home
home

 

女工哀歌
China Blue

2008年9月27日、渋谷シアター・イメージフォーラム他にてロードショー


■ストーリー
  農村から出稼ぎで出てきた、16歳の少女ジャスミンが、工場での新しい生活をスタートさせる。
工場の持ち場は「糸きり」。完成したジーンズをよくチェックして、余分な糸を切る作業。工場の寮は2段ベッド で、1部屋に12人が住んでいる。
狭いけど、同じくらいの年の上のたちとのお喋りは楽しい。けれど、工場で出される食事が広東料理で、故郷の四 川料理に比べて辛くないのが物足りない。

 同僚でお針子のリーピンがまだ14歳であることや、偽造したIDカードを持つ子が多いことに驚く。 一方、工場長のラム氏は、海外からの視察や接待に忙しい日々を送っている。趣味の書道を今朝もしたためる。 書いた言葉は、「筆頭新意 心底陳規少」(新しいアイデアを常に持て。古い決まりごとにとらわれるな)

 

 


■キャスト
ジャスミン
オーキッド
ジーンズ工場で働く少女たち
ラム氏
 





       

 

 待ちに待った給料日。でも、ジャスミンはまだ働いて日が浅いとみなされ支払われない。がっかりするジャスミン 。
それどころか工場ではちょっとした居眠りでも罰金が科せられてしまうので、まったく気が抜けない。

 そんな中、同僚で20歳のオーキッドと出会う。 ジッパーをつける係りの彼女は、もう3年も働いているせいか、どこか都会っぽい雰囲気を持っている。
ある程度働くと、定期的な外出も許されるようになるのだ。部屋でディスコ風のダンスを踊るオーキッドを見て、 賞賛のまなざしを送るジャスミンたち。

 一方、ラム氏は上海へイギリスの顧客との値段交渉に来ていた。顧客の要求はとても厳しい。より徹底したコスト 削減を実現するため、工場内にハッパをかけるラム氏。廊下には「もし今日一生懸命働かなければ、明日はクビだ !」とのスローガンも貼り出されていた。

 ラム氏が次から次へと受注する仕事に忙殺されるジャスミンたち。近頃では、午前3時でも仕事がおわらない。
 ラム氏は言う。「欧米諸国はデニム無しでは生きられない。だからビジネスの先行きは明るい。大変なのは従業員 の教育だ。これが一番難しい。」
ジャスミンは、家を出て3ヶ月。だんだん両親が恋しくなってくる。忙しい毎日の夜、リーピンとともにはじめて の夜の街に出るが・・・

※   ※   ※


       
 




       


■プロダクション・ノートより

ミカ・X・ペレド監督インタビュー

『女工哀歌』が描くのは、ブルージーンズの製造工場への旅です。ジャスミンとティーンエイジャーの少女たちが送っている労働の実態は過酷です。彼女たちはまた、国際的に機能する保護法がなく、工場での労使の緊張はますます高まっています。
そのため、工場長が西側諸国のクライアントと契約をして納期を守るためには、24時間体制での労働が要求されます。対立は避けられません。
中国で秘密に撮影をすることは難しい状況です。これは中国と国際的な小売業が、私たちに見せたくないからです。「どうやって衣服が作られているのか?」を。

私は、現代のもっとも重要な問題は「グローバリゼーション」だと思っています。それでこの映画を撮りました。
とくに自分を行動に駆り立てたのは、多国籍企業の利益のみを求める姿勢によって、我々の生活がますます管理されたものになっていることに憤りを感じていたからです。
メディアが及び腰になっているために、これらの企業の行為に対して突っ込んだ調査があることはめったにありません。私にとって、ただひとつの適切と思われる返答は、彼らが見せたくないものを見せる映画を作ることでした。


 
>>>
家計を支えるために、16歳の少女ジャスミンが都会のジーンズ工場へ出稼ぎにいく。過酷な労働条件の元で働く、彼女とその同僚や工場経営者の姿を追うドキュメンタリー。世界の工場と化した中国の実態とグローバリゼーションの問題の根っこの部分を暴き出す。
ジーンズ1本の工場出荷額は4ドル前後。ジャスミンの自給0.5元(約7円)、1日、12時間から15時間以上の労働、休日無し。考えられるだろうか、この実態。なぜ、中国が世界の工場になったかがわかります。 (JS)








■監督:ミカ・X・ペレド

1952年スイス生まれ。イスラエルで育つ。輸入業、教師、ガードマン、ジャーナリスト、原子炉スタッフ、選挙事務所マネージャー、旅行ガイドなどさまざまな職業を転々とした後、映画監督となる。
1992年に初めて製作した映画「Will My Mother Go Back to Berlin?」(1993)はドイツのテレビ局の出資で作られた後、ベルリン国際映画祭で上映され、ハワイ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。
続く「Inside God's Bunker」(1994)はヨーロッパ15カ国、アメリカ、オーストラリア、日本でもNHKで放映。
その後、グローバリゼーションを現代の最も重要なテーマと捉えたトリロジー(3部作)の製作を続けている。本作は、第1作の「STORE WARS:Whwn Wal-Mart Comes Town」(2001)に続く第2作目。


■スタッフ
監督・製作:ミカ・X・ペレド
編集:マニュエル・ツィンガリス
音楽:ミリアム・カトラー
録音:ソン・チェン


     

 

 

   


■オフィシャルサイト
未定

2005年/アメリカ/88分/カラー/ビスタ/中国語・英語
字幕翻訳:石田泰子
配給:エスパース・サロウ