つぐない
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■キャスト キーラ・ナイトレイ ジェームス・マカヴォイ シアーシャ・ローナン ロモーラ・ガライ ヴァネッサ・レッドグレイブ ブレンダ・ブレッシン |
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昼下がり、庭の噴水の前で、セシーリアとロビーの間でささいな諍いが起こり、セシーリアの持っていた花瓶が壊れ、その一部が水中に落ちてしまう。次の瞬間、彼女は着ていた服を脱ぎ、噴水に飛び込んだ。花瓶のかけらを拾い、濡れた下着姿でロビーの前に立つセシーリア。 ロビーは家に戻り、セシーリアに自分の非礼を詫びる手紙をしたためた。タイプを打ちながら、次第に彼女に対する熱い想いがこみ上げ、思わず文面は猥雑なものになってしまった。 兄リーオンと、その友人でチョコレート製造で財を成したポール・マーシャルが屋敷に到着し、晩餐会が始まろうとしていた。屋敷に向かう途中のロビーは、さきほどの手紙をセシーリアに渡してもらおうと、ブライオニーに託した。 ロビーは、セシーリアに直接詫びようとした。この一件で、二人は自分の気持ちに正直になることができた。図書室の暗がりで愛し合う二人。しかし初めての情事は、妹ブライオニーの脅えた声で遮られた。人の気配を感じ図書室に入ってきたブライオニーにはその光景が、ロビーがセシーリアを辱めているように見えたのだ。 晩餐会。事件は起こった。家出したジャクスンとピエロを探すため、皆が手分けして敷地内を捜索している最中、ローラが何者かに襲われる。現場に居合わせ、逃げていく人影を見たブライオニーは、捜査官に証言する。ローラを襲った犯人は、ロビーだと。数時間後、見つけ出した子供たちを連れて、屋敷に戻ってきたロビーを警察が待ち構えていた。連行されていくロビーに駆け寄ったセシーリアは、彼の耳元でささやいた。「戻ってきて。わたしのところへ」・・・。 ※ ※ ※
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『つぐない』は、ある時代を描いた映画だが、日常の経験や、人間関係、さまざまな感情、選択や決定という営みを描いている点で、現代と呼応し合う。『プライドと偏見』で、ライトは原作のストーリーを捉えなおし、現代の観客に物語の時代や背景を越えたものを見せられる才能を見事に証明してみせた。クリストファー・ハンプトンはこう意見を述べている。「ある時代を描くことが厳密であればあるほど、物語の現代的な面がさらに鮮やかに見えてくる、というのがぼくの持論だ」 「この映画の核心にあるのは、感情の長くて興味深い旅路だという気がする。わたしたち人間はみな、自分の人生のどの時点でもやるべきことをやり、そのときの状況を乗り越えて生きていかなければならないし、この映画はそれがいったいどんなことなのかを非常に鋭く表現している」と、プロデューサー、ビーヴァンは要約した。 原作者のマキューアンは、スクリーン上のセシーリアとロビーのあいだに起こる相乗作用について語っている。「キーラとジェームズが一緒だとすばらしい場面になるね。わたしがとくに好きなのは図書室のシーンだ。セシーリアは傷つきやすい上流階級の娘で、自分の気持から乖離している人間だが、彼女の緊張感がいっぺんに解き放たれる。ここで、セシーリアは強い感情の奔流と、エロティックな衝動に包まれて自分の本当の気持と直面することになる」
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>>> 現代文学を代表するブッカー賞作家イアン・マキューアンの世界的ベストセラー「贖罪」の映画化。 政府官僚の長女に生まれたセシーリアと、兄妹のように育てられた使用人の息子・ロビーがを、身分の違いを越えて愛していると気づいたその日に、 小説家を目指す多感な妹のついた哀しい嘘によって引き裂かれる。その嘘によって運命を翻弄される二人への償いをモチーフにしている。 (JS)
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■キーラ・ナイトレイ |
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2007年/イギリス/カラー/ヴィスタサイズ/2時間3分 字幕翻訳:関 美冬 原作:「贖罪」新潮社刊 |
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