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コマンダンテ
COMANDANTE

5月下旬、ユーロスペースにてロードショー

■story
2002年2月、オリバー・ストーン監督は、キューバの最高司令官フィデル・カストロへの取材を敢行。
30時間に及ぶインタビューを行った。カストロは内容の削除を一切求めなかったという。
戦闘服をまとって登場したカストロに対して、オリバー・ストーンは、書類にサインするシーンを演技を演じることを要望する。
オリバー・ストーンは、カストロとともにカメラの前に身を置き、打ち解けた雰囲気を作り出そうとする。カストロは、自身の青春時代、政治的勢力を固めていくプロセス、今のキューバについてごく自然に語っていく。アメリカの大統領やソ連の権力者たちについてのコメントやキューバ危機の裏側で何が起こっていたかなど興味はつきない。ケネディ暗殺、ベトナム戦争についての見解も語られる。
インタビューの終盤に、もっとも気になるテーマ、チェ・ゲバラとのことについて、ストーンは質問を投げる・・・。

 


■キャスト
フィデル・カストロ
オリバー・ストーン
 



       



真正面から答えたかと思えば、ややはぐらかすような答え方もあり、カストロのリアルな姿が垣間見える。会話術が巧みであることが知られているカストロなだけに、どこまでが真実であるかはわからない。アメリカと敵対関係にある国家の議長であるのに、『タイタニック』や『グラディエーター』をビデオで観たことを認め、無神論者だが、人々にとって宗教の癒しの力と重要性を語る。さらに、「あなたは独裁者ですか?」という質問に対しても彼なりの答えを用意する。
撮影は3日間にわたり、ストーンは、オフィスでの仕事、医学学校や美術館を訪問するようす、そして市民たちをカメラにおさめていく・・・。

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■プロダクション・ノート
 スペインのTV局がオリバー・ストーン監督へ、フィデル・カストロのインタビューを打診したことから、 このプロジェクトがスタートした。
 カストロは「いつでも撮影をやめることが出来るなら」という条件の下、このインタビューに同意した。 製作チームは30時間以上にも亘りインタビューをおさめたが、カストロはただの一度もカメラを止める要請はしなかった。 本作は、2003年1月のサンダンス映画祭にてプレミア上映され、 その後もベルリン国際映画祭をはじめ数々の映画祭にて上映されたにもかかわらず、 アメリカ政府の「検閲」によってアメリカでの上映は禁止された。
 2006年7月、フィデル・カストロが病に倒れ、現在政治的権限を暫定的に弟のラウル・カストロ第一副議長他に引き渡している。

■フィデル・カストロ
  1926年、キューバのビラン生まれ。1950年から1952年の間には弁護士として貧困者のために活動。
  その後、武装勢力を組織しチェ・ゲバラやラウル・カストロなどと、当時アメリカの事実上言いなりであったフルヘンシオ・バティスタ政権打倒のためゲリラ戦を開始し、多くの民衆の支持を獲得したカストロはキューバ革命を成功に導き、キューバの首相に就任する。
  1962年、米ソ間の冷戦による核戦争の危機を招いたキューバ危機を経る。1976年以降はキューバ共和国国家評議会議長兼閣僚会議議長となり国を指揮していたが、2006年7月に病で倒れ、現在政治的権限を暫定的に弟のラウル・カストロ第一副議長他に引き渡している。

(プレス資料より)

 

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 カストロは、小さいころから自己顕示欲が強く、いつか必ず天下を取ると誓っていたそうです。
 1953年の蜂起に失敗したあとも再起をはかるパワーは、幼いころからの信念がいかに強いかを証明しているのかもしれません。
 ソ連の経済援助が停止したことにより、キューバでの市民の生活はどん底に陥り、1980年の12万人の経済難民脱出という事態もまねいています。 しかし、若手指導者を育てたり、米ドルの使用を合法化したり、革命思想に幻滅した国民の心の隙間を埋めるために、無神論者であるにもかかわらず、ローマ法王を招くなど、できる限りのことをやるという姿勢には、コマンダンテ(司令官)としての力が健在であったことを示しているのではと思わせます。
 インタビューの中で、ふともらす環境問題に対するコメントの中に、これから何が大切なのかを見極めているようにも見えます。
 ドキュメンタリーでありながら、歴史がいかに作られていったかを、国の中枢にいる人間の語りをとおして作り上げたユニークさを感じます。(JS)










■監督:オリバー・ストーン
1946年、ニューヨーク生まれ。教師、商船の船員、タクシー運転手など様々な職業を経験した後、 21歳で米軍歩兵隊に志願入隊しベトナムへ行く。ベトナムからの帰還後、ニューヨーク大学のフィルムスクールに入学し、 マーティン・スコセッシに師事する。1974年『邪悪の女王』にて監督デビュー。78年『ミッドナイト・エクスプレス』 でアカデミー賞脚本賞、ゴールデン・グローブ賞脚色賞を受賞。『プラトーン』(86)でアカデミー賞作品賞と監督賞、 ゴールデン・グローブ賞監督賞を受賞。『7月4日に生まれて』(89)にて2度目のアカデミー賞監督賞を受賞。『JFK』(91)、 『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)、『ニクソン』(95)、『ワールド・トレード・センター』(06) など。

■スタッフ
監督:オリバー・ストーン 
音楽:アルベルト・イグレシアス 
編集: アレックス・マルケス、エリサ・ボノーラ
撮影監督: ロドリコ・プリエト、カルロス・マルコビッチ
エグゼクティブプロデューサー:ジャウマ・ロウレス、ホセ・イバニュス、アルバロ・ロンゴリア ラインプロデューサー:ヴィンセント・ジョリエット
プロデューサー:オリバー・ストーン、メディアプロ

 


         


■オフィシャルサイト
http://www.alcine-terran.com/comandante

2003年/アメリカ・スペイン合作/カラー/100分/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD/
原題:Comandante/
配給:アルシネテラン/
協力:TBSサービス/後援:キューバ大使館
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