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ワルキューレ
VALKYRIE

2009年3月20日より日劇3ほかにて全国公開


■ストーリー
 シュタウフェンベルク大佐は国家に忠誠を誓った誇り高き軍人でありながら、ヒトラー独裁政権に絶望し、祖国のために何らかの手を打たねばならないという、切迫した思いに駆られていた。最前線にいた彼は、この無謀な戦いから部下たちの命だけでも救おうと
、上官に撤退を進言する。無謀な要求に難色を示す上官も熱心な説得の末、おりあいのつく撤退理由を見出しなんとか聞き入れてもらえたと思った瞬間、連合軍爆撃が開始される。
からくも命を取り留めたシュタウフェンベルクは、ヒトラーの暗殺を企てるレジスタンスの秘密会議に参加する。しかし、有力な軍人や政治家らで構成される上層部との意見が対立。あくまでドイツの再建を志すシュタウフェンベルクには、ヒトラー後の構想に乏しい彼らの計画に物足りなさを感じていた。

 


■キャスト
クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐/トム・クルーズ
ヘニング・フォン・トレスコウ少将/ケネス・ブラナー
オルブリヒト将軍/ビル・ナイ
フロム将軍/トム・ウィルキンソン
ニーナ・フォン・シュタウフェンベルク/カリス・ファン・ハウテン
オットー・エルンスト・レーマー少佐/トーマス・クレッチマン
ルードヴィヒ・ベック/テレンス・スタンプ
エーリッヒ・フェルギーベル将軍/エディ・イザード
カール・ゲルデラー/ケヴィン・マクナリー
アドルフ・ヒトラー/デヴィッド・バンバー
 





       

 

 そんなある日、シュタウフェンベルクは自宅でワーグナーの「ワルキューレの騎行」がレコード盤から流れてくるのを聴き、壮大な計画を思いつく。レジスタンスの主要メンバーである陸軍少将トレスコウ、陸軍参謀総長ベック、国内予備軍副司令官オルブリヒトは、シュタウフェンベルクのアイデアに驚きながらもその実現の可能性を話し合う。
  シュタウフェンベルクとオルブリヒトはフロムの執務室を訪ね、出世欲の強い彼の腹を探っていく。そして、おりしも国内予備軍幕僚長昇進したシュタウフェンベルクは、その地位を生かしヒトラー本人と面会し、ワルキューレ作戦の承諾サインをもらうことに成功する・・・

※   ※   ※

 

       
 






       


■プロダクション・ノートより

脚本のマッカリーは語る。「このストーリーから生まれる緊張感は、我々が手塩にかけた人物への親近感が土台になっています。彼らがこの計画に参加しようと決断するまで、それぞれの人物がくぐってきたものを全部さらけ出し、いざ計画を実行という運命の瞬間までのさまざまな切羽詰った決断に迫られるときこそ、サスペンスが倍増されるんです」

マッカリーとアレクサンダー(脚本)はドイツのレジスタンスに関わった人物に対して尊敬の念を抱きつつも、あれだけ徳の高い信念を持った人たちが、とりわけ強制収容所での残虐行為を知りながら、どうして、どういういきがかりで、ヒトラーにくみしたのかという問題に煩悶した。
軍部にいた多くの人間は、取り返しのつかない事態になるまで、ヒトラーの命令によってあれだけの非人間的な行為が行われていた実態を知らなかったのだ。二人はまずそこに着目した。また、彼らはドイツという国や国民に対して誓いを立てていた。ヒトラーが政権を掌握するずいぶん前に、そういうかなり思い誓約をしていたのだ。レジスタンスの多くの人たちは、戦争の真っ只中にあったとき、国の指導者を抹殺する必要に迫られたとき、誓約をしてしまった問題をどう折り合いをつけようか苦悶していた。

