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長江哀歌
STILL LIFE

2007年8/18(土)より、シャンテ・シネほか全国順次ロードショー


■ストーリー
  船の上。花札をする人、タバコを吸う人、携帯電話をかける人、手相を見る人。中国の今を生きる人々。一人の男が暑さのために上着を脱ぐ。その後ろに長江・三峡の絶景が見える。
船を下りた男は、16年前に別れた妻子を探しに、山西省からやってきた炭鉱夫ハン・サンミン。昔、妻が住んでいた場所にバイクで連れてきてもらうが、すでにそこは三峡ダム建設で水の底に沈んでいた。サンミンは、しばらく三峡の街、奉節(フォンジェ)に腰を落ち着け、妻子を探すことにきめる。

「烟(タバコ)」
チンピラが面倒見てくれた宿には、船の上でマジックショーの呼び込みをしていた若い男がいた。名前はマーク。サンミンが煙草をすすめると、チョウ・ユンファを真似して火をつける。宿の主人は妻の兄の居場所を教えてくれた。サンミンは船で暮らす義兄を訪ねる。

「酒」
労働者が泊る宿・唐人閣に職の相談に行くサンミン。翌日から、住民移住で必要なくなった建物の解体作業に精を出す。唐人閣の女主人はサンミンに女の世話をしようという。女主人はサンミンの妻ヤオメイを知っていたが、消息は知らなかった。ある日、サンミンはマークと酒を酌み交わす。マークは、サンミンとヤオメイが売買結婚だったことを見破る。
サンミンが眺める峡谷を、同じく眺めている女がいる。彼女の名はシェン・ホン。三峡の工場に働きに出て2年間音信不通の夫を探しに山西省からやってきた。工場責任者の妻は、夫グォ・ビンを知っていたが、もう夫はここを離れ、荷物だけが残っていると言う。

 


■キャスト
シェン・ホン:チャオ・タオ 趙 涛
サンミン:ハン・サンミン 韓三明
トンミン:ワン・ホンウェイ 王宏偉
グォ・ビン: リー・チュウビン 李竹斌
ヤオメイ: マー・リーチェン 馬礼珍
マーク: チョウ・リン 周林
歌う少年:ホァン・ヨン 黄勇
 




       


「茶」
夫の荷物の中にあったお茶を、シェン・ホンは飲んでみた。
シェン・ホンは、夫の友人ワン・トンミンを訪ねる。トンミンは、夫の今の職場である住民撤去管理部に案内してくれた。しかし夫は留守だった。住民立ち退きを違法にやっているらしい若い衆が、住民といざこざを起こし頭を殴られて戻ってくる。青年は、グォさんは独身だが経営者のディン女史と怪しい仲だと言う。
ひとまずトンミンの家に身を寄せるシェン・ホン。その夜。2人は、グォ・ビンが経営する社交ダンス場へ出かける。昔、夫はダンスなんかしなかったのに。

翌日。シェン・ホンはようやく奉節に戻って来た夫に会う。悪びれもしない夫に背を向けシェン・ホンは歩き出す。追いかけて来た夫は彼女をなだめるかのようにダンスに誘う。ぎこちなく踊る2人の背後に三峡ダムが見える。

「糖(アメ)」
眼下にシェン・ホンの乗る船が行く。サンミンが、その峡谷を眺めている。
いよいよサンミンの宿も取り壊される。唐人閣も取り壊しの日が近づいている。マークはウサギ印の飴を手下の若い衆に配る。どうやらマークはシェン・ホンの夫の元で働いているらしい。
義兄から電話が入り、ヤオメイが戻ったことを伝える・・・。

※   ※   ※

       
 




       


■プロダクション・ノートより / ジャ・ジャンクー(監督)

 長江・三峡が最も大きな変化を迎えたのは2000年から2002年にかけてです。その頃、大規模な立ち退き策が進行中で、家は壊され、人は移住させられていました。
人々がどう暮らしているのか、巨大ダムによってどのような影響を被ったのかに興味があったのです。
 巨大プロジェクトの背後に私たちが見たものは、移住後に人々が直面した問題と困難でした。巨大ダムが建設される中、彼らは家を壊され、移住させられたわけですが、 彼らの経験した変化は、中国全土の人々が経験した変化そのものであるように見えました。だからある意味で、三峡で起こった変化は、中国全体の変化を象徴しているのです。

  三峡の人々の中にどれほどの生命力があるのか、彼等がいかに困難に直面し、決定を下し、さらにその過程で自由を見出し、尊厳を高めたのかを観客に見せたかったのです。


 
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 1993年に着工した長江の三峡ダム。急速な変化を遂げる中国を象徴する一大事業。この三峡ダムというプロジェクトを背景に、ダム建設によって、水没していく運命にある古都・奉節(フォンジェ)を舞台に綴られる二人の男女の物語。
 寡黙な鉱夫ハン・サンミンとシェン・ホン。時代の大きなうねりに翻弄されながらも日々を精一杯に生きる人々。豊かさと程遠いところにある生活の中で、人を思う心が鮮明に伝わってきます。(JS)








■監督・脚本:ジャ・ジャンクー
1970年、中国山西省、汾陽〔フェンヤン〕生まれ。山西省の省都・太原(タイユェン)の芸術大学に入学し、油絵を専攻。同時に小説執筆を始める。
97年、北京電影学院を卒業。卒業製作の16mm長編劇映画『一瞬の夢』が、98年ベルリン国際映画祭で、ヴォルフガング・シュタウテ賞(最優秀新人監督賞)を受賞。
『プラットホーム』(00)はナント、ブエノスアイレスの両映画祭でグランプリ。『青の稲妻』(01)。『世界』(04)などを監督。


■スタッフ
監督・脚本:ジャ・ジャンクー 賈樟柯
撮影:ユー・リクウァイ 余力為
美術:リャン・チントン 梁景東
リュウ・チァン 劉強
音楽:リン・チャン 林強
編集:コン・ジンレイ 孔勁蕾
録音:チャン・ヤン 張陽
プロデューサー:シュウ・ポンルー 許朋楽
  ワン・ティエンユン 汪天雲
  チュウ・ジョン 朱炯
エグゼクティブ・プロデューサー:チョウ・キョン 周強
  タン・ボー 淡勃
  レン・チョンルン 任仲倫
製作:エクストリーム・ピクチャーズ
共同製作:上海フィルム・グループ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
www.bitters.co.jp/choukou

2006年ベネチア国際映画祭金獅子賞グランプリ

2006年/中国/カラー/113分/HD→35mm/1:1.85/SRD
原題:三峡好人 英語題:STILL LIFE
日本語字幕:小坂史子
提供:バンダイビジュアル、テレビ朝日、
     ビターズ・エンド、オフィス北野
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野