迷子の警察音楽隊
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■キャスト トゥフィーク/サッソン・ガーベイ ディナ /ロニ・エルカベッツ カーレド / サーレフ・バクリ シモン / カリファ・ナトゥール カマル / イマド・ジャバリン イマン / ターラク・コプティ ファウジ / ヒシャム・コウリー マクラム / フランソワ・ケル サレー / エヤド・シェティ パピ / シュロミ・アヴラハム イツィク / ルビ・モスコヴィッチ イリス / ヒラ・サージョン・フィッシャー アヴルム / ウリ・ガブリエル レア / アフヴァ・ケレン |
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カーレドは、地元の若者パピがデートに出掛けるというのに無理やりついていく。しかし、デートは目もあてられないありさまに。「女と…したことないのか?」「ないよ。どんな感じがするの?」カーレドは、それはアラビア語でしか説明できないと。パピは、カーレドに手取り足取り教えてもらいながら、女の子とはじめてキスを交わすことに成功する。 イツィクの家では、3人の団員が家族と食卓を囲んでいたが、話が盛り上がるはずもない。しかし、かつてバンドをやっていたという家族の一員が名曲“サマー・タイム”を口ずさみはじめると、空気が変わった。歌を介して、ぎこちなかった食卓に親密さが生まれていく。夕食後、自作した協奏曲のエンディングに悩むシモンに、イツィクが話しかけた。「これが協奏曲のラストかも…。派手に盛り上げるんじゃなくて──不意に静まるんだ。悲しくも楽しくもなく。まるで──小部屋のように、明かりとベッドだけ。赤ん坊が眠り…あとは…深い寂しさが。」これだ、これなんだ…シモンの頭の中で、協奏曲のエンディングが、ゆっくりと鳴り始めた。 家に帰ってきたディナは、意を決して「トゥフィーク、エジプト映画は好き?」と話しかける。「小さい頃、テレビでやっていたのよ。オマー・シャリフ、ファテン・ハママに憧れたわ。あんな悲恋に恋してた。今夜は映画の再現みたい。エジプト映画の燃える恋。でもダメね。私じゃブチ壊しだわ。」それは、挫折を繰り返してきた、彼女なりの告白だった・・・。 ※ ※ ※
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■エラン・コリリン監督の言葉 そして、IBAオーケストラも解体されてしまった。MTV、BBC、RTL、“Israeli Idol”、ポップ・ソングや30秒CMが僕たちの元にやってきたのだ。30分放映していただけの四半音の歌のことを誰が気にかけるというのだろう? 僕は確信しているが、近い将来に僕と隣人の息子たちが出会う場所は、マクドナルドの巨大な看板の下でネオンが輝くショッピングセンターなのだろう。それはもしかしたら心休まることなのかもしれない。ただ、そこに至る道のりの中で、僕たちが何かをなくしてしまったことは確かだ。僕たちは、真実の愛を一夜限りの関係に、芸術を商業に、人とのつながりや会話することの魅力を、どれだけ多くのものを手に入れられるかということとひきかえにしてしまったのだ。 ■イスラエルとエジプト |
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>>> イスラエルに演奏に来たエジプトの音楽隊が、行き先を間違えた先で、思わぬ心のふれあいを体験する。民族的な対立とすっかり商業化してしまった祖国で、心の交流のあり方を問いかける作品。 理想の国として、ヨーロッパ的なユダヤ人国家を夢見ていた国は、アラブとユダヤという対立の中でさまざまな問題を抱えてきました。それは、どこの国にもあてはまって行きそうな話し。普通の人々の視点を通して、言葉の通じない人々がどうやったら交流できるのかを教えてくれます。 (JS)
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東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)受賞 ○2007年カンヌ国際映画祭 ある視点部門 一目惚れ賞 国際批評家連盟賞 ジュネス賞 ほか、24冠を達成。 原題:Bikur Hatizmoret(英題:The Band’s Visit)/ |
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