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帝国オーケストラ
ディレクターズカット版

The "Reichsorchester" The Berlin Philharmonic and the Third Reich
A film by Enrique Sánchez lansch
ベルリン・フィル創立125周年記念上映 第一弾

2008年11月1日(土)、渋谷ユーロスペース他全国ロードショー


■ドキュメンタリー
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリン・フィル)は、株主有限責任を持つ企業組織形態(有限会社)として、1882年に設立された。
1933年、ヒトラーがドイツ帝国の首相となり、全ドイツ国民はヒトラーの独裁政治の手中に入った。この頃、独立した組織として自分たちで運営していたベルリン・フィルは、極度のインフレ下にあったドイツで、経済的に破綻していた。
  そこにナチス宣伝大臣ゲッペルスは支援を決定し、当時の芸術監督であるフルトヴェングラーは、オーケストラの存続のために承諾した。ベルリン・フィルが演奏を続けていくためには、この選択しかなかった。
  音楽家たちは、これまでどおりベルリン・フィルの音楽を演奏していればいいと思っていたが、ゲッペルスはヒトラー政権のプロパガンダのために彼らを利用した。

 

 


(C)SV Bilderdienst

■キャスト
フルトヴェングラー時代の演奏家とその関係者
ナチス宣伝大臣ゲッペルス
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ハンス・バスティアン
エーリヒ・ハルトマン
ディートリヒ・ゲルハルト
ヘルムート・シュテルン
アンドレアス・レーン
マリーレ・へーファー・スツェーペス
ハンス・ヨアヒム・ホルノフ
ウルズラ・キュルマー
イングリッド・ローレンツ
 



イギリスの爆撃によって消失したフィルハーモ二ーのホール
(C)EIKON Media 2007



       

 

  1939年第2次世界大戦が勃発し、終戦を迎える45年まで、友人や家族や親戚が戦地へ向かう中、ベルリン・フィルのメンバーは演奏することを許されていた。 戦時下の中でも、武器ではなく楽器を手にすることを許されたオーケストラメンバーの隠された苦悩や心の葛藤が明らかにされていく。
  当時のことを知るメンバー、96歳となったヴァイオリニストのハンス・バスティアン、86歳のコントラバス奏者エーリヒ・ハルトマンらが、当時の様子を話す。
  さらに、ユダヤ人ゆえ亡命を余儀なくされたシモン・ゴールドベルクらのメンバーの子供たちが、遺品と記憶を手がかりに語っていく・・・

 

※   ※   ※


       
 




(C)EIKON Media 2007
       


■プロダクション・ノートより

映画を振り返って 監督:エンリケ・サンチェス=ランチ
2002年は私にとってエキサイティングな時期の幕開けだった。ベルリン・フィルと主席指揮者サー・サイモン・ラトルによる、さまざまなプロジェクトを直接見続けることができたのだ。
この音楽体験を通して思考とアイデアをやり取りする中で、私はオーケストラの歴史的な記録を知ることができた。つまり、ベルリン・フィルの歴史の盲点、1933年から45年の時代を気づかせてくれたのだ。

この宿命的な期間が、終戦60年後の今、再評価をいまだ待っていることに驚いた。長期間にわたってオーケストらの主席指揮者を務めたヴィルヘルム・フルトヴェングラーについては、すでに書物や映画で多くが語られていたが、彼は音楽的に変形されてしまい、政治的な論争の的となったままだった。
この時点までオーケストラ自体とその関係者に誰も光をあててこなかった。1945年以前に活躍していたベルリン・フィルのメンバーは、2004年時に2人だけ生存していた。93歳のヴァイオリニスト、ハンス・バスティアンと、84歳だったコントラバス奏者エーリヒ・ハルトマンだ。

なぜ、これほど価値のある時代が見過ごされたままになっていたのか。2004年6月、私は初めてバスティアンを訪ねた。この上品でか弱い男性は今でも毎日ヴァイオリンを弾き、音楽に熱中しているのだが、1934年23歳のときにベルリン・フィルに入団した。
私は彼の回想が信じられないほど感動的であり、話を聞いているだけでこのオーケストラがたどった数奇な運命と存在意味の多様さを評価することができた・・・


 
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ベルリン・フィル創立125周年記念上映の第一弾。
ナチス支配当時のベルリン・フィルの演奏家たちにスポットをあて、2人の生き証人の証言とともに検証していくドキュメンタリー作品。
戦時下、終戦直前ぐらいまでコンサートが開催されていたという事実。悲惨な状況の中で、演奏家にも一般の人々にとっても音楽が必要であったということがわかる。
証言者たちの生きた言葉は、音楽関係者でなくとも興味深い。 (JS)








■監督:エンリケ・サンチェス=ランチ
1963年北スペイン・ギヨン生まれ。ドイツのケルンで育つ。
長年にわたる演劇・音楽教育を経て、自身がオペラ歌手としてステージに出ていた頃から、オペラプロダクションでアシスタントディレクターとして働き始め、86年からテレビ界で活躍。
88年以降、ドイツや南ヨーロッパでテレビ用にクラシックやオペラ、バレエのドキュメンタリーの監督・脚本を手がける。


■スタッフ
監督:エンリケ・サンチェス=ランチ
撮影:ファリバ・ニルキアン
録音:パスカル・キャピトラン
編集:トマス・ウェルマン
共編:ミーシャ・アスター
ラインプロデューサー:クリスティン・フォルスト
プロデューサー:ウリ・プファウ

     

 

 

   

 

(C)EIKON Media 2007

2008年/ドイツ/カラー、モノクロ/デジタル/97分
配給:セテラ・インターナショナル