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コッポラの胡蝶の夢
YOUTH WITHOUT YOUTH

2008年8月30日(土)より(渋谷Q-AXシネマ改め)渋谷シアターTSUTAYAほか全国順次公開!


■ストーリー
  1938年、戦雲が近づくルーマニア。年老いた一人の男がブカレスト北駅に降り立つ。男の名は、ドミニク・マテイ。最愛の女性ラウラと別れてまで、すべてを捧げた研究も全うできない人生に絶望する言語学者。
 彼は自殺するつもりでいたが、突然の雨による落雷に打たれ、目を覚ましたのは病院のベッドの上。 即死同然の全身火傷を負いながら、彼は奇跡的に一命をとりとめた。

 主治医のスタンチュレスク教授が驚くほどの回復力を発揮し、10週間後にはすっかり健康を取り戻すドミニク。しかも30〜40代にしか見えないほどに肉体が若返っていた。巨大な電気エネルギーによる体組織の再生――それは同時にドミニクの知的能力を驚異的に増大させ、さらに新しい人格=“もう一人の自分”の出現を可能にしていた。ドミニクは教授にだけ真実を一部告白し、架空の身元を作ってもらおうと考える。保安部に目をつけられることを恐れたからだった。

 

 


■キャスト
ドミニク・マテイ / ティム・ロス
ヴェロニカ、ラウラ、ルピニ / アレクサンドラ・マリア・ララ
スタンチュレスク教授 / ブルーノ・ガンツ
ルードルフ博士 / アンドレ・ヘンニック
トゥッチ教授 / マーセル・ユーレス
6号室の女性 / アレクサンドラ・ピリチ
学問僧 / エイドリアン・ピンティー
ガヴリーラ医師 / フローリン・ピエルジクJr.
キリーラ医師 / ゾルタン・バトク
フロントの女性 / アナマリア・マリンカ
 





       

 

  別の病院に移った彼は、短期間にさまざまな言語をマスターしていく。今や彼の存在はヒトラーの強い関心の的となり、彼を誘惑する女性情報員まで現れる。ゲッベルスの側近であるルードルフ博士が、「百万ボルト以上の電流の感電によって、人は突然変異を起こす」との仮説を立てていたためだ。やがてドミニクはゲシュタポの目を逃れ、スイスのジュネーブに亡命する。
祖国ルーマニアがドイツと同盟を結んだ翌年。ドミニクに対するゲシュタポの尾行は止んではいなかった。1942年、執筆活動を続けながら、ときにカジノで生活資金を稼ぐ彼に、米政府の使者を名乗るライフ誌の特派員が接近。またある晩はパーティで、モンローと名乗る男に声を掛けられる。だが実は、彼こそがヒトラーに仕えたルードルフ博士だった。

 終戦後のスイス山間部。ドミニクはかつて愛したラウラに生き写しの女性、ヴェロニカから頂上への道を尋ねられる。嵐が来そうだから危ないと警告したものの、友人のドライバーはそのまま車を走らせてゆく。その後、落雷を確認したドミニクがタクシーで捜しに出かけると、案の定、車は落雷に遭っていた。ドライバーの女性は死亡。一方、岩に閉じ込められていたヴェロニカはショックから記憶喪失に陥り、何故か古代言語を話すようになっていた……。

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■プロダクション・ノートより

Comment:フランシス・F・コッポラ監督

「これは映画化できる! 誰にも言うまい」
私が原作を知ったのは、高校時代の友人ウェンディ・ドニガーを通じてだった。彼女は私が長年書いてきて完成させることができないでいる“Megalopolis”の脚本を読み、返事をくれた。現在、シカゴ大学の著名な教授であるウェンディなら、この物語の難しい概念に光明を投じてくれるのではないかという気がしたんだ。私たちは時間と内的意識という、私が興味を持っている映画言語の2つの分野について話し合った。

彼女の感想は励みになった。さらに彼女は自分の師であるミルチャ・エリアーデが書いた小説「若さなき若さ」から抜粋した興味深い文を同封してくれた。私は小説を読み、直ぐに思った。「これは映画化できる! 誰にも言うまい。とにかくやり始めよう」と。

