トリスタンとイゾルデ
TRISTAN & ISOLDE

2006年10月21日 日比谷みゆき座他全国ロードショー

■story
暗黒時代のイギリス。当地を支配していたローマ帝国が崩壊したあと、荒れ果てた国土に割拠する部族たちは、事実上、強大で冷酷なアイルランド王の権力下に置かれ ていた。タンタロン城では、領主アラゴンの呼びかけに応じて、同盟の締結に向けた会合が開かれている最中に、アイルランドの軍隊が乱入。アラゴンは夫人もろとも殺 され、彼の息子トリスタンをかばったマークも、片方の手を失う。この事件でイギリス統一の悲願は果たされず、マークは、トリスタンを連れて故郷のコーンウォールへ戻っ た。

9年後。若者に成長したトリスタンの目前で、アイルランドの武将モーホルトが率いる小隊に、コーンウォールの村人たちが拉致される事件が起こる。人質奪還の指揮を 買って出たトリスタンは、巧みな作戦で、モーホルトを倒す。だが、モーホルトの剣に塗られた毒に、トリスタンは致命傷を負う。彼は、王家の葬儀により葬るよう遺言を告 げる。


 


■キャスト
トリスタン/ジェームズ・フランコ
イゾルデ/ソフィア・マイルズ
マーク/ルーファス・シーウェル
ドナカー/デヴィッド・パトリック・オハラ
ウィクトレッド/マーク・ストロング
メロート/ヘンリー・カヴィル
ブラーニャ/ブロナー・ギャラガー
 









       

王家の葬船に乗せられたトリスタンは、やがて、アイルランドの海岸に流れ着いた。この時、海岸にいたアイルランド王の娘イゾルデと運命的な出会いをする。薬草の知 識を持つ彼女は、トリスタンが毒にやられたことに気付くと、海辺の小屋で献身的に看病した。イゾルデの魅力に惹かれていくトリスタン。父の政略の道具とされていたイ ゾルデは、トリスタンと過ごす間に、自由に人を愛する喜びを見出す。だが、幸せな日々は長くは続かなかった。葬船がアイルランド軍に発見されたことから、トリスタンは この地を去らねばならなくなってしまったのだ。逃亡用の小舟に乗り込んだトリスタンは、「一緒に行こう」とイゾルデを誘うが、イゾルデは、「一緒にいられない運命なの。 どこかで生きて、私を思い出して」。そう言ってトリスタンを送り出した。

しかし、心の傷も癒えぬうちに、アイルランド王ドナカーの策略の結果、トリスタンとイゾルテは再会をすることになる。イゾルテにはマークとの政略結婚が待っていたので ある。それは、すぐそばにいながらみつめあうことすら許されない苦しみを、トリスタンとイゾルデにもたらすものになる。愛と忠誠の板挟みに苦しむトリスタン。そしてつい に、ふたりが情熱を抑えきれなくなったとき、彼らの愛は、国を滅ぼしかねない危険なものへと変貌を遂げていく……。
     
     

■プロダクション・デザイン
ローマ帝国の崩壊からルネッサンスまでの暗黒時代と呼ばれる時代については、実は、ほとんど記録が残されていない。本作の制作においては、この暗黒時代に生命 を吹き込むことが、監督のケヴィン・レイノルズとプロダクションデザイナーのマーク・ジェラティ課題となった。「マークと僕は、イギリスがローマ帝国に支配されていた5世 紀ごろの記録を参考にし、その後、再び記録が残されるようになった9世紀から5世紀までをさかのぼり、空白の何世紀かを埋めてゆくことにした。」
ジェラティと彼のチームは、当時の人々がどのように暮らし、何を食べ、どういう建物に住んでいたかをリサーチ。その上で、イマジネーションを最大限に活用し、現代の 観客も共感できる〈暗黒時代のフィーリングを持った世界〉をクリエイトしていった。
ロケ地は、アイルランドの西海岸とチェコ共和国が選ばれた。アイルランド王のダンルース城は、アイルランドの西海岸にあるクラシローンビーンの砂浜に近い小さな島に 建てられた。
       


