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ベティの小さな秘密
Je M'appelle Elisabeth

2008年9月、シネセゾン渋谷他、全国ロードショー


■ストーリー
 ベティは、新学期をを翌日に控えた日曜日、一歳年上の姉、アニエスと一緒に、丘の上にある無人の屋敷探検する。邸宅の扉が開き、怖くなって飛んで帰る二人。
好奇心旺盛なベティは、もう一度お屋敷に行こうと誘うが、アニエスは寄宿制の中学に入るからと言って、ベティを残してママと駅に行ってしまう。
ベティは、家政婦のローズと留守番。夜になると、精神病院の院長を務めるパパと、ママの口げんかが聞こえてくる。耳をふさぐベティ。

 新学期が始まった。教室に行くと顔にあざのある男の子、カンタンが転校してきた。クラスメイトはカンタンを怖がるがベティだけは、彼に話しかける。

 

 


■キャスト
アルバ=ガイア・クラゲード・ベルージ
ステファヌ・フレイス
ヨランド・モロー
マリア・ド・メデイルシュ
バンジャマン・ラモン
 





       

 
  火曜日の朝、パパは、精神病院から患者が逃げ出したと言う。ベティが自転車を取りに自転車小屋へ行くと、不安げな顔をした若い男が木陰にうずくまっている。とっさに彼を小屋にかくまい学校へ行く。

 学校から帰るとベティは小屋を片付け、青年のために食べ物を用意する。その夜、パパとママの会話を聞いたベティは、ママに新しい恋人がいるらしいと気づく。彼女は小屋へ行き不安な気持ちを青年に伝える。彼は、無口で何も答えてくれないけど、ベティは彼といると心が安らぐ。
そんなある日、パパが小屋を片付けたいと言い出すのだが・・・

 

※   ※   ※


       
 







       


■プロダクション・ノートより

インタビュー:ジャン=ピエール・アメリス 監督

子供を主人公にした映画を撮った理由を教えてください
「子供の視点を見つめ直すというのが、今回のテーマでした。大人の方には自分の子供時代を思い起こしてもらい、子供たちにはヒロインに自分自身を重ね合わせ、感情移入して欲しいと思いました」

原作はアンヌ・ヴィアゼムスキー の小説ですが、どう脚色しましたか?
「原作を何度も読み返し、湧き上がってきたインスピレーションを大切にしました。その上で小説にいくつか独自の要素を加えています。それは大きく3つあり、両親の不仲、犬の存在、そしてエピローグの屋根のシーンです。
私にとって最も重要な要素である、“子供の頃に感じる恐怖心”については、アンヌが小説で見事に表現してくれていました。
小説というものは、そこに書かれているものをそのまま映画化するのではなく、根底にあるテーマを読みとって咀嚼しつつ、同じテーマを表現するのが大事だと思います。
アンヌは、ゴダール監督と結婚していたこともあり、映画を知り尽くしている方。私の選択に全面的な信頼をおいてくれて、書き換えた部分もすべて受け入れ、評価してくれました」

映画化で気を配った点は?
「僕はこの作品で長編6作目になるんですが、これまでドキュメンタリータッチの映画を撮ることが多かったんです。今回は、子供時代を表現するために、美術にかなりこだわりました。テーマカラーは、赤と緑です。
ジャック・ドゥミの『ロバと女王』に出てくる小屋の雰囲気を参考にしたり、ヒッチコック『レベッカ』にインスピレーションを受けたりしています。
美術はトリュフォー映画で知られるジャン=ピエール・コユ・スベルコです。不安と期待が入り混じった雰囲気をうまくかもし出してくれたと思います」

作品が完成した気持ちをお聞かせください。
「まなざしにいろいろな感情を秘めた主人公のベティは、人と出会い、冒険をし、さまざまな問題を切り抜けて成長していきます。
フランスでいくつかの学校で上映する機会があったのですが、子供たちは、自分たちの感じる孤独や不安が、自分だけのものじゃないとわかったみたいです。この映画を見た親子が対話するようになったという話を聞き、うれしく思っています。子供にも、大人にもぜひ見ていただきたい作品です」



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「フランスでいくつかの学校で上映した時に、子供たちは、自分たちの感じる孤独や不安が、自分だけのものじゃないとわかり、この映画を見た親子が対話するようになった」ということがこの作品のある面を物語っているような気がします。
少女の内面を描くことで、それを観た人が自分自身のことをわかってくる。そしてコミュニケーションが生まれる。子供に見せたい作品です。(J.S.)








■監督:ジャン=ピエール・アメリス
1961年、リヨン生まれ。IDHC卒業後、80年代から短編映画を監督し始め、87年の『Intérim』は88年のクレルモン=フェラン映画祭でグランプリ受賞。
94年に発表した長編映画第1作『Le Bateau de Mariage』は、ドイツ軍占領下の教師の生き方を描いた。無実の罪に問われる男を描いた『Les Aveux de L'innocent』(96)はカンヌ国際映画祭批評家週間のグランプリ受賞。
このほかに、『デルフィーヌの場合』(99)、『C'est la Vie』(01)、『Poids Léger』(04)などを監督。



■スタッフ
監督・脚本:ジャン=ピエール・アメリス
製作:ファビエンヌ・ヴォニエ
脚本:ギョーム・ローラン
原作:アンヌ・ヴィアゼムスキー
撮影:ステファンヌ・フォンテーヌ、AFC
編集:ローランス・ブリオー
美術:ジャン=ピエール・コユ・スベルコ
衣装:ドロテ・ギロー
音楽:フィリップ・サルド

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://betty-himitsu.com/

(C)2006 - PYRAMIDE PRODUCTIONS / FRANCE 3 CINEMA / RHONE-ALPES CINEMA

原題:Je M'appelle Elisabeth
2006年/フランス/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/1時間30分
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ /アステア