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ラ・ボエーム
LA BOHEME

2009年2/14(土)、テアトルタイムズスクエア他にてロードショー


■ストーリー
   1830年、パリ。自由気ままに生きるボヘミアンたちが暮らす屋根裏部屋。
薪を買う金もない詩人のロドルフォと画家のマルチェッロは、寒さに震えている。ロドルフォの原稿を「この世の多大なる損失」などとふざけながら燃やしていると、哲学者のコッリーネ、音楽家のショナールがやってくる。3日間ピアノを弾き続けて稼いだというショナールは、3人に街へ繰り出そうと提案する。

 原稿を書き上げてから追いかけると、1人残ったロドルフォ。そこへ突然、階下の部屋に住むミミが、ローソクの火をもらいに来る。ロドルフォとミミは、ひと目で恋におちる。身の上話を始める2人。お針子をしている一人暮らしのミミの唯一の楽しみは、バラやユリの花を育て、春を待つことだという。

 

 


■キャスト
アンナ・ネトレプコ
ローランド・ビリャソン
ニコル・キャベル
ジョージ・フォン・ベルゲン
ボアーズ・ダニエル
アドリアン・エレード
ステファーヌ・ドグー
ヴィタリ・コワリョフ
 




       

 

 仲間の待つカフェ・モミュスへと出かける2人。広場は、クリスマス・イブを祝う人々で賑わっている。ロドルフォはミミに、ピンクの刺繍を散らしたレースのボンネットを贈る。仲間たちにミミを紹介するロドルフォの口からは、彼女を讃える詩があふれ出す。
  そこへ、ムゼッタが現れる。喧嘩別れした、マルチェッロの元恋人だ。まだ、相手のことが忘れられない2人は、互いの存在が気になって仕方がない。最初は無視していたマルチェッロだが、堪えきれずに彼女への想いを語る。

 2月下旬の夜明け前。ミミは、マルチェッロがムゼッタと共に身を寄せる居酒屋を訪ねる。ミミは、クリスマス・イブの夜から一緒に暮らし始めたロドルフォのことを相談にやって来た。ロドルフォは、根拠のない嫉妬に身を焼き、ミミに辛く当たるようになっていた。そしてついに昨夜、「もう終わりだ」と言い捨てて、部屋を出て行ったというのだ・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

監督・脚本:ロバート・ドーンヘルム インタビュー

ステージの録画ではなく、映画にこだわった理由はなんでしょうか?
映画とステージの録画は全く別のアプローチです。映画の方がストーリーをもっと伝えやすいし、感情を表現しやすいです。クローズアップ、カット割り、オーバーラップなどの手法によって、観客をもっと物語に入り込ませ、感情を揺さぶることができます。また、ステージの録画より演出の自由度がずっと高まるし、ドラマ性を伝えやすくなります。それによってオペラとしてだけでなく、映画として幅広い観客に「ラ・ボエーム」のおもしろさ、魅力を伝えることができると考えています。

また、舞台で演じられる通りの順番ではなく、歌手にとって負担の少ない曲から、撮影を始められるよう効率的なスケジュールを組みました。何度も同じテイクを繰り返すと、歌手が喉をつぶしてしまうので、先に音源を作り、それに併せて映像の撮影を行うのが一般的ですが、今回は喉の動きなど、リアリティを持たせるために、映画の中で歌手は実際に歌っています。ただし喉をまもるために撮影は朝10時より前には決して始めませんでした。
ローランド・ビリャソンについては、すでに録音された音源を低い音で出して、撮影現場で指揮者に合わせて歌ったものを再度録音し、それを一部本編でも使用しています。

この作品ついて、特に強調したい点はどこでしょう?
最初は、私こそオペラ映画を撮るのに最も不適切な監督だと思いました。オペラは通常私のものではないのですから。オペラは面白みがなく終わった存在だと思っていました。しかしこのプロジェクトでは、ただ音楽を具象化するだけではなく、エキサイティングで情熱的な愛の物語を観客に届けたかった。幾度かの休憩、語調の変化−音楽ではなくリズムの−、そしてセットを通して悲劇が語られていきます。

私は、このオペラ自体が持っている社会批判的な一面と、自分を表現し自分の生き方を追求するボヘミアン達の間に存在する矛盾にも、とても興味がありました。だから私はオペラでは描く必要がないたくさんのことに関心がありました。実際は、音楽が私の思うこと全てを表現してくれています。だから私はイメージに忠実に描写すればよいだけでした。「この作品の真実の感情、自然さ、細部に生命を吹き込む」ということです。


 

 









■監督・脚本:ロバート・ドーンヘルム
1947年ルーマニア生まれ。ロスアンジェルス在住。1965年から67年にかけてウィーン・フィルムアカデミーで学ぶ。67年から75年までオーストリアのテレビ局ORFでドキュメンタリー監督として働いた。1977年に『The Children of Theatre Street』で映画デビュー。
この作品はサンクト・ペテルブルクのマリンスキーバレエ学校についてのドキュメンタリーでグレース・ケリーが出演しアカデミー賞にノミネートされた。この成功の後、拠点をロスアンジェルスに移した1981年には偉大な舞踊家ヴァツラフ・ニジンスキーの娘キーラ・ニジンスキーの物語『She Dances Alone』やローリングストーンズのベーシストで創立メンバーのビル・ワイマンについて描いた『Digital Dreams』を監督。
その後『父と罪 重き告発』(02)、『アンネ・フランク』(01)、『RFK/もうひとりのケネディ』(02)、『ルーディー ジュリアーニNY市長9月11日真実の物語』(03)などを監督。
最近作にトルストイの『戦争と平和』(07)やカラヤン生誕100周年を記念したドキュメンタリー『カラヤンの“美”-ロバート・ドーンヘルムによるドキュメンタリー』などがある。


■スタッフ
監督・脚本:ロバート・ドーンヘルム
プロデューサー:カタリーナ・モイト、クルト・J・ムルクヴィツカ
製作:アンドレアス・カム 、オリヴァー・アウシュピッツ
撮影:ヴァルター・キンドラー
音響:トーマス・シュミット=ゲントナー
舞台装置:フローリアン・ライヒマン
衣装:ウリ・フェスラー
メイクアップ:ハネローレ・ウアマッハー、アドルフ・ウアマッハー
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
合唱:バイエルン放送合唱団、ゲルトナープラッツ州立劇場児童合唱団
演奏:バイエルン放送交響楽団

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://laboheme.eiga.com/

(C) Unitel_MR Film Pietro Domenigg

英題:LA BOHEME
2008年 /ドイツ、オーストリア / 1時間58分
35mm/カラー/スコープサイズ
配給:東京テアトル 、スターサンズ