大野公士による個展が開催されている。大野さんが追求してきたのは「人間の肉体」というモチーフ。ギャラリー空間も作品の一部となり、内部をくりぬかれ、皮1枚残した独特な木彫が、精神的な高みを獲得しているかのような世界を創り出している。 1階には水盤、その上に、何かを守るような2体の人体像、2階には中央にトルソとその周りに4つの頭部が配され、1階と2階を隔てる床の中央には1m四方の穴が開いている。この穴が上下階の作品を空間的にも意味的にもつなげている。これらはシンメトリックに構成され象徴性と崇高性を高めている。 内部を削ぎ落とすことで、人間の内と外との関係を感じるようになる。さらに弱い光によって作り出された陰影がそこに生命を得たような感覚をもたらしている。木彫の原点をテーマにしたのではないかと思われる「啓示」というタイトル。居合わせるものは、その内側にある何かを観ることになるのだろうか。 |
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4つの頭部のうち、この顔だけが優しい。 それは何を意味しているのだろう。 人間に対する優しさのまなざしだろうか。 それとも、人間の不完全さの象徴だろうか。 いずれにしてもこの表情は穏やかだ。 |
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