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情痴 アヴァンチュール
UNE AVENTURE

2007年3月31日(土)、シネマスクエアとうきゅう他にて
全国ロードショー

■ストーリー
 
パリのアパルトマンに引っ越したセシルとジュリアンは、新生活をスタートさせる。ファッション業界で働くセシル、ビデオライブラリーで夜遅くに働くジュリアンの生活は、すれ違っているものの、つつましく平穏なもの。
 ある晩、ジュリアンは、アパルトマンの入口で、裸足の女性に気づく。思わずジュリアンは追いかけるが、彼女はフラフラと夜の闇に消えてしまう。

 昼、買い物に出かけたジュリアンは、スーパーで子供を連れた彼女を見かけ、彼女の後を付けてしまう。ガブリエルという名のその女性は、向かいのアパルトマンに住んでいることがわかる。
 しかしある晩、再びガブリエルが、うつろな瞳でフラフラ現れる。ジュリアンは部屋まで後を付ける。すると自分で手首を傷つけ、ガブリエルがベッドで気を失っていた。ジュリアンは彼女が夢遊病者であることを知る。

 

 


■キャスト
ガブリエル/リュディヴィーヌ・サニエ
ジュリアン/ニコラ・デュヴォシェル
ルイ/ブリュノ・トデスキーニ
セシル/フロランス・ロワレ=カイユ
ジェミラ/エステル・ヴァンサン
マルタン/アントワーヌ・ドゥ・プレケル
 






       


 やがて近所同士として言葉を交わすようになったジュリアンに、ガブリエルが恋人ルイの尾行を頼む。ジュリアンが後を付けると、ルイは郊外の豪奢な一軒家に住む既婚者だった。
ある日、ジュリアンがアパルトマンに帰ると、セシルとガブリエルが談笑している。突然、訪ねてきたのだという。何かを感じ取ったのだろう、セシルは、友達だと快活に振舞うガブリエルの存在に不快感を示す。

 しかしガブリエルは少しずつ、ジュリアンの生活に介入し始める。そして遂にガブリエル、ルイ、ジュリアン、セシルの4人で会食した晩、ガブリエルの不安定な言動は突然キレて怒鳴ったり泣いたりと、決定的となった。
その晩から、さらに混乱を極めていくガブリエル。けれどジュリアンは、心の中に深い闇を抱えるガブリエルを、それでも救ってあげたいと思うのだった・・・。

※   ※   ※

       
 


       


■プロダクション・ノートより


夢遊病こそが人間的真実に到達するための手がかり

"夢遊病"が一つのモチーフとなってはいるが、監督は「この映画における夢遊病は、まさに妄想という範囲での表現方法だ。ある妄想がジュリアンを魅了し、つかんでみたい秘密、癒したい秘密になっていくけれど、妄想はいつも彼の手から逃れていき、眩惑にまでなってしまう。夢遊病は、登場人物の人間的真実に近づくための興味深い手がかり、秘密にたどりつける唯一の道になるだろうと直感した」と語る。

現代世相、人間心理を映し出すテーマ

監督が言うように、私たちは「都会の生活 ―常に動き回り、車の流れが絶えず、喧噪的な現代社会生活こそが、人物の情動にリズムをもたらしていく。解放され守られたいという願望や欲望、恐怖といった感情の間を行ったり来たりしている。どんな人間でも自分自身こそが謎であることに気づき、他者が自分という人間の情報を知らせてくれるのを待っているのだ」ということに改めて気づかされるはずだ。そしてそのテーマは、現代的な装置を用いているが、寓話的であると監督は語る。「孤独を好むひとりの若い男性が、自分でもわからず夜を徘徊する若い女性と出会う。彼は彼女の後を追い、運命はそれによって変化させられてしまうという、一つの寓話にも似たテーマなんだ」


 

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 トラウマに苦悩し、誰かに愛を注がれることでやっと生きていける女性。監督は、現代女性の象徴だといいます。確かに、我々は多かれ少なかれ、何らかの傷を抱えて生きており、誰かに救いを求めてやまないのかもしれません。
ガブリエルのとる態度は意外と、自身に誠実だったのではないかと感じます。自身に誠実だからこそ傷ついてしまうのかもしれませんが
(JS)








■監督:グザヴィエ・ジャノリ

1972年、パリ近郊、ヌイユ=シュール=セーヌ生まれ。記者が憧れの女優を取材する姿を描いた17分の短編『インタビュー』(98)が98年カンヌ国際映画祭で短編のパルムドール、99年セザール賞短編映画賞などを受賞。『加速する肉体』(03)で長編映画デビュー。長編映画3作目"Quand j'etais chanteur"(06)。

■音楽:アレクサンドル・デスプラ
1961年、パリ生まれ。『いちばん美しい年令』(94)。『つつましき詐欺師』(96/未)と『リード・マイ・リップス』(02)。 『真珠の耳飾りの少女』(03)、『シリアナ』(05)、『真夜中のピアニスト』(05)でベルリン国際映画祭の銀熊賞とセザール賞を受賞。 『天使が隣で眠る夜』(94)、『絹の叫び』(96)、『ハーフ・ア・チャンス』(98)、『愛のエチュード』(00)、『記憶の棘』(04)、『カサノバ』(05)。『クィーン』(06)。

■リュディヴィーヌ・サニエ / ガブリエル
1979年、パリ近郊、ラ・セル=サン=クルー生まれ。『夫たち、妻たち、恋人たち』(89)。『焼け石に水』(00)。『8人の女たち』(02)。『スイミング・プール』(03)。 『ピーター・パン』のティンカー・ベル役でハリウッド・デビュー。『パリ、ジュテーム』で、アルフォンソ・キュアロン監督篇に出演。06年に、日本のエステティック会社TBCのコマーシャル出演。

■ニコラ・デュヴォシェル / ジュリアン
1980年、パリ生まれ。『さよならS』(99)。"Beau Travail"(99)。『ガーゴイル』(01)。 『加速する肉体』(03)で、04年セザール賞有望若手男優賞にノミネート。 『いつか会える』(04/フランス映画祭上映)、『Hell-私の名前はヘル』(05/06年同映画祭上映)など。

■スタッフ
監督:グザヴィエ・ジャノリ
脚本:ジャック・フィエスキ
    グザヴィエ・ジャノリ
オリジナル音楽:アレクサンドル・デスプラ
助監督:ドミニク・ドゥラニ
撮影:ヨリック・ル・ソー
美術:フランソワ=ルノー・ラバルト
衣裳:シャルロット・トスカン・デュ・プランティエ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.jyochi.com

2005年 / フランス・ベルギー / ドルビーSRD / スコープサイズ / 1時間47分 /
字幕翻訳:高部義之 / R-15
配給:東芝エンタテインメント