この物語は、私の人生に似ている。主人公のドミニクと同じく、私も大事な作品を完成させることができず、もがき苦しんでいた。私は8年間映画を作っていなかったために、66歳にして欲求不満だった。ビジネスは成功していたが、クリエイティブ・ライフは満たされていなかったのだ。
「若さなき若さ」は、ある意味トワイライトゾーンのようなものだった。教授である老人が若返り、夢であった“言語の起源の研究”を続けられる時間を手にする…。パーソナルな映画作りに戻りたい、という私の気持ちを投影しているようだった。またルーマニアといった異国の地にも魅力を感じた。そして密かに小説の権利を買うため交渉を始める。まだ権利がないにも関わらず、どうやって映画を作ろうかと考えるようになり、分析し始める。希望が見えてきた。

小津安二郎監督のスタイルを踏襲したんだ
  私は既にカメラを持っており、レンズも買ったばかりだった。私は早速スタイルを理論化し始めた。日本の偉大な小津監督のようにカメラは動かさないことに。それはオリジナルとは言えず、ただスタイルの手始めにすぎないが、時間と内的意識についての探求が、映画のボキャブラリーに新たな言葉を付け加えることになるかもしれない。それは私がずっとやりたいと切に望んできたことだ。
  全ては秘密のまま進めていたため、気分が高揚し、家族や友人と外出する時も気分が良かった。脚本を完成させ、私は孫娘のジアと一緒にルーマニアへ向かい、製薬会社を経営しているアメリカ人の友人の家に泊まった。私は大金を動かす有名な映画監督とみられたくなく、学生映画を作っている感覚で少しずつ、自分で資金を賄い映画を作るため計画を練っていった。ジアとルーマニア中を旅して、物語の中の本物の住所を訪ねた。楽しくてワクワクする経験だった。なんといっても投資家や映画スタジオのお偉方に、しおらしい態度で会いに行かなくて済むのは素晴らしいことだった!

 
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コッポラ監督自身の人生を投影したかのような作品。主人公の年老いた言語学者が研究を大成できずに人生に絶望しているという設定が、66歳にして大事な作品を完成させることができず、もがき苦しんでいた監督の現実に似ているのだという。
原作は、世界的な宗教学者であり小説家、世界の宗教学界に多大な影響を与えた知の巨人、ミルチャ・エリアーデ。(J.S.)








■監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ/Francis Ford Coppola

1939年、アメリカ・デトロイト生まれ。20世紀初頭ニューヨークに移住してきた南イタリア人の末裔。
父親のカーマインはフルート奏者兼作曲家で、恵まれた音楽環境で育つ。11歳の時、8ミリフィルムで映画を撮り始める。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院の映画学科に進み、在学中にコメディ『グラマー西部を荒らす』(62)を監督。その後ロジャー・コーマンの下で働き始め、低予算の映画現場で経験を積み『ディメンシャ13』(63)を監督。また『雨のニューオリンズ』(66)、『パリは燃えているか』(66)、『禁じられた情事の森』(67/クレジットなし)などの脚本を担当し、脚本家としてのキャリアもスタート。
『パットン大戦車軍団』(70)がアカデミー賞で作品賞、主演男優賞など7部門に輝き、エドマンド・H・ノースと共に脚本賞を受賞。1960年代にはジョージ・ルーカスと共にインディペンデント・プロダクションのアメリカン・ゾエトロープ社を設立、ルーカスの初期の監督作『THX-1138』(71)と『アメリカン・グラフィティ』(73)を製作。そしてこの2作品の資金回収のために監督した『ゴッドファーザー』(72)がアカデミー賞の作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞。『ゴッドファーザーPARTII』(74)でもアカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞など6部門を受賞。
『カンバセーション…盗聴…』(74)ではカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。『地獄の黙示録』(79)では製作費が増大、公開が大幅に遅れるがカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、国際批評家連盟賞を受賞する。
1980年代にはハリウッド・ジェネラル・スタジオス社を買収し、ゾエトロープ・スタジオス社に改名。ミュージカル映画『ワン・フロム・ザ・ハート』(82)を監督するが興行的に失敗に終わり、続いて『アウトサイダー』(83)と『ランブルフィッシュ』(83)を監督しヒットするが費用の回収には至らず、スタジオの所有権は負債者の手に渡る。
80年代後半になるとサイドビジネスのワイン事業に力を入れる。この後『ペギー・スーの結婚』(86)、『タッカー』(88)、『ゴッドファーザーPARTIII』(90)、『ドラキュラ』(92)。そして前作『レインメーカー』(97)を監督。本作は『レインメーカー』から約10年振りにメガホンをとった作品。

