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Vフォー・ヴェンデッタ
V FOR VENDETTA



独裁国家となった未来のイギリス。仮面で正体を隠した「V」と名乗る男(ヒューゴ・ウィービング)に、命を救われたおとなしく若い女性エヴィー(ナタリー・ポートマン)。優れた戦略とだましのテクニック、そして類まれなカリスマ性を持つ「V」は、暴政・圧政に反抗し、同胞市民に革命を発火させていた。「V」の謎に包まれた真実の姿を暴いたエヴィーは、同時に自分自身の真実を知る――そして、残虐で腐敗に満ちた社会に自由と正義を取り戻す「V」の計画に、加担していく。

 

主演/ナタリー・ポートマン
共演/ヒューゴ・ウィービング、スティーブン・レイ、ジョン・ハート
いくつもの顔をもつVは、華と教養を兼ね備えた紳士であり、恐怖政治に抑圧された市民を暴君の手から解放することに余念がない。しかし一方では、怨念にかられた血の復讐鬼でもあった。
  不正と暴虐にまみれた政府から英国民を解放するため、Vは国の圧制を糾弾し、同胞の市民に国会議事堂前に集結するよう呼びかける。決行は11月5日――“ガイ・フォークス・デー”だ。
 1605年の同じ日、ガイ・フォークスは火薬を詰めた36個の樽とともに、議事堂の地下道に潜伏しているところを発見された。フォークスをはじめとするレジスタンス一派は、ジェイムズ一世を君主とする圧政に反発し、政府の転覆を狙って“火薬の陰謀”をくわだてた。だが、一斉に摘発されたフォークスらは絞首刑、火あぶりの刑、四つ裂きの刑に処され、計画は未完に終わってしまったのだ。
  その反逆精神とあの日の記憶を胸に、Vはフォークスの計画を引き継ぐことを心に誓う。1605年11月5日に処刑されたフォークスに代わって、国会議事堂を爆破しようというのだ。
  謎に包まれたVの素性が明らかになるにつれ、イヴィーは自分自身についての真実をも知るようになる。図らずもVの協力者となったイヴィーはVの悲願をはたすべく、革命の火をともし、血も涙もない腐りきった社会に自由と正義を取り戻すために立ち上がった。

 

撮影:
  本作の舞台は近未来のロンドン。国会議事堂(ウエストミンスター宮殿)、中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)、ビッグベンといった名所は残っているものの、ここに描かれるロンドンの街も、英国全体も、終戦後の閉塞感と重苦しさに包まれている。アダム・サトラー議長は厳重な管理下に置かれたこの社会で圧倒的な権勢をふるい、みずから率いるノースファイアー党だけが戦災、疫病、飢饉から国民を守ることができると説く。しかし、サトラーの圧政によって英国文化はその精神も活気も希望も失ってしまった。食糧も不足しているが、恐怖だけは売るほどある。個人の権利や自由はもはや化石となり、政府に反論する者はだれひとりいない。そんなことをしたら、フィンガーマン(クリーディーが率いる秘密警察)に連行され、永遠に葬り去られてしまう。
  ジェイムズ・マクティーグを含む制作スタッフは作品の政治的背景を描くにあたり、ロンドンの今の姿を反映させようと考えた。「最近のイギリスは非常に殺伐としています」。そう語るのは美術を担当するオーウィン・パターソン。マクティーグ監督やウォシャウスキー兄弟とは「マトリックス」三部作でも組んでいる。「見覚えはあるけれど、全体主義によって凍りついた街――我々がイメージしたのは、そういうロンドンです」
  パターソンと衣装デザイナーのサミー・シェルドンはグレー系の色調を多用し、ロンドンの街と市民を画一的で荒涼としたムードに包んだ。「この世界には選択の余地というものがないんです」。セット・デコレーターのピーター・ウォルポールが説明する。「たとえ車や缶詰が買えたとしても、種類はひとつしかありません。それはテレビ局のセットを見てもらえればわかると思います。どのモニタもブランドは一緒。机も椅子もみんな同じです」
  撮影の大部分はサウンドステージと屋内セットで行われた。街全体を覆う不安や孤立感を表現するためだ。「閉塞感を出したかったから、あえて屋内撮影にこだわったんだ」とマクティーグは明かす。