■衣装デザイン
ミレノッティは、今回、暗黒時代の歴史資料にあまり頼らなかった。その結果、非常になまなましくザラザラした感覚を残す一方で、特筆に価するほどディテールにこだわ った、精密な衣装が出来上がった。「ローマとケルト文化の影響を考えに入れながら、当時どんな素材が人々の手に入ったのかを、まず考えた」と語るミレノッティは、衣 装は人々が毎日着るものだという点にもポイントを置き、着心地のよさと着やすさも重視した。「キャラクターが着る衣装は、観客が共感できるものであるべきだということ を念頭に入れて作った」と、ミレノッティは、コメントする。

(プレス資料より)

 
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トリスタンとイゾルデの物語は、6世紀頃のケルトの伝説に源流があるといわれています。伝承はアーサー王伝説に組み込まれたり、19世紀にはワーグナーにより楽劇としてまとめあげられました。絵画では、ビアズリーのアーサー王伝説や、ロセッティ、バーンジョーンズといったラファエル前派の作家の中に作品を観ることができます。
本作は、美術、音楽でも取り上げられることの多いこのモチーフをリドリー・スコットが20年間も構想を暖めてきたもので、彼にとっても重要な作品になっているのではないかと思われます。ブレードランナーで見せたリアリティーが、本当に実在した物語かのような印象を受けます。アイルランドの美しい風景とともにいつまでも記憶にとどめておきたい作品です。(JS)










■監督:ケヴィン・レイノルズ
1952年、米テキサス州サンアントニオ生まれ。ベイラー大学で法律を学んだ後、州知事のスピーチ原稿のライターとなる。その後、カリフォルニア大学の映画学科時代に 書いた脚本が『若き勇者たち』(ジョン・ミリアス監督、84)として映画化。『ファンダンゴ』(85)で長編監督としてデビュー。『ロビン・フッド』(91)『モアイの謎』(94)『ウォーター ワールド』(95)『187』(97)『モンテ・クリスト伯』(02)を手がける。

■製作総指揮:リドリー・スコット
1937年、英サウスシールズ生まれ。弟のトニースコットとCM製作会社RSAを設立し、CM演出の第一人者として活躍。その後、『デュエリスト/決闘者』(77)で映画監督に 進出し、カンヌ映画祭の新人監督賞を受賞。以降、『エイリアン』(79)『ブレードランナー』(82)『レジェンド/光と闇の伝説』(85)『誰かに見られてる』(87)『ブラックレイン』( 89)といった作品で映像派の巨匠の座を不動のものに。
その後の監督作品には『テルマ&ルイーズ』(91)『1492・コロンブス』(92)『グラディエーター』(00)『ブラックホーク タウン』(01)『ハンニバル』(01)『マッチスティック・メン』(03)『キングダム・オブ・ヘブン』等がある。2003年、エリザベス女王からナイトの称号を授与される。

■スタッフ
監督:ケヴィン・レイノルズ
脚本:ディーン・ジョーギャリス
製作:モシュ・デアマント / エリー・サマハ / リサ・エルジー / ジャンニーナ・ファシオ
製作総指揮:リドリー・スコット / トニー・スコット
撮影監督:アーサー・リーンハート
プロダクションデザイン:マーク・ジェラティ
衣装デザイン:マウリツィオ・ミレノッティ
音楽:アン・ダッドリー
編集:ピーター・ボイル

 


           


■オフィシャルサイト
http://movies.foxjapan.com/tristanandisolde

(C) 2006 TWENTIETH CENTURY FOX
原題: TRISTAN & ISOLDE
2005年 /ビスタサイズ/2時間6分
配給: 20世紀フォックス映画