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麦の穂をゆらす風
The Wind That Shakes The Barley

シネカノン有楽町 渋谷シネ・アミューズにて2006年11月18日公開

■story
アイルランド、1920年。イギリスの支配のもとで、人々の暮しは苦しいものだった。飢饉、立ち退き、貧困が市井の人々の宿命だった。彼らはアイルランド独自の言葉(ゲール語)を話すことを禁じられ、ハーリングなど独自のスポーツを楽しむことさえ禁じられていた。そんな中、アイルランド独立を求める人々の叫びは大きくなるが、その動きを封じようとイギリスから冷酷な武装警察隊“ブラック・アンド・タンズ”が送り込まれた。

 




 


■キャスト
デミアン/キリアン・マーフィー
テディ/ポードリック・ディレーニー
ダン/リーアム・カニンガム
シネード/オーラ・フィッツジェラルド
ペギー /メアリー・リオドン
バーナデット/メアリー・マーフィー
ミホール/ローレンス・バリー
 







       


1920年、アイルランド南部の町、コーク。医師を志す青年デミアンは、ロンドンの病院での仕事が決まり、アイルランドを離れようとしている。デミアンたち若者は皆でハーリングを楽しむ。デミアンはゲームのあと、両親を早くに亡くした彼にとって家族のような存在のぺギー一家に別れの挨拶のため訪れた。そこへブラック・アンド・タンズがあらわれる。デミアンたちがハーリングをやったことを咎め、厳しく侮辱的な尋問を始めたのだ。若者たちの中、ぺギーの17歳になる孫ミホールは、“マイケル”という英語名を名乗ろうとしなかった。そして彼は、アイルランド名を言ったばかりに、ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、殺されてしまう。
ミホールの葬儀の日。村の女性が、「麦の穂をゆらす風」を歌って若者の死を悼んだ。アイルランド独立のために、若者たちは武器をとって戦うことを話し合う。デミアンの兄テディは、そんな若者たちのリーダー的な存在だ。

 

 
デミアンがロンドンへ出発する日。駅で見た光景が、彼の気持ちを変える。
イギリス兵士を列車に乗せることを、駅員、運転士、車掌が拒否。彼らは兵士に手酷い暴力を受けるが、断固として態度を変えず、兵士たちに乗車をあきらめさせたのだ。デミアンは、医師になる道を捨て、兄テディとともにアイルランド独立をめざす戦いに身を投じる・・・。

 
     

       


■ケン・ローチ監督
監督は、「この映画は英国とアイルランドの間の歴史を語るだけでなく、占領軍に支配された植民地が独立を求める、世界中で起きている戦いの物語であり、独立への戦いと同時に、その後にどのような社会を築くのかがいかに重要かを語っている」とインタビューで述べている。
また、カンヌ映画祭では、こう語った。「私は、この映画が、英国がその帝国主義的な過去から歩み出す、小さな一歩になってくれることを願う。過去について真実を語れたならば、私たちは現実についても真実を語ることができる。英国が今、力づくで違法に、その占領軍をどこに派遣しているか、皆さんに説明するまでもないでしょう」。

(プレス資料より)

 
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現代のイギリスとアイルランドの関係というのは、この作品を観るまではわかりにくかった。その根っこのところをこの作品は教えてくれたように思う。 そして、独立のための戦いとはどういうものなのかも伝わってくる。普遍的なテーマを持ち合わせているわけだ。
戦いによって犠牲になるもの、とくに普通の家族が巻き込まれていくさまを見せられる時、言いようのない辛さがある。権力とそれを求めるものの見せる残酷な一面、越えてはいけない一線を越えてしまった瞬間、これが今もなおそこかしこにあることを伝えていると思う。(JS)










■スタッフ
監督:ケン・ローチ 
脚本:ポール・ラヴァティ 
プロデューサー:レベッカ・オブライエン 
製作総指揮:ウルリッヒ・フェルスバーグ 
アンドリュー・ロウ 
ナイジェル・トーマス 
ポール・トライビッツ 
共同プロデューサー:レッドモンド・モリス 
美術:ファーガス・クレッグ 
衣装:イーマー・ニー・ウィルドニー 
撮影:バリー・エイクロイド 
録音:レイ・ベケット 
ケヴィン・ブレイザー 
編集:ジョナサン・モリス
音楽:ジョージ・フェントン 
史実監修:ドナル・オドリスコル

 


           


■オフィシャルサイト
http://www.muginoho.jp
http://www.thewindthatshakesthebarley.co.uk

2006年/アイルランド=イギリス=ドイツ=イタリア=スペイン/126分/カラー/1:1.85/ドルビーSRD/原題:The Wind That Shakes The Barley (大麦を揺らす風)]
日本語字幕:齋藤敦子/字幕監修:森ありさ、宮地裕美子
後援:アイルランド大使館、ブリティッシュ・カウンシル
宣伝:ムヴィオラ
配給:シネカノン