監督:ジェイムズ・マクティーグ
CM演出家から助監督を経て監督業に進出。本作は記念すべき第一回監督作品にあたる。  第二助監督時代の担当作に『Country Life』(94・未)、『Paradise Road』(97・未)、『女と女と井戸の中』(97)、『ダークシティ』(97)、「To Have & to Hold」(98・TVシリーズ)など。第一助監督としては『Looking for Alibrandi』(00・未)、『ポエトリー,セックス』(00)、『ムーラン・ルージュ』(01)ほか、「マトリックス」全三作(99、03)や『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(02)といったメガヒット作を手がけた。

美術:オーウィン・パターソン
ステファン・エリオット監督『プリシラ』(94)でオーストラリア映画協会美術賞を受賞。「マトリックス」全三作(99、03)でも美術を手がけた。ほかの代表作に『Traveling North』(87・未)、『海辺の風景』(87)、『Minnamurra』(89・未)、『レース・ザ・サン』(96)、エリオット監督と再び組んだ『ウープ・ウープ』(97・未)、『レッド・プラネット』(00)など。アート・ディレクター時代にはオーストラリア映画の『ブリス/あの世とこの世のこの野郎』(85・未)や『ルーカス・ルーカス』(85)等を担当した。  TV作品では、「The Riddle of the Stinson」(87)、「ザ・ビースト/巨大イカの逆襲」(96)、「ノリエガ/独裁者の真実」(00)、米ABC放送のテレビ映画「Heartbreak High」(94)などがある。
 

















 


プロダクションノート:
ジェイムズ・マクティーグ監督: 本作をひと言でくくれば、「政治色の強いスリラー」。主人公はじつにダークで奥の深いキャラクターだ。「ある意味で、Vには奉仕の精神がある。自分の手で社会に革命をもたらすことができると信じているからね。けれど、自分をひどい目に遭わせた連中に対しては殺意と復讐心を抱いているんだ」
マクティーグは本作を監督するにあたって、さまざまな名作を研究した。そのうちの1本が1966年公開の『アルジェの戦い』。54年から62年まで続いたアルジェリアの独立戦争をドキュメンタリー・タッチで描いた問題作である。マクティーグは、このほかにもレイ・ブラッドベリ原作の『華氏451』(66)、リンゼイ・アンダーソン監督の『if もしも…』(68)、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(71)、ジョージ・オーウェル原作の『1984』(84)、を参考にしたという。いずれの作品も国家の不正、支配、情報操作、弾圧に警鐘を鳴らし、行き過ぎた政治思想の危うさを取り上げているが、それは本作にも通ずるテーマである。権力をふりかざす独裁者であれ、処刑人に転じた個人であれ、その危うさに変わりはない。



オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta

2006年 アメリカ映画  /2時間12分

ワーナー・ブラザース映画提供
バーチャル・スタジオズ提携
シルバー・ピクチャーズ制作
アナーコス・プロダクションズ提携
原題 “V FOR VENDETTA”/ヒューゴ・ウィービング スティーブン・レイ ジョン・ハート
監督ジェイムズ・マクティーグ
製作ジョエル・シルバー グラント・ヒル アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー
脚本ウォシャウスキー兄弟/デイビッド・ロイド画によるコミックに基づく(バーティゴ/DCコミックス刊)
製作総指揮ベンジャミン・ワイスブレン
撮影エイドリアン・ビドル, B.S.C.
美術オーウィン・パターソン
編集マーティン・ウォルシュ, A.C.E.
音楽ダリオ・マリアネリ
英独共同製作
配給ワーナー・ブラザース映画(ワーナー・ブラザース・エンターテイメント・カンパニー)

(C)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.