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愛おしき隣人
YOU, THE LIVING

2008年4月26日(土)恵比寿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー


■Introduction
北欧のとある街の住人たち。ロックスターとの結婚を夢見る少女、世界で一番ついてない夫婦、誰からも愛された事のない男、「誰も私を理解してくれない!」と泣き叫び、歌い出す女、困窮した家計を静かに嘆く精神科医…。一生懸命に生きているけど、今日もやっぱりついてない。そんな住人たちが集うとあるバー。1日の終りに、バーテンダーは言う。「ラストオーダー、また明日があるよ!」。ユーモラスな音楽に乗せて、とぼけた笑いと、圧倒的オリジナリティで、普遍的な人間愛を描く。
北欧のとある街のちょっとおかしな住人たち。
隣のリビングを覗いてみれば、愛おしい人生たちがあふれだす。

 

 


■キャスト
ジェシカ・ランバーグ
エリック・ベックマン
エリザベート・へランダー 
ビヨルン・イングランド
ビルギッタ・ペルソン
ケマル・セナー
ホカン・アンサー
 



       

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■Interview ロイ・アンダーソン

― この映画はオリジナリティが溢れています。アイデアはどのように生まれたのですか?

ある古いアイスランドの詩の「人は人の喜びである」という一節が好きです。とても良い。しかし私はこうも考えます。「人は人の喜びだけではない」。人は人にとって恐れや敵でもあります。私たちは、お互いに頼り合ってもいます。どういった形であれ、関係しているのです。それが私を魅了するのです。

― 本作の構想を始めたとき、いつもよりもさらに人間観察されましたか?

私は15歳の時、作家になりたかったのです。言葉に魅了されていました。そして美術。画家や彫刻家になりたかったです。映画を作るということは二つの野心を組み合わせることができます。それに私は演奏もします。映画作りにはこれら3つの要素が融合されています。その年齢で作家になりたいと思うなら、生まれつき人間に興味があるか、人間についての書物を読むのが好きかどちらかです。ですから私にとって人を観察し、インスピレーションを受けるのはとても自然なことなのです。

― この映画の特殊なスタイルは常に意図していたことですか? 一つの長いストーリーでなく、たくさんの様々なエピソードを描くという手法については?

その通りです。デビュー作『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』では一人の登場人物を描く伝統的な手法を用いました。二作目「Giliap」も同じです。しかし、突然それが退屈だと思うようになりました。「違う、違う、違う。こういう映画を撮りたいのではない。全く違ったことをしたい」と思ったのです。たぶん(フェデリコ・)フェリーニに影響されたのでしょう。『散歩する惑星』で試み、本作『愛おしき隣人』ではさらにその手法を推し進めました。次の作品についてはまだわかりません。

       
 




       


■Director’s note ロイ・アンダーソン

主題とユーモア
私たちは毎日どのように時間を過ごしているのでしょうか。この映画では、様々な人々の生活を描いていますが、これによってユニークな作品になっていると思います。しかし、これらの話は同時に悲しいものでもあります。なぜなら、私たちは最後には死ぬ運命にあるからです。人生の終わりに、私たちは自分の人生のいくつかの過ちに気づくでしょう。だからといって、この映画は観る人に罪悪感を与えるのではなく、人生の過ごし方について考えてもらうきっかけになればと願っています。本作では「他人の中でどのように生きていくか」という、具体的な問いを扱っています。この映画は約50のシーンで構成されており、しばしばユニークなシチュエーションに同じ登場人物が繰り返し現れます。生きることは誰にとっても複雑なものですが、ユーモアが私たちを救うのです。

簡潔な絵画的描写
重要な出来事と他人の運命は誰にとっても興味があります。しかし、私たちはカフェテラスから静かに人を見ることも楽しみます。私は、ミレーやゴッホの絵画に日常生活のこの単純性を見い出します。ミレーが「落穂拾い」で描いた働く農夫の姿は、ドラクロワが描いた壮大な戦いの絵画と同じくらい興味深いものです。ミレーの絵画は、まるでそれ以上重要な対象物が存在しないかのごとく、非常な慎重さ、正確さ、そして共感をもって描かれています。私は、何度も観たいと思わせるような、できる限り強烈で洗練されたシーンを構成するよう心がけました。私の映画は従来の映画の様な物語を軸とした構成ではありません。それが私の挑戦です。



 





■監督:ロイ・アンダーソン Roy Andersson
1943年、スウェーデン生まれ。スウェーデン・フィルム・インスティテュートで文学と映画の学位を取得し、69年に卒業。翌年、長編デビュー作『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』はベルリン国際映画祭で批評家特別賞他3冠を獲得。「Giliap」(75年)。エイズについて描いた「Something Happened」(87年)、普通の人が人生において出会った人々や所有物、場所を紹介する「World of Glory」(91年)。ボルボ、エールフランス、シトロエンなどのコマーシャルも多数手がけている。『散歩する惑星』(00年)。7年ぶりの新作となる『愛おしき隣人』(07年)はカンヌ国際映画祭“ある視点”部門に正式出品。



■スタッフ
監督&脚本:ロイ・アンダーソン
プロデューサー:ペニラ・サンドストレム
撮影監督:グスタフ・ダニエルソン
音楽:ヤーン・アルヴェルマルク、ロベルト・ソルリング
編集:アンナ・マルタ・ヴァーン
音声ミキサー:オーヴェ・スヴェンソン FSFL
録音:ロベルト・ヘフテル
キャスティング&衣装:ソフィア・フリクスタム
大道具&特殊造形:ヤコブ・ビョルカンデル
小道具&背景画:アンナ・マルタ・ヴァーン
制作マネジャー&助監督:ユーハン・カールソン

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
www.kittoshiawase.jp

2007年/35mm/スウェーデン=フランス=デンマーク=ドイツ=ノルウェー=日本
94分/ヨーロッパヴィスタ/ドルビーSR/カラー
原題:YOU,THE LIVING  
後援:スウェーデン大使館、スカンジナビア政府観光局
配給:スタイルジャム、ビターズ・エンド