監督・脚本作品
1962年 『グラマー西部を荒らす』監督
1963年 『ディメンシャ13』監督
1966年 『雨のニューオリンズ』脚本
『パリは燃えているか』脚本
『大人になれば…』監督 
1968年 『フィニアンの虹』監督
1969年 『雨のなかの女』監督・脚本 サンセバスチャン映画祭最優秀長編作品賞受賞
1970年 『パットン大戦車軍団』脚本 アカデミー賞脚本賞受賞
1972年 『ゴッドファーザー』監督・脚本 アカデミー賞脚色賞受賞/ゴールデン・グローブ賞作品賞、脚本賞受賞
1974年 『カンバセーション…盗聴…』監督・脚本 カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
『ゴッドファーザーPARTII』監督・脚本 アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞など6部門受賞/全米監督協会賞受賞
『華麗なるギャツビー』脚本 アカデミー賞音楽賞・衣装デザイン賞受賞
1979年 『地獄の黙示録』監督・脚本 アカデミー賞音響賞受賞/カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
ゴールデン・グローブ賞音楽賞受賞(父カーマイン・コッポラと)
1982年 『ワン・フロム・ザ・ハート』監督・脚本
1983年 『ランブルフィッシュ』監督 ヴェネチア国際映画祭国際カトリック映画事務局賞受賞
『アウトサイダー』監督
1984年 『コットンクラブ』監督・脚本
1986年 『ペギー・スーの結婚』監督
1987年 『友よ、風に抱かれて』監督
1988年 『タッカー』監督
1990年 『ゴッドファーザーPARTIII』監督・脚本
1992年 『ドラキュラ』監督 アカデミー賞メイクアップ賞受賞
1996年 『ジャック』監督
1997年 『レインメーカー』監督・脚本


■アレクサンドラ・マリア・ララ(ラウラ/ヴェロニカ/ルピニ) Alexandra Maria Lara
1978年ルーマニア・ブカレスト生まれ。母親は言語学者、父親はルーマニアを代表する俳優のヴァレンティン・プラタレアヌ。4歳のとき西ドイツに移住。父親が設立した演劇学校で子供の頃から演劇を学び、子役として多くのTVドラマなどに出演している。
主な作品はフランカ・ポテンテ共演のコメディ“Sudsee, eigene Insel”(99)、『クレイジー』(00)、『特殊部隊フォースメジャー』(00/未)、ローランド・ズゾ・リヒター監督『トンネル』(01)、ドイツ映画賞で銀映画賞を受賞した“Nackt”(02)、キーラ・ナイトレイ共演のTV映画「ドクトル・ジバゴ」(02)など。
アカデミー賞にノミネートされた映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(04)ではヒトラーの秘書トラウドゥル・ユンゲを演じて一躍注目を浴び、2005年にドイツの大衆紙<ビルト>に“ドイツで最も美しい50人”に選ばれる。その後は日本を舞台にしたドラマ『漁師と妻』(05/映画祭上映)、ネーヴ・キャンベル主演“I Really Hate My Job”(07)、アントン・コービン監督『コントロール』(07)、ジェームス・アイヴォリー監督、アンソニー・ホプキンス主演 “The City of Your Final Destination”(07)などに出演。
最新作はテオ・アンゲロプロス監督 “The Dust of Time”(07)、スティーヴン・ダルドリー監督、ケイト・ウィンスレット共演 “The Reader”(08)を撮影中。また第61回カンヌ国際映画祭の審査員に選出され、各方面で注目されている女優である。

■スタッフ
監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ミルチャ・エリアーデ
製作総指揮:アナヒド・ナザリアン、フレッド・ルース
撮影:ミハイ・マライメアJr.
美術:カリン・パプラ
ヘアメイク:ピーター・ソード・キング、ジェレミー・ウッドヘッド
衣装監修:アディナ・ブクル 
衣装:グロリア・パプラ
視覚効果:UPPプラハ
編集:ウォルター・マーチ
音楽:オスバルド・ゴリホフ
共同制作:マサ・ツユキ
アート・ディレクター:ミルチャ・オニソル、ルクサンドラ・イオニカ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.kochou-movie.jp/

(C)2007 American Zoetrope, Inc. All Rights Reserved.

原作:ミルチャ・エリアーデ著「若さなき若さ」(『エリアーデ幻想小説全集第3巻』収録:住谷春也訳/作品社刊)
2007/アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア/124分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD
原題:Youth Without Youth
字幕翻訳:戸田奈津子
オリジナルサウンドトラック:ユニバーサル クラシックス&ジャズ
配給:CKエンタテインメント