ローズ・イン・タイドランド
TIDELAND

2006年7月8日(土)より恵比寿ガーデンシネマほか全国ロードショー

「不思議の国のアリス」を読むのが大好きな10歳の少女、ジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)。 ある日、ローズはいつものようにノア(パパ)がクスリで“バケーション”に入るお手伝いをした。その次の日、ママがオーバードースで死んでしまう。ローズはノアとふたりでママを盛大に見葬ると、バスに乗ってユトランドを目指して旅に出た。

 ローズのトランクには、ママの形見のドレスとお気に入りのお友達 --頭だけのバービー人形たち--が 入っている。時にローズを励まし、いい話し相手になってくれる。長いバス旅行の末に、 ローズはノアがテキサスに住むお祖母ちゃんのために建てた家に着く。  家のまわりは見渡すかぎり金色の草原。ローズはお気に入りの人形と一緒に探索に出ると、スクールバスを 見つける。そこに黒ずくめの服を着た幽霊のような女、デルが現れる。ローズは、一目散に走って帰り、家の前で理解不能な言葉で話しかけるリスに出会う。リスを追いかけたローズは、秘密の屋根裏部屋を発見。そこで、 不思議なクローゼットに入り込み、お祖母ちゃんの宝物を発見するのだった。

ある日、ローズが目覚めると家の中は水でいっぱい、草原は海と化していた。彼女はディケンズの家まで 草原を泳いで渡るが、そこでデルの秘密を目撃。慌てて逃げる途中で、ローズはうさぎ穴に落ちてしまう。彼女の後を追って、バービーたちもうさぎ穴の底へ……。

どれくらい時間が経ったのか、気がつくとローズはお家のベッドに寝ていた。1階からはシンナーの強い匂い が漂ってくる。バービーたちが止めるのも聞かずに、ローズが階下へ向かうと、幽霊女のデルがノアにキスをしていた 。「こんなふうに再会するなんて。もう二度と離さない」と言いながら。その横ではディケンズが忙しそうに出た り入ったり。しかし、デルの傍らに横たわるノアの姿を見たローズは、信じられない光景に気を失ってしまう… …。

 

キャストジェライザ=ローズ役:ジョデル・フェルランド
パパ/ノア役:ジェフ・ブリッジス
ママ/グンヒルド王妃役:ジェニファー・ティリー
デル役:ジャネット・マクティア
ディケンズ役:ブレンダン・フレッチャー
リスの声:ウェンディ・アンダーソン
ミスティーク、サテン・リップス、グリッター・ガール、
ベイビー・ブロンドの声:
ジョデル・フェルランド


『ローズ・イン・タイドランド』イントロダクションより

『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』などの奇想天外な世界観がをもつ監督テリー・ギリアム。2005年には『ブラザーズ・グリム』を発表した。最新作『ローズ・イン・タイドランド』は、“ギリアム版「不思議の国のアリス」”と呼べるような、少女の幻想的な想像力を映像化した作品。  
主人公ジェライザ=ローズの目に映る不思議なできごと、ちょっと変わった隣人たち、草原に現れる海など、ギリアムが得意とするファンタジックな世界観は本作でも健在。 いびつなものの中に宿る美しさ、無邪気さの中に在るしたたかさを垣間見せて、私達の狭い価値観を打ち破 る。
彼は全編において少女の目線で物語を綴ることを貫き、少女がひとり遊びに興じる心情や想像力の豊かさ、 どんな逆境においても未来を選びとることができる子供の逞しさを描き出す。また、彼女がリスに導かれ古い 家の秘密を知るエピソードや、草原にぽかんと空いた穴に深く深く落ちて行く幻想的な描写は、監督の思惑 通り「不思議の国のアリス」を彷彿とさせる。ちなみに、原作のタイトルでもある“タイドランド”とは干潟を表し 、一方では境界線という意味も持つ。つまりジェライザ=ローズの幻想(=海)と、現実(=大地)との境界線 となる場所が“タイドランド”なのである。

 



 


「不思議の国のアリス」について

うさぎ穴の向こうでは、孤独は冒険に変わる 1865年、数学者のチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが“ルイス・キャロル”というペンネームで書いた児童文学 「不思議の国のアリス」(Alice’s Adventure in Wonderland)。しゃべる白ウサギの後を追って深い穴に落ちた アリスは、チェシャ猫や三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王様など奇想天外な登場人物たちが住む“不思議 の国”を旅することになる。アリスの冒険は少女が持つ無限の想像力を表し、しばしば“夢見る少女”の冠詞 として使われてきた。退屈な日常を抜け出し、未だ観ぬ魅惑的な世界を旅したアリスは、何も知らない姉の 傍らで目を覚ます。それは、少女から大人の女性へと移り変わる季節を彩る最後の夢でもあるのだろう。

『ローズ・イン・タイドランド』のジェライザ=ローズもまた、現実世界から一歩踏み出し、彼女だけのワンダー ランドを見つける。ジェライザ=ローズの世界では頭だけの人形がおしゃべりをし、草原は海に変わり、リス に導かれて彼女はお祖母ちゃんのワードローブを見つける。そして、“草原でひっくりかえったバス”や“動か なくなってしまったパパ”に象徴される悲惨な現実も、少女の独創的なイマジネーションにかかれば見たことも 聞いたこともないようなおとぎの国へと変化を遂げる。想像力は、まだ見ぬ未来へ向かう子供たちの力強さと なるのだ。
 




 
 

 


 

スタッフ
監督/共同脚本:テリー・ギリアム
共同脚本:トニー・グリゾーニ
原作:ミッチ・カリン
プロデューサー:ジェレミー・トーマス
プロデューサー:ガブリエラ・マルティネリ
撮影監督:ニコラ・ペコリーニ
プロダクション・デザイン:ヤスナ・ステファノヴィック
編集:レスリー・ウォーカー
音楽:マイケル・ダナ&ジェフ・ダナ
衣装デザイン:マリオ・ダヴィニョン
衣装デザイン:デルフィーヌ・ホワイト
         
   

テリー・ギリアム:主な監督作品
モンティ・パイソン/人生狂騒曲1983年
未来世紀ブラジル1985年
バロン 1989年
フィッシャー・キング1991年
12モンキーズ1995年
ラスベガスをやっつけろ 1998年
ブラザーズ・グリム2005年

2005年/イギリス・カナダ合作/英語/カラー/スコープサイズ/SRD/117分/原題 :TIDELAND/日本語字幕:松浦美奈/(C) 2005 Recorded Picture Company Limited and Capri Films Inc. All Rights Reserved.
★原作「タイドランド」(金原瑞人訳)角川書店より発売中
配給:東北新社
宣伝:東北新社+メゾン


オフィシャルサイト
http://www.rosein.jp