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ロルナの祈り
Lorna's silence

2009年1月31日より、恵比寿ガーデンシネマ他、
全国順次ロードショー


■ストーリー
  銀行でわずか340ユーロの貯金をしているロルナ。彼女はアルバニアからベルギーにやってきた。
この地で国籍を得て暮らしていくため、タクシー運転手でブローカーのファビオの手引きで、ベルギー人のクローディと偽装結婚をし、共に暮らしている。
クローディは麻薬中毒者。偽りの結婚でも、ロルナを慕い、彼女を希望の光に麻薬を断とうとしている。
  ブローカーのファビオは、ロルナを使って国籍売買の商売をしようとしている。ロルナが国籍をとったら、彼女を未亡人にして、国籍を欲しがっているロシア人と結婚させるのだ。

 


■キャスト
アルタ・ドブロシ
ジェレミー・レニエ
ファブリツィオ・ロンジョーネ
アルバン・ウカイ
モルガン・マリンヌ
オリヴィエ・グルメ
 





       

 

 麻薬中毒のクローディは、この計画にぴったりの道具であった。ロルナも最初は、同郷の恋人、ソコルとバーを開くという夢を叶えるためならば、クローディの命を犠牲にすることも受け入れていた。しかし、自分だけを頼りにしているクローディと暮らすうち、自分の夢と罪の意識との間で悩み始めていた・・・

 

※   ※   ※


       
 




       


■プロダクション・ノートより

監督インタビュー

この映画の登場人物はどこから生まれたのですか?
私たちの知人に聞いた話からです。『息子のまなざし』を終えた時、私たちはブリュッセルで、麻薬中毒患者や社会の周辺人々を世話しているソーシャルワーカーに出会いました。
彼女の兄も麻薬中毒で、彼はアルバニアのマフィアから、偽装結婚の申し出を受けたそうです。彼女は疑わしい過剰摂取の死亡例をいくつか知っていたので、気をつけるように彼に言ったそうです。
この話と、私たちが前から考えていた女性の登場人物を巡る物語の断片とが混ざり合ったのです。私たちはもうロゼッタやソニアのような子供の話は十分だと思っていました。一人の若い女性を主人公にしたかったのです。

ロルナは犠牲者であると同時に、クローディをしに追いやろうとする人間でもありますね?
今日の世界はお金や、お金で手に入る名声、地位を夢見させます。ロルナが誘惑されるのも無理ないし、彼女が陽の当たる場所に出ようとするのも最もな話です。
昔だってそうだったでしょう。しかし、今日変わってしまったのは、いわゆる陽のあたる場所より、人間らしい生活の方が劣っていると見なされるようになってしまったことです。ロルナのような移民はマフィアの格好の餌食になります。
彼女のような人は、どんな悪辣な手口にも手を貸しますし、地位の不安定さは彼女を他の人との連帯に導くどころか、人間をいくらでも取り換えのきく部品にしてしまう。
これが現代の精神です。だからロルナが、自分が命じられて結婚するクローディこそ他の誰より自分に近いのだと気がつくのは、ようやく映画が終わるころなのです。



 
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過酷な現代社会の周辺に暮らす人々。そんなぎりぎりの中に生まれる人間性・・・。私たちに問いかけているようだ。 (JS)








■監督:ジャン=ピエール& リュック・ダルデンヌ
兄のジャン=ピエールは1951年、リュックは1954年ベルギーのリエージュ近郊で生まれる。
ブリュッセルでアルマン・ガッティに出会い、芸術や政治の面で影響を受け、映画製作を手伝う。原子力発電所で働いて得た資金で機材を買い、労働者階級の団地に住み、土地整備や都市計画の問題を描くドキュメンタリーを74年から製作し始める。
第3作『イゴールの約束』(96)で、カンヌ国際映画祭国際芸術映画評論連盟賞受賞。第4作『ロゼッタ』(99)で、カンヌ国際映画祭パルムドール大賞、主演女優賞を受賞。第6作『ある子供』(05)で2度目のパルムドール大賞受賞。


■スタッフ
監督・脚本:ジャン=ピエール& リュック・ダルデンヌ
製作:ジャン=ピエール& リュック・ダルデンヌ 、ドゥニ・フレイ
製作総指揮:オリヴィエ・ブロンカール
撮影:アラン・マルコァン
編集:マリー=エレーヌ・ドゾ
美術:イゴール・ガブリエル
衣装:モニク・パレル

     

 

 

   


原題:Le silence de Lorna
英題:Lorna's silence
2008年/ベルギー、フランス、イタリア/1:1.85 /カラー/105分
日本語字幕:寺尾次郎
配給:ビターズ・エンド