「人が命を懸けて誓いを立てたとき、世間はそれをまともに信じるという当時の精神風土があったし、それ以前に、彼らは一様に、ヒトラーに忠誠の誓いを立てていたんですからね」とマッカリーは言う。「しかし、ヒトラーが大臣たちと犯した酸鼻をきわめた残虐行為によって、ヒトラーこそ国に対する誓約を破ったのだからというのが、彼らがだした最終的な結論でした。たとえ、自分たちが国民から裏切り者とそしられることになろうとも、新たな未来像のためにことを起こさねばと、彼らは考えたのです。そこにはモラル的なジレンマがありました」

軍部きっての切れ者で優秀だった人間の多くは貴族階級の出であり、第一次世界大戦であるとか、シュタウフェンベルクのようにヒトラーが頭角を現すずっと以前の1926年に、国に奉仕する感覚から入隊したみな筋金入りの愛国者だった。そして、彼らの多くは、ユダヤ人などに対する軍部の暴走や暴力が激化した1930年代の半ばには、ヒトラーの政策に疑問を感じ始めていた。「国や国民のためにつくすのが貴族の本分だとする空気は強く、シュタウフェンベルクや陸軍少将トレスコウや国内予備軍副司令官オルブリヒトなど、多くはだからこそ入隊したのです」とマッカリーは言う。
「しかし、彼らの多くはナチスが掲げる政治目標に早くから反発し、戦争が進むにつれ、だんだんヒトラーに幻滅を感じるようになり、やがてロシア人やユダヤ人に対する残虐行為の実態を知るようになっていったんです」

ヨーロッパ中にいるユダヤ人、ロシア市民、そして捕虜に対する目に余る扱いが、シュタウフェンベルクら多くの仲間にとって分岐点となった。監督のブライアン・シンガーはこう語っている。「僕が調べたところによれば、軍部にいたレジスタンスの多くのメンバーはユダヤ人に対する扱いや大量処刑の真実を知って、早い時期にかなり心を痛めていたようです。それが僕には驚きでしたね。どんな犠牲を払おうともこれは何とか阻止しないと・・・そういう思いが、彼らを駆り立てたんです」

                     ※ ※ ※

この計画はほとんどの人が知らなかったドイツという国の一面を白日の下にさらす結果となった。7月20日の事件を計画した人たちは、長い間、売国奴として見られていたが、現在はその勇気と払った犠牲の大きさがドイツ国内では高く評価されている。
2004年、当時首相だったゲアハルト・シュレーダーは、クラウス・フォン・シュタウフェンベルクと共同謀議に参加した人たちのために花飾りを置き、「国家は今日では、自明となっている自由と耐え忍ぶということの意味をくれぐれも尊重せねばならず、彼らの行動はそれを思い出させてくれる」と述べている。


 

 









■監督:ブライアン・シンガー
1965年、アメリカ、ニューヨーク出身。1995年『ユージュアル・サスペクツ』で注目を集めた。スティーヴン・キングの中編小説を映画化した『ゴールデンボーイ』(98) 、大ヒットした『X-メン』(00) 、『X-MEN2 』(03)、『スーパーマン リターンズ』 (06) などがある。
テレビ作品では『Dr.HOUSE』では、エミー賞とゴールデングローブ賞を受賞。シンガー作品の世界での興行収入は200億ドル以上にのぼる。


■スタッフ
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー
製作:ブライアン・シンガー、クリストファー・マッカリー、ギルバート・アドラー
製作総指揮:クリス・リー、ケン・カミンス、ダニエル・M・シャイダー、ドワイト・C・シェアー、マーク・シャピロ
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
美術:リリー・キルバート、パトリック・ラム
編集・音楽:ジョン・オットマン
衣装:ジョアンナ・ジョンストン

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.valkyrie-movie.net/

(C) 2008METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

原題:VALKYRIE
ビスタサイズ/2008年/アメリカ/120分
字幕翻訳:戸田奈津子
配給:東宝東和