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田中 七星 展 
Nahoshi Tanaka DRAWING EXHIBITION

2006年4月24日から 5月6まで、銀座のSpace Kobo & Tomoにて「Nahoshi Tanaka DRAWING EXHIBITION」が開催された。ロンドンのRCA(ロイヤルカレッジオブアート)を卒業し、日本に帰ってから初めての個展。RCAのことや作品について田中さんに聞いてみた。


Q:RCAはどんなところですか。

RCAは修士課程のみのカレッジで、コミュニケーション・アート&デザイン学科を卒業しました。 RCAの学生には作家肌の人が多かったですね。建築なら建築という枠にとらわれず、互いに領域を越えた活動が自由であり、おもしろかった。
卒業展には、世界中から何万人もの人が訪れ、多くのキュレーターがやってきます。半分は学校で半分は社会の中にあるといった感じです。 先生も社会的に活躍している作家が多く、生徒のことも一人の作家としてみています。 授業は自分がプロジェクトを考え、自分が実現するといった進め方。先生から何か技術的なことを教わるということではなく、「自分の表現の延長線上でやれ」とい う、ものを作る姿勢を教わりました。

 

             
   



Q:作品の原点は?

原点は街角にある落書き。その辺から入っています。落書きは、消されても存在している。覆い隠されているけど存在している。これはコラボです。一瞬のはかな さがいい。 この作品も何かを描写しているわけではないんです。一瞬のひらめきをもちだすのに最初に一本の線を引かなければならない。どこで終わるかは難しい。作意的 に作り始めるとよくなく、どこで止めるか無意識にすすめています。 グラフィックデザインの経験で、手に蓄積されたものが生かされています。けれど、グラフィックデザイナーの自分が共存しているために、良くも悪くも葛藤しています。

 

       
 




Q:イギリスに行く前と後で変化はありましたか?

劇的に変わりました。ものを見る視点が。向こうに行って、50人の前でプレゼすると、モチーフにしても、線一本にしても自分が日本人であることを確認します。一 度出ると比較できるし、今までの一人称の見方ではなく、いろいろな視点で見られるような気がします。そういうものがロンドンに共存している気がするんです。 ものの考え方が変わるし、外国に行くことで日本がどんな国なのかを再発見しました。日本に帰って山手線に乗るとヒーターが入っているけど、ロンドンの地下鉄 にはヒーターが入っていない。生きることに慣れてしまっていたところに、そういうちょっとした違いがモチーフになったりするのだと思います。(談)

 

Daily Drawing


『日々行われるドローイングは自身の生活の中で目にしたものや、その記憶を糸口に、衝撃的に色や 線となって紙面に現れることが多い。また、自分自身の引いた線や色、それに共なう現象にインスピレ ーションを受け、それらを抽象化/誇張化するプロセスの中で、視覚的なものが生まれます。それは描 写ではなく、自身の感情や目に見えない何かを、身体の動きを通して、描き落としている作業ではない だろうか。』※


   

  


   

Art Magazine; LE GUN #2-「パリ」

『在籍していたコミュニケーションアート&デザイン学科の学生によって年に1〜2号、発行されるアートマガジン「LE GUN」は、毎号のテーマに対して、物語性を含むイラストレーションやドローイングを掲載し、駆け出し作家の作品発表の場としています。主にロンドンのアートギャラリーの書店に販売しています。この号のテーマ「パリ」では、実際に訪問し、後に残った記憶の断片をいくつか組み合わせ、私的パリの風景/人を描いています。』※

   
               



OBERON BOOKS ILLSTRATION AWARDS 2005
 

 

   
※ :展覧会のパネルより転載