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愛より強く
40歳になるジャイトは、愛する妻を亡くし人生に絶望し自殺未遂を起こしてしまう。彼が目を覚ましたのは、心の病を治すための病院だった。 彼の魂の苦悩は続き、痛みをなくすための麻薬とアルコールを求めて泣き叫ぶ。 トルコ系ドイツ人であるシベルは、信仰心が厚く保守的なイスラム教徒の家族から逃れるために、自殺未遂のふりをする。だが、それは不名誉をもたらすだけで自由をもたらしはしない。 彼女は、精神科クリニックで出会った、同じくトルコ系ドイツ人であるジャイトに自分と結婚してくれと乞う。いやいやながら彼は同意する。 二人はアパートをシェアするが、その他のことはほとんど共有することはない。彼女は自由をじゅうぶんに味わい、彼はかつて恋人だった女性と時折、情事を持つ。 だがやがて、ジャイトはシベルを愛するようになる。 そんなときに起こってしまうある事件。嫉妬にかられたジャイトがシベルに言い寄る男を殺害してしまい、ジャイトは刑務所に送られてしまう。 行き場のなくなったシベルは、新しい人生を歩むためにトルコ、イスタンブールへと旅立つ。ジャイトへの永遠の愛を誓うシベルだったが、寂しさから、次第に酒、ドラッグへと溺れていく… |
キャスト ビロル・ユーネル シベル・ケキリ カトリン・シュトリーベック グーヴェン・キラック メルテム・クンブル セム・アキント |
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第54回ベルリン国際映画祭・金熊賞&コンペティション部門批評家賞 2004年 ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞/観客選出監督賞(ファティ・アキン) 2004年トルコ・ドイツ映画祭 女優賞(シベル・キケル)・男優賞(ビロル・ユーネル) 2004年 ジャーマン カメラ アワード・撮影賞 2005年全米映画批評家協会 外国語映画賞 ほか受賞多数 |
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ひとこと イスタンブールとハンブルクという今日的な問題を抱える都市を背景に、傷つき合いながらも互いの愛に気づく、暴力的でせつなすぎるラブストーリーである。 どうしてこんなに暴力的に描く必要があるのか、この結末はどこに向かうのか。でも、ちょっと斬新な展開のように感じるのはなぜなんだろう、そんなことを思いながらも、どこか2人の行動に共感さえもってしまう。「ありきたりの障害でストーリーの緊張を持続させるという古典的な手法をとりたくありませんでした。」と、監督は言う。時間的あるいは境遇的なカセによって人の心をひきつけようとしなかったことで、深い部分、本質的な部分に目を向けることができる。破壊的でありながらも、互いを受け止めようとする一瞬は美しい。 ドイツ写真の興隆と美術作品の絵画帰りを牽引したドイツ。気になる作品である。(JS) |
ファティ・アキン監督 スタッフ |
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