カルラのリスト
CARLA'S LIST

2007年11月10日（土）東京都写真美術館ホール、
12月1日（土）アップリンクにて緊急公開！


■ドキュメンタリー
　 戦争の最大の犠牲者は子供たちと女性。それがもっとも顕著であった旧ユーゴ紛争。スレブレニツァの虐殺では、男は殺害され、女は強姦された後、子供が生まれるまで一箇所に集めれて監禁された。
これらの指揮を執った旧ユーゴ紛争の戦争犯罪人たちを追うのは、世界で最も厳重なボディーガードに守られた女性といわれる、国連検察官カルラ・デル・ポンテ。
カルラはオランダ、ハーグの事務所にチームを作り、専用ジェット機で世界を飛び回り、犯人逮捕のため国家首脳と交渉を行う。しかし進展は遅い。当事国セルビア政府は、集団虐殺の戦犯だと知っていても彼らを逮捕しないし、協力も拒むからだ。
いらだつ戦争犠牲者の婦人たち。カルラはアメリカ国防総省（ペンタゴン）に戦犯の情報を求めて向かうのだが・・・

 

プロダクション・ノートより

■カルラ・デル・ポンテ
1947年スイス生まれ。1981年、下級判事となる。1985年ティチノ郡の検事に任命され、詐欺、国際的薬物取引、組織犯罪を担当。
1994年、スイスの司法長官に任命され、組織犯罪と、スイスに安息地を見出しているあらゆるマフィアと闘う。1998年、元メキシコ大統領、サリナスの預金1億5000万ドル（約170億円）を凍結した。この時点で彼女は、スイスで唯一、24時間武装したガードマンに守られる公人となった。
1999年、旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷（ICTY）と、ルワンダ国際刑事法廷（ICTR）の検事に任命。戦争犯罪と、大量殺人と、人道に対する犯罪に責任があると思われる人物を調査し、起訴している。その中にはミロシェヴィッチも含まれている。

■旧ユーゴ紛争(1991年-1999年)
旧ユーゴスラビア連邦解体の過程で起こった内戦。
自民族の優位性を根拠にセルビア、クロアチア、モスレムのそれぞれが他民族に対する残虐な排他行為を行った。冷戦構造の崩壊後、6つの共和国からなる連邦国家ユーゴスラビアからスロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナが独立を宣言したことがきっかけである。
91年のスロベニア、クロアチアの独立をきっかけに始まった紛争は92年にボスニア・ヘルツェゴビナに飛び火。国民投票によって決定したボスニアの独立に対して地元セルビア人勢力が反対し、ユーゴ連邦軍の支援を得てボスニア紛争が開始した。

4年にわたる紛争では死者・行方不明者が200万人以上、難民や国内避難民は300万人以上とも言われている。また、98年にはアルバニア系のコソボ解放軍とセルビア治安部隊が武力衝突し、99年にNATO軍が介入するまでコソボ紛争は続いた。
この内戦では、昨日 までの隣人同士が殺し合う凄惨な虐殺が国中で展開した。第２次大戦後の欧州で最大の悲劇といわれる。

■監督：マルセル・シュプバッハ
1950年生まれ。文学を学び、15歳にして短編映画の撮影。数十のスイス映画に、カメラマン、編集アシスタントとしてかかわる。1984年以降、映画制作に並行して、スイスのフランス語テレビのニュース・マガジンにも定期的に協力。

『ラレグマン』（L'ALLEGEMENT）/1983
『ハッピー・エンド』（HAPPY END）/1987
『シャッカン・プル・ロートル』(CHACUN POUR L’AUTRE)/
『レゾノー』(LES AGNEAUX)/ 1995
『ベー・コム・ベジャール』（B COMME BEJART:『ベジャール・イントゥー・ザ・ライト』）/2001
『レ・ゾム・ドゥ・タネル』(LES HOMMES DU TUNNEL)/ 2004

■スタッフ
監督：マルセル・シュプバッハ
プロデューサー：ジャン＝ルイ・ポルシェ、ジェラール・リュイ
撮影：デニス・ユッツラー
編集：グヴィッド・モンチ
音楽：ルイス・リャック