も偉大な映画監督、溝口健二。
33年間の監督人生で、約90本の傑作・名作を残した溝口は、1951年の『西鶴一代女』から『雨月物語』(52)、『山椒大夫』(53)とヴェネチア映画祭で三年連続の国際賞受賞という空前絶後の偉業を達成、世界のミゾグチとしてその名を轟かせる。
その後の多くの世界の映像作家たちに影響を与えるとともに、日本映画の黄金期を創出した。なお、溝口の影響を口にする作家は、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメール、ベルナルド・ベルトルッチ、アキ・カウリスマキ、アンドレイ・タルコフスキー、ジャック・リヴェット、テオ・アンゲロプロス、ヴィクトル・エリセなど錚々たる顔が並ぶ。  
海外、とりわけヨーロッパの人気は、黒澤・小津を凌いでおり、その評価は没後50年を経た現在でも変わらない。その証左に、世界のどこかで必ず溝口の映画は上映されている。




1998年の生誕100周年にはヨーロッパ各国で大規模な巡回上映が開催。昨年のヴェネチア映画祭でも回顧上映が行われ、ニューヨークでも特集上映が開催された。また、先日発表された米TIME誌のベスト映画100に代表作『雨月物語』が選出されている。  しかし、そうした世界的な評価と比べて、過去15年間本格的な特集上映が行われていないなど、日本国内では再評価の機会が特に少なく、一般の溝口健二の知名度は相当に低い。
溝口は、国境を越えて評価された日本人の第一人者であり、映画監督の枠すらも超越した芸術家であった。しかし今や、世界の中で日本人がいちばん溝口健二を知らないといっても過言ではない由々しき状況なのである! (プレス資料より)
       
雨月物語
戦乱の到来を契機に大商いを目論む陶器の名工源十郎と、侍として立身出世を夢見る弟の藤兵衛、そして息子と家族三人 で貧しくともささやかな幸せを望む妻の宮木。そんな三人の命運を、やがて荒廃した時代が飲み込んでいく・・・。夢と現実の枠を 超えたリアルで幻想的な世界感。美しいとしか形容できないため息が思わず零れる映像美と、人間の愚かさをまっすぐに捉え た胸に迫るストーリー。上田秋声原作の「雨月物語」を題材に、宮川一夫をはじめとした最高のスタッフ、京マチ子や田中絹代、 森雅之ら最高のキャストを揃えて映画化。深い感動を禁じえないラストシーンなど、あらゆる映像作家に影響を与えた名シーン が続出し、日本映画という枠を超えた世界的な傑作といっても過言ではない。長いスランプを乗り越えただけでなく、この一作で 溝口は世界のミゾグチとなった。

ニュープリント
1953年、97分、白黒  出演/京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之
原作/上田秋成 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄 美術/伊藤喜朔
照明/岡本健一 録音/大谷巖

第14回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞、イタリア批評家賞受賞 
第28回アカデミー賞白黒衣装デザイン賞
1953年度キネマ旬報ベスト・テン第3位
1953年度毎日映画コンクール美術賞、録音賞受賞
1953年度文部省芸術選奨受賞(宮川一夫)
1955年度エジンバラ映画祭デヴィッド・O・セルズニック賞受賞
(c)1953 角川ヘラルド映画
         

お遊さま
 
お静とのお見合いに臨んだ若き骨董商の慎之介は、お静ではなく付き添いの姉のお遊に惹かれてしまう。未亡人で一児の母 であるお遊は、そんな慎之介の気持ちを知りもせず、お静に結婚を勧める。お静は、慎之介がお遊に惹かれていることを知り、 二人の橋渡し役になることを心誓うのだった・・・。  谷崎潤一郎中期の傑作「芦刈」を映像化。嵐山、長谷寺といった美しいロケーションを背景に、3人の男女の複雑な感情のひ だを宮川一夫の流麗なキャメラが切り取っていく。溝口健二初の大映作品で、盟友宮川一夫と始めてコンビを組んだ秀作。
ニュープリント
1951年、95分、白黒  出演/田中絹代、乙羽信子、堀雄二
原作/谷崎潤一郎 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄 美術/水谷浩
照明/岡本健一 録音/大谷巌
(c)1951 角川ヘラルド映画
 
         

祇園囃子
 
古くから文人たちに親しまれた日本の代表的花街、京都の祇園町。この街では名が知れた、義理と人情に生きる芸者・美代 春に、みすぼらしい姿の少女が尋ねてくる。少女の名は栄子。両親を亡くし舞妓志願にやってきたのだ。舞妓仕込みには莫大 な費用がかかる。しかしどんな苦労でもするという栄子の思いに打たれ、美代春は引き受けることにするのだが・・・。  艶麗な姉芸者を演じるベテラン木暮実千代と若き舞妓を演じる新人若尾文子が、役柄とオーバーラップし、映画に深みを与え る。「雨月物語」と「山椒太夫」という大作に挟まれて製作された本作は、女性映画を最も得意とする溝口の本領が発揮された 美しい珠のような一作である。
ニュープリント
1953年、85分、白黒  出演/木暮実千代、若尾文子
原作/川口松太郎 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/斎藤一郎 美術/小池一美
照明/岡本健一 録音/大谷巌

1953年度キネマ旬報ベスト・テン第9位
1953年度ブルー・リボン賞男優助演賞、女優助演賞受賞
(c)1953 角川ヘラルド映画
 
 

近松物語
 
宮中の大経師の手代・茂兵衛は、ある誤解から師の後妻おさんと不義密通の汚名を着せられる。師の怒りを買った二人は、 家を逃げ出し、たどり着いた琵琶湖で入水自殺を考える。しかし、いつしか二人の間には真実の愛が芽生えていた。二人は命 懸けの逃避行を続けることにするのだが・・・。  まさに、息もつかせぬ恋愛劇。死罪に値する不義の関係を貫き、捕われ刑に処される直前まで愛を誓い合う二人の姿には、 涙を零さずにはいられない。自由に愛することができなかった時代の制約を超えた、究極の純愛映画と言える。近松門左衛門 の有名浄瑠璃「大経師昔暦」に井原西鶴「好色五人女」の一編「中段に見る暦屋物語」を合わせて映画化。大スター長谷川一 夫と巨匠溝口健二との初顔合わせは、静謐な中にも緊張感みなぎる傑作へと昇華させ、ともにキャリアを代表する作品となった 。
ニュープリント
1954年、102分、白黒  出演/長谷川一夫、香川京子
原作/近松門左衛門 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄
美術/水谷浩 照明/岡本健一 録音/大谷巌

1954年度キネマ旬報ベスト・テン第5位
1954年度ブルー・リボン賞監督賞、音楽賞受賞
1954年度文部省芸術選奨受賞(溝口健二)
1954年度日本映画技術賞撮影賞、照明賞受賞
(c)1954 角川ヘラルド映画
 
 
 
 
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