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薄久保 香 / 岡地 習子

第55回東京藝術大学卒業・修了作品展より
2007年2月21日-2月26日


 2月に開催された東京藝術大学卒業・修了作品展。大学美術館3階に展示されていた作品でまず目に入ってきたのが冨谷悦子さんのエッチング作品。無数の植物や動物でびっしりと描きこまれた細密の世界。およそ同居することのないものたちが違和感なく存在し、不思議な小宇宙を作り出しています。昨年の秋に、山本現代で初の個展を開催しています。
  絵画棟では、薄久保 香さんの点描のようなタッチで描かれた、やはり緻密さを感じる作品が印象的でした。こちらの作品もそこにありえないだろうものが不思議と違和感なく同居しています。
  そして都美術館では岡地 習子さんの「道」。金箔のような輝きをもった地に植物らしきものが描かれています。植物といっても、葉脈をもたない、シルエットのような象徴的な植物に見えます。その光の感触と密度が観るものに迫ってきます。「見る人の立つ位置によって浮き上がる光りが変化します。作品から離れている時は遠近感のある道の風景が。そして近づくにつれて足下と頭上に揺らめく木漏れ日を、それぞれ見下ろした、または見上げた絵になるように制作しました。『歩む』とは『光りを追う』ことであると気づく瞬間を再現しようとしました。」と、岡地さん。道というタイトルがこの世界とをつなげているかのようです。

 

       
       
 
 
薄久保 香
修士 油画
《On the beach 》
130.3×130.3cm

 
   
 
   
    
 
 
 
岡地 習子
学部 油画
《道

台東区長賞受賞、台東区蔵
H227×W227cm(S150号)
石膏地、金箔、アクリル絵の具、油絵の具
photo/岡地 習子