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この自由な世界で
it's a free world...

2008年8月シネ・アミューズほか全国順次ロードショー


■ストーリー
 ポーランド、イギリスの職業紹介会社。面接官のアンジーが、移住を希望する人たちを面接している。
その夜、スタッフとバーに出かけたアンジーは、昼間面接をしたカロルに出会う。2人の弾んだ会話をさえぎるように、同僚たちからお呼びがかかる。
彼女がテーブルに行くと、上司の一人がアンジーのお尻を触る。反射的にコップの水をぶちまけるアンジー。

 ロンドン。アンジーは突然、クビを告げられる。仕事は完璧にこなしているのになぜなんだと迫るアンジー。
やむなく、彼女は自分で職業安定所を立ち上げようと決心し、ルームメイトのローズを共同経営に誘う。

 

(c) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A.

■キャスト
キルストン・ウェアリング
ジュリエット・エリス
レズワフ・ジュリック
コリン・コフリン
ジョー・シフリート
コリン・コフリン
マギー・ハッセー
レイモンド・マーンズ
ダヴード・ラスグー
 




(c) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A.

       

 

 アンジーは持ち前のパワーでビジネスを軌道にのせるが、ある日、不法移民を働かせる方が儲けになることを知る。もっとお金があれば息子と暮らせる、もっといい生活ができる。彼女は越えてはいけない一線を越えてしまう・・・

 

※   ※   ※

       
 


(c) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A.


(c) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A.
       


■プロダクション・ノートより

この物語の発端は?

1990年代にリバプールの港湾労働者が仕事の臨時雇い化に抵抗し、安定雇用を求めた時、彼らのドキュメンタリー(The Flickering Flame)を作りました。労働者から安定雇用が奪われ、派遣業務に変わっていく変化は、私には非常に大きな出来事に思えました。
雇用の変化をもたらした政治的判断に、新労働党もトーリー党も、リベラルも反対しませんでした。彼らは実は自由主義者です。彼らは変化を望んだのです。それは、近代化と呼ばれ、自然の成り行きだと言われます。
ですが、私が見たところ、実際にはそれは、ある一定の階級の意向にしか過ぎません。私たちはそれを仕方のないことだと思い込まされています。
でもそれは、本当は仕方のないことではないのです。

私たちは、ロサンゼルスのメキシコ系移民たちに関する映画『ブレッド&ローズ』を作り、3年前には第2世代移民についての映画『やさしくキスして』もつくりました。『ナビゲーター ある鉄道員の物語』は、派遣労働者になることを意味する民営化と闘う鉄道労働者についての映画でした。
こうした一連の関心がひとつになりました。イギリスの移民労働者の搾取をめぐるスキャンダラスが大きくなってきたからです。変わりゆく仕事のかたち、移住や移民への関心、彼らの生きざま、なぜ彼らは移住するのか―――これらすべてがこの映画に繋がってきたような気がします。

アンジーはどういう人物なんでしょうか?

非常にエネルギッシュで魅力的ですね。彼女は、真面目で自尊心もある労働者階級の家庭出身。これまでの自分の才能を発揮したことが一度もなく、おそらく20代でいろいろな嫌な人間関係を経験してきている。
彼女は本気になれば自分には何かできる気がしている。そして、今、何かしなければどんどん歳をとってしまい、人生の最高の時期が終わってしまうと考えている。
彼女は今が人生の勝負の時だと感じていると思います。経営や取引の才、人を押しのけても道を切り拓いて一番を取ることが重視される、「サッチャー反革命」の申し子がアンジーです。



 
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ケン・ローチ 監督が『麦の穂をゆらす風』から、2年ぶりに、また素晴らしい作品を作ってくれた。イギリスに労働のために移民としてやってきた人たちと、職業紹介会社を舞台とした作品。
今、世界のいたるところで映画の中で描かれている問題が起こっている。日本でもさらに非正社員問題を加え、例外ではないことに気づく。
1人の女性を通して、システムの問題とそれに取り込まれていく人の変容を見事に描いている。(J.S)






(c) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A.


■監督:ケン・ローチ
1936年、ワーウィックシャーのナニントンで電気工の父と仕立屋の母のもとに生まれる。
オックスフォード大学で法律を学ぶ。卒業後、ウェストエンドの劇団で代役俳優の仕事を取るが、その時、自分は俳優に向いていないと見切りをつけ、以後は演出に専念。1964年、BBCの30分ドラマ「Catherine」で演出デビュー。
長編第1作、『夜空に星のあるように』(67)の後、独立。トニー・ガーネットと独立系映画会社ケストレル・フィルムを設立し、名作『ケス』(69)を完成。2006年『麦の穂をゆらす風』でカンヌ映画祭パルムドール大賞。


■主なフィルモグラフィー
『夜空に星のあるように』Poor Cow (1967)
『ケス』 Kes (1969)『家庭生活』 Family Life (1972)
『ブラック・ジャック』 Black Jack (1979)
『まなざしと微笑み』 Looks and Smiles (1981)
『祖国』 Fatherland (1986)
『ブラック・アジェンダ 隠された真相』Hidden Agenda (1990)
『リフ・ラフ』 Riff-Raff (1990)
『レイニング・ストーンズ』 Raining Stones (1993)
『レディーバード・レディバード』 Ladybird Ladybird (1994)
『大地と自由』Land and Freedom (1995)

『カルラの歌』 Carla's Song (1996)
『マイ・ネーム・イズ・ジョー』My Name Is Joe (1998)
『ブレッド&ローズ』Bread and Roses (2000)
『ナビゲーター ある鉄道員の物語』The Navigators (2001)
『SWEET SIXTEEN』 Sweet Sixteen (2002)
『11'9''01/セプテンバー11 』(オムニバス)11'09'01 - September 11 (2002)
『やさしくキスをして』 Fond Kiss..., Ae (2004)
『明日へのチケット』 Tickets (2005)
『麦の穂をゆらす風』 The Wind That Shakes the Barley (2006)

『それぞれのシネマ』To Each His Own Cinema(オムニバス) (2007)
『この自由な世界で』It's a Free World... (2007)


■スタッフ
監督:ケン・ローチ
製作:レベッカ・オブライエン
脚本:ポール・ラヴァティ
音楽:ジョージ・フェントン
撮影:ナイジェル・ウィロウビー
美術:ファーガス・クレッグ
編集:ジョナサン・モリス
衣装:キャロル・K・フレイザー


     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.kono-jiyu.com/

(C) Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A. MMVII

原題:It's A Free World…
2007年/イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン合作
96分/カラー/1:1.85/
字幕翻訳:斎藤敦子
配給:シネカノン