クリムト 2006年10月28日Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにて公開 ■story
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■キャスト クリムト / ジョン・マルコヴィッチ ミディ / ヴェロニカ・フェレ レア・デ・カストロ / サフラン・バロウズ エゴン・シーレ / ニコライ・キンスキー ミッツィ / アグライア・シスコヴィッチ 書記官 / スティーヴン・ディレイン |
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■プロダクションノート 監督・脚本:ラウル・ルイス 1941年、チリ・プエルトモント生まれ。 舞台の脚本を書くことを主とし、56年から62年の間に手がけた作品は100本を超える。68年、「Tres tristes tigers」で監督デビュー。しかし73年チリの軍事政権交代によりパリへ移住。78年、ピエール・クロウスキー原作の「L'Hypothese du tableau vole」がヨーロッパでヒットし、夢と現(うつつ)の狭間を移ろう様を描ける映像詩人としての地位を不動のものとした。日本初公開となった『見出されたとき「失われた時を求めて」より』('99)を始め、4作品がカンヌ国際映画祭でパルムドールにノミネートされている。 『クリムト』はグスタフ・クリムトの人生や彼の生きた時代を順番通りに追っている単なる伝記映画ではない。もっと空想的で、幻想的な映画と言えるだろう。画家クリムト 自身から素材が螺旋状に渦を巻き、溶け合う、まるで彼の作品のような映画である。独創的な作品の特徴、卓越された美意識、多様な色彩、空間的なゆ がみ、クリムト特有の複雑なものの見方を映像の中に生かすようにした。そして豊かだがどこか不気味な19世紀末を再現し、その背景を明らかにしようとした。 本作は夢と現(うつつ)、正気と狂気が入り混じった作品である。さらに、この作品はあらゆる意味でワルツなのだ。止まることなく回転し、どんどんスピードに乗り、目が眩むほど陽気にテンポを刻み続ける。事実、私の頭の中にはクライマックスが近づくにつれて不気味にテンポが速くなっていき、思いもかけないところで唐突に終 わってしまうラヴェル作曲の「ラ・ヴァルス」という曲が流れていた。 そして、梅毒によってクリムトの情緒が不安定になっていったことが痛烈に示しているように、安心で きる不変的なものなどない、ということを私は言いたかった。 物や壁の動きによって空気は微妙に変わる。照明の当て方も変わってくるし、もちろん役者たちの動き方も 変わってくる。 物語の舞台はハプスブルク家の衰退と、慌しく揺れ動く19世紀末のウィーン。ほとばしる感情と秘密の恋愛、性的欲望を持っていると注目の的になってし まうような時代だった。激動の時代、芸術的な個性が芽生えたとされる時代である。新しい時代を開拓するためにクリムトは社会的風潮と自国の制約を打破しなくてはな らなかった。彼はロマンチックな恋愛と、時には正反対である普遍的な家庭生活からそれらを模索した。しかし、皮肉にも危険な恋愛が優先となり、家庭は彼にとって波 乱に満ちたものとなってしまう。 クリムトが全体よりも細部に、総合的な表現よりもディティールにこだわったように、私も細かい部分に対する欲求を持っている。この作 品は美と喜び、そして19世紀末の頽廃的な美意識にあふれていると同時に、死に対する意識と死への予言もはらんでいる。この映画がクリムトの生きた時代 をうまく映し出せていることを願っている。まさに、この映画の中で死は喜びである。 (プレス資料より転載) |
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■Gustav Klimt Biography 1862 7月14日ウィーン郊外に彫金師の長男として生まれる。 (参考文献:「アール・ヌーヴォーの世界3 クリムトとウイーン」学習研究社 刊)
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