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我が至上の愛-アストレとセラドン-
Les Amours d'Astrée et de Céladon

2009年1月17日(土)、銀座テアトルシネマ他にて全国順次公開


■ストーリー
  5世紀、ローマ時代。純粋な愛を育んでいた羊飼いのアストレとセラドン。
お互いの両親が不仲であるため、自由に付き合うことができない。アストレは、祭りの日に別の女性と踊って欲しいとセラドンに頼んでいた。
 祭りの当日、別の女性と踊るセラドン。アストレは、見てはいけない光景を見てしまう。アストレは、セラドンが浮気をしたと思い込んでしまう。
 セラドンは、アストレの誤解を解こうと試みるが、「私の前にもう二度と現れないで欲しい」と拒絶する。絶望したセラドンは入水自殺を図るが、ニンフ(精霊)に助けられ、死を逃れていた・・・。
 その端麗な容姿からマダムに気に入られ、村へ戻ることを許されないセラドン。
彼を兄のように慕うレオニードの計らいで城から脱出するが、アストレの「二度と現れないで欲しい」という言葉を忠実に守り、彼は村には戻らずに森で暮らし始める。一方、村では、セラドンが死んでしまったと思い込んだアストレが悲しみにくれていた。そんな彼女を励まそうと、友人たちは僧侶が主催する祭りに一緒に出かける。セラドンを不憫に思ったレオニードとドルイド僧が、アストレに会う機会を彼に与えようとするが・・・。

 


■キャスト
アンディー・ジレ
ステファニー・クレヤンクール
ジョスラン・キヴラン
セシル・カッセル
ヴェロニク・レーモン
ロゼット
セルジュ・レンコ
       
 












       


■プロダクション・ノートより
エリック・ロメール インタビュー

オノレ・デュルフェの小説の映画化について
・・・読む前は、かなり退屈な読書になるだろうと覚悟していたのだが、予想は見事にはずれた。とりわけ会話は驚くほど現代的で、黙読ではなく、音読してみたときに、さらに現代的な響きは強まった。・・・

原作に見られるアナクロニズム
17世紀の最初の四半世の間に書かれた『アストレ』で、作者オノレ・デュルフェは自分の想像力を駆使しながら5世紀のガリアを描いた。作品にはアナクロニズムが至る所に垣間見える。だが私は迷うことなく原作のアナクロニズムをそのまま残すことを決め、デュルフェの生きた17世紀当時の版画や素描にインスピレーションを求めた。

無声映画
私は無声映画で映画を学んだ。場所はシネマテーク・フランセーズである。私の考えでは、映画はもっと自らの歴史の草創期にアイデアを汲み出してしかるべきだと思う。同じく過去の文学からアイデアを汲み出すのが得策であるように。
それはまさに近代の画家たちが行ったことである。最も近代的な画家とは、結局は最もうまく過去の画家を利用したものたちなのである。・・・

総括的な作品?
『アストレ』を映画化しようと思ったのは、私が過去の作品で扱ったテーマを数多く見出せたことももちろん大きい。たとえば、フィデリア(fidélité:貞操、忠誠、忠節、忠実))という中心的主題である。このテーマは『モード家の一夜』、『冬物語』、『コレクションする女』にも『満月の夜』にもほぼ一貫して現れる。
私が書いた唯一の舞台用の戯曲『編ホ長調三重奏曲』などは、『アストレと同じサスペンスをベースにしている。
そこでは、セラドンに匹敵する頑なさで、ある言葉を自分から口にするのを拒む主人公が登場する。そのことばを自分で言ってしまうと、好きな女性の口から言ってもらいたいフレーズを計らずも誘導しかねないからである。
彼にとって、そのフレーズは彼女から自発的に発せられるべきものなのである。・・・



 
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17世紀にオノレ・デュルフェよって書かれた大河ロマン小説の原点とも言われている『アストレ』が原作。当時のフランス文学サロンや知識のある女性たちの間で大人気となり、アストレのように、羊飼いでありながら最高級の宮廷人のように話すことが理想とされたという。
舞台は5世紀のガリア地方。現代のフランス中央部ロワール地方。「自発的な許しの言葉」が発せられるのをひたすら待つという青年セラドンと、自分の発した言葉が原因で死んでしまったと思い込んでいるアストレの物語。 (JS)








■監督:エリック・ロメール
1920年フランス中部のコレーズ県チュル生まれ。
大学で文学を専攻し、リセ、アンリ4世校の教員となり、古典文学を教える。
46年に小説「Elizabeth」を出版。48年ごろから映画評論を発表。50年、リセの学生らと「シネクラブ・デユ・カルチエ・ラタン」「映画新聞」を発行。ここで、ジャック・リヴェット、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・シャブロンらに出会う。この頃から短編映画に取り組み始める。
1959年、長編第1作『獅子座』を監督、63年に公開。ヌーヴェル・ヴァーグとして、トリュフォー、ゴダール、シャブロル、レネらと並ぶ。
主な監督作に、『コレクションする女』(67)、『もーど家の一夜』(69)、『クレールの膝』(70)、『O公爵夫人』(76)、『聖杯伝説』(78)、『海辺のポーリーヌ』(83)、『満月の夜』(85)、『緑の光線』(86)、『冬物語』(92)、『木と市長と文化会館』(93)、『グレースと公爵』(01)、『三重スパイ』(04)など。



■スタッフ
監督・脚本:エリック・ロメール
原作:オノレ・デュルフェ
製作:フランソワーズ・エチュガレ、ジャン=ミシェル・レ、フィリップ・リエジョワ
撮影:ディアーヌ・バラチエ
衣装:ピエール=ジャン・ラロック、ヒュ=ライ
メイク&ヘアー:ミシェル・ヴォチエ
音楽:ジャン=ルイ・バレロ

     

 

 

   


■公式サイト
http://www.alcine-terran.com/wagaai/

(C)Rezo Productions / C.E.R.

原題:Les Amours d'Astrée et de Céladon
2007年/フランス・イタリア・スペイン/フランス語/1時間49分/
35mm/カラー/アメリカンビスタ/
字幕翻訳:寺尾次郎
配給:アルシネテラン