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ブラックブック
BLACK BOOK

2007年3月24日(土)、新宿テアトルタイムズスクエアほかにて
全国ロードショー

■ストーリー
 1944年9月、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。ユダヤ人女性ラヘルは、ユダヤ人狩りを逃れるためにオランダ人一家のもとに隠れていた。 そんなある日、ラヘルが湖に出かけている時に、爆撃機が落とした爆弾が隠れ家を直撃。その夜、ひとりの男が新たな隠れ家を訪ねてくる。 彼は、ドイツ軍が彼女の行方を追っていると警告する。 ファン・ハインというレジスタンスのメンバーらしき男は、オランダ南部への脱出を手引きすると約束するが、それには金が必要だという。  

 翌日、ラヘルは公証人のスマールのオフィスを訪れる。事情を聞いたスマールは、彼女の父親から預かっていた金を渡してくれる。 ファン・ハインの手引きにより、船着き場で別のユダヤ人グループと合流し、離れ離れになっていたラヘルの両親や弟とも再会する。
 夜更け、彼らの船の前にドイツ軍の船が現れ、銃弾の雨の中、倒れてゆくユダヤ人たち。両親や弟も殺され、ラヘルは川に飛び込む。 死体から金品をはぎとるドイツ兵たち。水中に身を潜めながら、それを指揮する親衛隊将校の顔を、ラヘルは目に焼き付ける。


 ラヘルは、レジスタンスに協力する農民に助けられ、ハーグにいた。レジスタンスの青年ティムが、彼女を父であるリーダーのヘルベン・カイパースに紹介する。ユダヤ人だと分かる名前を捨て、彼女は"エリス・デ・フリース"として、彼の無料食堂で働くことになる。

 


■キャスト
ラヘル/エリス:カリス・ファン・ハウテン
ルドウィグ・ムンツェ/セバスチャン・コッホ
ハンス・アッカーマンス/トム・ホフマン
ロニー/ハリナ・ライン
ギュンター・フランケン/ワルデマー・コブス
ヘルベン・カイパース/デレク・デ・リント
カウトナー将軍/クリスチャン・ベルケル
公証人 スマール/ドルフ・デ・フリース
ファン・ハイン/ピーター・ブロック
 







       


 5ヶ月経った時、エリスはレジスタンスの仕事を手伝うことになる。連合軍の爆撃機から投下される武器・物資を回収、移送である。指揮を執るのはレジスタンスの攻撃部隊に属する元医師のハンス・アッカーマンス。途中、ドイツ軍の攻撃を受けながらも、作戦は成功する。

 帰路、恋人同士を装い列車に乗車したエリスとハンスに、検査官が近づいてくる。彼女は見つかってはまずい物資の入った鞄をつかむと、別の車両へ歩み去る。空席を探すうち、ナチス親衛隊将校ムンツェ大尉の客室にたどり着く。ムンツェはエリスを快く招き入れると、趣味の切手のコレクションを見せた。その物腰に安心感を覚えるエリス。ムンツェも彼女の美しさに目を奪われる。

 事件が起きる。ティムと仲間二名が武器の輸送中、ドイツ兵に見つかり連行されたのだ。ヘルベンは、彼らを救うため、ナチス諜報部長であるムンツェと接触してほしいとエリスに言う。彼女はそれを潔く引き受ける。
  ムンツェの探していた貴重な切手を入手し、エリスは早速ドイツ軍諜報部に彼を訪ねた。再会を喜んだムンツェは、彼女をパーティーに誘う。だが会場に着いたエリスは、ピアノを弾くムンツェの部下のフランケンという男を見て青ざめた・・・。

※   ※   ※

       
 


       


■プロダクションノート:バーホーベンの言葉より

 『ブラックブック』を撮りたいと思ったのは、あの時代の真実がどうだったのかを忠実にかつ、あっといわせるような手法で描いて見たかったんだ。
白でもないし、かといって黒でもない、グレーという形でね。ヒーローでもないし、悪役でもない。悪役のように振舞いながら実はヒーローということもあるし、その逆もありうるというように。

 

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 オランダで、異例の巨費を投じて、戦時下の不正と残虐な行為を事実に基づいて映像化した作品。ユダヤ人の資産家を集めて殺害し、その金品を奪う。その悪さ加減にはナチもレジスタンスもないことがわかります。そのことをオランダ出身の監督バーホーベン自身が描いているところに好感が持てます。いい映画だったと思わず声が出そうな作品
。(JS)








■監督:ポール・バーホーベン
1938年、オランダ、アムステルダム生まれ。ライデン大学で数学と物理学を専攻。 オランダの中世を舞台にしたルトガー・ハウアー主演の12話のTVシリーズ"Floris"(69)。『ルトガー・ハウアー/危険な愛』(73)、『娼婦ケティ』(77)、『女王陛下の戦士』(77)、『SPETTERS/スペッターズ』(80)、そして『4番目の男』(83)、『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣』(85)でハリウッドに進出。87年『ロボコップ』、『トータル・リコール』(90)、シャロン・ストーンの『氷の微笑』(92)。『ショーガール』(95)、ロバート・A・ハインライン原作『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)、『インビジブル』(00)

■スタッフ
監督 ポール・バーホーベン
プロデューサー FU WORKS PRODUCTIONS/サン・フー・マルサ/HECTOR /ヨス・ファン・デア・リンデン/MOTEL FILMS/フランス・ファン・ヒェステル/イェルン・ベーカー
プロデューサー(英国) CLOCKWORK PICTURES/テイン・ヒルテ
プロデューサー(ドイツ) EGOLI TOSSELL FILM/イェンス・モイラー

原案 ジェラルド・ソエトマン
脚本 ジェラルド・ソエトマン/ポール・バーホーベン
撮影監督 カール・ウォルター・リンデンローブ,acs,bvk
プロダクション・デザイナー  ウィルバート・ファン・ドルプ
編集 ヨブ・テル・ブルフ/ジェームス・ハーバート
音楽 アン・ダドリー
衣装デザイナー ヤン・タックス



     

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.blackbook.jp


■第79回米アカデミー賞外国語映画賞オランダ代表作品
■第63回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品
  ヤングシネマアワード:ベストインターナショナル・フィルム賞受賞
■2006オランダ映画祭
  作品賞/監督賞(ポール・バーホーベン)/主演女優賞(カリス・ファン・ハウテン)受賞

2006年/オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー合作映画/2時間24分/スコープサイズ 日本語字幕:松浦美奈/オランダ語監修:池田みゆき
提供・配給:ハピネット