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畠山直哉 展
Zeche Westfalen I/II Ahlen
June 24 -July 22, 2006
Taka Ishii Gallery


2006年6月24日(土)から7月22日(土)まで、タカ・イシイギャラリーで、畠山直哉個展が開催された。
展示構成は、2003年の10月から2004年の2月にかけてドイツ、ミュンスター南東部の旧炭鉱都市Ahlen(アーレン)で撮影された「Zeche Westfalen I/II Ahlen」(ヴェストファーレン炭鉱I、II、アーレン)シリーズより、26点の写真作品。



 畠山直哉「Untitled」2004, C-print, 100 x 150cm, edition of 8
 

 


「壊される予定の建物があるから写真に撮っておいてくれませんか?」という依頼には、 「もうすぐ死ぬ人がいるから肖像を撮っておいてくれませんか?」という依頼に 似た響きがある。いなくなった人を懐かしむためにその人の肖像が必要なように、 消えてしまった建築を懐かしむために建築写真が必要とされる。
そして、そんな撮影をする写真家の心にはもうひとつの懐かしさがつきまとう。 「人の記憶への奉仕」という写真の原初的な役割が、単純素朴に要請されていること。 そのことが、なぜだか彼にはひどく懐かしいことに感じられるのだ。

「記録」は常に未来からの視線を前提としている。そこに見える光景が過去であっても、 写真自体は延々と未来に運ばれる舟のようなものだ。いっそ「記録」は過去では なく、未来に属していると考えたらどうだろう。そう考えなければ、シャッター を切る指先に、いつも希望が込められてしまうことの理由が分からなくなる。

畠山直哉


 



 畠山直哉「Untitled」2004, C-print, 50 x 65.5cm,edition of 10

協力: タカ・イシイギャラリー
http://www.takaishiigallery.com