君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956
Children of Glory

11月17日より、シネカノン有楽町2丁目ほか全国順次ロードショー


■ストーリー
1956年モスクワ。
ソ連対ハンガリーの水球の試合が行われている。試合は、ソ連びいきの判定が続き、ハンガリーのエース選手カルチが怒りにまかせ審判にボールを投げつけて中断。ハンガリーは敗れてしまう。
チームがブダペストに戻ると、カルチは秘密警察AVOの本部に連れていかれ、「金輪際、ソ連の同志に刃向かってはならん。家族が大切だろう」とカ脅される。
帰宅したカルチ。祖父は、ポーランドで民衆が立ち上がったニュースを伝えるラジオに耳を傾けていた。祖父はカルチに「自由のために反撃すべき時もある」と声をかける。

 

 


■キャスト
カルチ(カーロイ):イヴァ-ン・フェニェー
ヴィキ(ヴィクトリア):カタ・ドボー
ティビ:シャーンドル・チャーニ
水球チーム監督:カーロイ・ゲステシ
カルチの母:イルディコー・バーンシャーギ
カルチの祖父:タマーシュ・ルダーン
エステル:ヴィクトーリア・サーヴァイ
ヤンチ:ツェルト・フサール
イミ:タマーシュ・ケレステシュ
フェリおじさん:ペーテル・ホウマン
ヨージカ(ヨージ):ダーニエル・ガーボリ
 








       

 
ブダペスト工業大学では共産青年同盟が集会を開き、ポーランドのニュースは資本主義者のつくり話だと訴えた。そこへ、セゲド大学の独立学生連盟の代表が乱入し、真実を訴えようとするが、壇上は混乱。その時、ひとりの女性が「彼に話させて」と声をあげた。彼女の名はヴィキ。
翌日、カルチが、友人イミを大学に訪ねた。政治には興味がなかったが、ヴィキに目を奪われた。集会が終わると彼女に声をかけたが、有名なカルチに話しかけられてもヴィキの態度は冷たく、「あなたは共産主義者のお気に入り、どうぞ特権を大切にして」とあしらわれる。

 10月23日。カルチとティビの前に、デモ隊を導くヴィキの姿があった。カルチはヴィキを追い、一緒に国会議事堂へ向かった。そこでは多くの市民が、改革派の指導者ナジ・イムレが出てくるのを待っていた。ナジが姿を現すが、「同志」と呼びかけたことにブーイングが起きる。学生連盟のリーダー、ヤンチが自分達の要求をラジオで放送するとヴィキたちを誘う。しかしラジオ局では、AVOとの間に衝突が起き、突然放たれた銃弾にイミが倒れる。それをきっかけに一気に暴動が広がる。

ヴィキの家。長い沈黙の後、口を開いたカルチはヴィキを責めた。「デモで何が変わる?イミの母親に何と言う?」。ヴィキはカルチに反論するが、自分の両親もAVOに殺されたことを打ち明け、哀しみを吐露する。二人は寄り添いながら眠った。
翌日、ナジ・イムレが首相になったというラジオ放送を聞き、喜んだカルチとヴィキだった。しかし、街に戦車があらわれ、小さな火炎瓶で立ち向かった市民を無慈悲に撃ち殺す。ヴィキは戦いに向かうが、カルチはオリンピックの夢を銃弾で打ち砕かれたくないと告げ、背を向けた・・・。

 

※   ※   ※


       
 




       

■アンドリュー・G・ヴァイナ

/プロダクション・ノートより

革命という史実、記憶の中の革命。
1956年革命の参加者や目撃者は今日でも生きている。俳優やスタッフのほぼ全員が、家族の年長者から聞いてこの事件に関する知識を持っていたが、同時に、50年前の傷はまだ完全には癒えておらず、そのことが妨げにもなった。

「私たちには全員、それぞれの1956年革命があるのです。この過去の出来事について全く同意見を持つ歴史家は2人といません。そして大半の人は感情として1956年を覚えています。ですから映画制作にあたっては、史実に忠実に作ることに加えて、感情的に人々の心をつかむものを目指す必要がありました」と監督は語る。ヤンチ役の俳優ゾルツ・フサールは次のように言う。「僕らは誤った歴史を教えられていた。学校は、1956年は反革命運動の年だったと僕らに信じさせようとしていた。1989年10月23日に共和国が宣言された時、僕はコシュート広場にいた。あの日から1956年に関する信じがたい事実が明らかになったんだ」。

 
>>>
1956年10月25日、ハンガリーの首都ブタペストにあるコシュート広場で起こったデモ隊に向けての一斉射撃。1956年12月6日メルボルンオリンピックでの水球試合中、ソ連選手の反則行為でハンガリー選手が流血した事件。この2つの事件をモチーフに作品は作られています。
現在のハンガリーを知る上でも重要な事件。市内をソ連軍が普通の市民に向けて発砲するシーンは、最近起こったミャンマーでの同様の事件を連想させます。主導層が何をやってきたのか、なぜそうなのかを考えさせられる作品です。 (JS)








■製作:アンドリュー・G・ヴァイナ

1944年、ブタペスト生まれ。1956年「メルボルンの流血戦」が行われた日に12歳でハンガリーを後にした。
82年、『ランボー』で製作デビュー。89年に製作会社を設立し、『トータル・リコール』(90)、『ダイ・ハード3』(95)、『アイ・スパイ』(02)、『ターミネーター3』(03)のほか、『ミュージックボックス』(98)、『スカーレット・レター』(95)、『ニクソン』(95)などをプロデュース。

■監督:クリスティナ・ゴダ
1968年、ブタペスト生まれ。イギリスの国立映画学校を卒業。UCLAで脚本も学ぶ。2000年「Croatian Syndrome」(テレビ映画)、2005年「Just Sex and Nothing Else」(初長編)などを監督。

■スタッフ
原案:ジョー・エスターハス 
脚本:ジョー・エスターハス、エーヴァ・ガールドシュ、ゲーザ・ベレメーニ、レーカ・ディヴィニ
共同製作:クライヴ・パーソンズ、S・タマーシュ・ザーコニ
撮影:ブダ・グヤーシュ
美術:ヤーノシュ・サボルチ
衣装デザイン:ベアトリス・アルナ・パーストル
作曲:ニック・グレニー=スミス
製作:アンドリュー・G・ヴァイナ
監督:クリスティナ・ゴダ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.hungary1956-movie.com


原題:Szabadság, szerelem(愛、自由)英語題:Children of Glory/
2006年/ハンガリー映画/120分/1:2.35/SRD
字幕翻訳:大西公子 字幕監修:小島亮
配給:シネカノン