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おいしいコーヒーの真実
Black Gold

2008年5月31日よりアップリンクXほか全国にて順次公開


■ドキュメンタリー
 コーヒーは世界で最も日常的な飲み物。全世界での1日あたりの消費量は約20億杯にもなる。
 大手企業がコーヒー市場を支配し、石油に次ぐ取引規模を誇る国際商品にしている。こんなにも需要があるのに、コーヒー農家に支払われる代価は低く、多くの農家が困窮し、農園を手放さなくてはならないという現実。

 こんな不条理の中、コーヒーの原産国エチオピアで、一人の男が奮闘している。
タデッセ・メスケラ。エチオピアの74000人以上の農家を束ねるオロミア州コーヒー農協連合会の代表だ。
 あるときは、コーヒー農家の村へ行き、欧米でコーヒーが一杯いくらで飲まれているかを説き、また、あるときは、フェア会場で、フェアトレードを前面に打ち出し、エチオピア産のコーヒー豆が以下においしいかをサンプル片手にアピールする。

 


■出演
タデッセ・メスケラ 、他
 





       

 

 1989年以降、WTOによる「市場原理」の影響で、それまで安定していたコーヒー豆の価格は、大幅に落ち込み、豆が国の輸出額の67%を占めるエチオピアでは、毎年700万人が緊急食糧援助を受ける事態になっている。
 一杯のコーヒーを通して、その産業の実態を暴きながら、貧困に苦しむコーヒー農家の生活と、彼らを救おうとするタデッセの闘いを追っていく・・・。

 

※   ※   ※

 

       
 






       


■監督インタビュー
/ プロダクション・ノートより

なぜ、コーヒーというテーマを選んだか?
コーヒーにまつわる物語を通して、いかに自分たちが、日々の消費生活とアフリカで起こっていることが結びついているかを、人々に示せるのではないかと思った。と同時に、複雑な商取引の世界に向かって開けた、大きな窓にもなるのではと思った。

『おいしいコーヒーの真実』果たしたかったこと
自分たちがあたりまえのこととして受け止めている消費生活に疑問を持ち、それが世界のほかの国々と相互に絡み合っているものであることに気づいてもらいたかった。そして、早急に観客に知らせる必要のあったことは、一杯のコーヒーを通して、私たちが生存のために戦っている世界の何百万という人々の生計に分かちがたく結びついているということだった。

また、西洋のメディアの中で、意味もなく貧困と哀れさのみを強調したイメージによって、重荷扱いされている典型的なアフリカの姿も変えたいと思った。金を与えさえすれば問題が解決される、という単純なメッセージを超え、もっと前向きな部分―アフリカの解決策はアフリカにある―にスポットを当てたかったのだ。

だからこそ、よそからの援助をあてにしない好例、タデッセ・メスケラを中心に持ってきたのだ。彼は状況を変えるために本気で取り組んでいる。何より重要だったのは、人々に現在の国際商取引システムが何百万という人々を奴隷化していて、早急に変革する必要があることを知らせることだった。

観客の反応
サンダンス・フィルム・フェスティバルでプレミア上映したときから、この映画が反響を起こすことは直感できた。Q&Aコーナーで最初に質問してきてくれた人は、映画の1シーンで出てきた学校を完成させるために1万ドルの小切手を切ってくれた。ほかのある人は、あるコーヒー企業に彼らのおかげで間違った方向に導かれたという気持ちを表明するために、その会社から1万ドルの投資を引き上げたという。
人々は映画館を出て、何かしたがる。意識的な消費者として、企業に彼らの取引概念や価格設定のポリシーを尋ねるとか、あるいは、公正な取引のためにキャンペーンを展開する組織に参加登録するとか。

 
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オロミア州コーヒー農協連合のタデッセ・メスケラさんを追い、コーヒー豆産地とコーヒービジネスのしくみの抱える問題を捉えたドキュメント。
私たちが、親しんでいるコーヒー。これだけの手間をかけてつくられていたのかということ、しかも、その生産者の手元に労働に見合うだけの報酬が行き渡っていない現実。コーヒー豆を通して、アフリカの抱える問題と世界の仕組みが見えてきます。
「市場原理」は人々をロボット化し、アフリカだけではなく、日本の米もそうであるように、今日的な問題となっています。
注目されるのは、悲惨さを提示するだけではなく、「フェアトレード」と「協同組合」ということばが、未来の食を考える上での重要なキーワードになることを、気づかせてくれることです。
1杯のコーヒーを飲むときに、それがフェアトレードによって生まれたものかどうか、意識することを教えてくれる作品です。
(JS)








■監督:マーク・フランシス、ニック・フランシス

彼らの父親はいつもビデオとスチルのカメラを持ち歩いており、その影響でニックはビデオ、マークは写真を撮ることが好きになった。映画学校には行かず、映画制作については、低/無予算の作品を作り、観た人からフィードバックをもらいながら学んだ。
共同監督初作品は、イギリスの核武装を解除しようとする人々を追った、チャンネル4のドキュメンタリー『Nuke UK』。本編は初の長編ドキュメンタリー作品で、サンダンス・フィルム・フェスティバルで初上映し、批評家の賞賛を得た。


■タデッセ・メスケラ:オロミア州コーヒー農協連合会代表

「私たちの願いは、消費者が自分たちの飲んでいるものについて理解してくれることです。知識さえ与えられれば、消費者は変化をもたらすことができる。それはなにもコーヒーに限ったことではなく、安価で売買されているすべての生産物においてです。この安価のおかげで、生産者は大きな影響を被っているのです」

エチオピアのアジスアベバ近郊の貧しい家庭に生まれた。
彼の両親は長い間、彼に靴を履かせてやることも、弁当を持たせてやることもできなかった。タデッセは、何年間も、毎日2時間かけてはだしで通学し、2時間かけて帰ってきた。
その生い立ちから、貧困から抜け出そうと決意し、タデッセは大学に入学できるまで必死に勉強した。1990年の初めには、彼は州の農業局の部長を務めるまでになっていた。
日本の農協で行われた2ヶ月の協同運営の研修後、タデッセは中間業者や輸出業者に支払われている多額の金を農業者が受け取ることのできる、協同組合システムに強い感銘を受けた。1999年オロミア州コーヒー農協連合会が設立され、その後組合は、4つの学校を建て、教室を17増やし、4つのヘルスセンターを設立し、2つの浄水供給所を設置し、200万ドル配当金として農家に還元することに成功している。



■スタッフ
監督/プロデューサー:マーク・フランシス、ニック・フランシス
編集:ヒュー・ウィリアムズ
音楽:アンドレアス・カプサリス
出演:タデッセ・メスケラ 、他

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
英文
http://www.blackgoldmovie.com

http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/

2006年/78分/イギリス、アメリカ/オリジナル言語:英語、アムハラ語、イタリア語/16:9/カラー
原題:Black Gold
字幕監修:辻村英之
配給:アップリンク