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副王家の一族
I vicerè

2009年11月7日(土)、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー!


■ストーリー
 ブルボン王朝下、イタリアへの統一を目前に控えた19世紀半ばのシチリア。かつてのスペイン副王の末裔であり、カターニャで100年続く名門貴族ウゼダ家は、家長である父ジャコモの下、新しい時代の足音を聞いていた。12歳の嫡男コンサルヴォは、きわめて封建的で自分に辛く当たる父に反発しながら一族の中で様々な出来事を見つめる。
  病に倒れていた公爵夫人である祖母テレザの死。その死はジャコモの横暴さを助長する。父とは違い、自由を享受する叔父のライモンドは、祖母の遺産の半分を相続した。しかし、ライモンドの不倫が発覚すると、ジャコモはそれをもみ消す条件として、ライモンドに遺産放棄を言い渡し、彼をフィレンツェと追いやってしまう。さらに平民であるジュレンテ弁護士との結婚を望むルクレツィアには、ウゼダ家の女は貴族以外とは結婚させないと言い放ち、結婚を許さない。

 


■キャスト
アレッサンドロ・プレッツィオージ
ランド・ブッツァンカ
クリスティーナ・カポトンディ
グイド・カプリーノ
 




       

 

 大人たちの思惑とは別に、無邪気に育ったコンサルヴォは、ふとしたことで父の逆鱗に触れ、大叔父のブラスコが率いる修道院へ入れられてしまう。コンサルヴォは、清廉潔白のはずの修道院でさえも淫行がはびこり、腐敗しているさまを見ることになる。
  7年後、イタリア統一を掲げるガリバルディの赤シャツ隊がシチリアに上陸する。混沌とした情勢の中、修道院を脱走したコンサルヴォは、ブルボン軍の兵士が民衆によって殺されるのを目の当たりにし、衝撃を受ける。ブルボン王朝によるシチリア支配は終わりを告げようとしていた。
  一族の屋敷に戻ってコンサルヴォが見たのは、生死の境をさまよう母の姿だった。母の死に打ちのめされるコンサルヴォと妹のテレーザに、父は妻の死を悼む間もなく、愛人である従妹のグラツィエラとの再婚を告げる。

 王政の終焉とともに貴族社会が終わりを告げても、「王の治世にはウゼダ家は王の友、貧民の世には貧民の友」と公言するジャコモ。新たな時代の中でもジャコモは権力に固執し、したたかに生きていた。そんな父の生き方を否定しながらも、一族の枠から逃れられないコンサルヴォは、生き残るための選択をする・・・


※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

原作『副王たち(I vicerè)』について
小説『副王たち(I vicerè)』が執筆されたのは1894年。この作品の根底に流れるのは「トランスフォミズモ」と呼ばれる権力や地位を保持するために、主義や主張の違いを無視し、乗り換え続けることへの批判であり、それはそのまま、当時の政権への批判であった。
しかし、当時流行していたのは楽観的で平易な文章で、貴族の姿を醜悪なまでに描き、それを通して表現される彼の主張は、読者からまったく理解されなかった。
しかし、1970年代後半、ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサによる小説「山猫」がルキノ・ヴィスコンティによって映画化されたことにより、フェデリコ・デ・ロベルトの『副王たち(I vicere)』も注目されることとなった。

同じ時代、同じシチリアを舞台に公爵家に焦点を据えた2つの作品は酷似している。
この2つの作品の決定的な違いは、「山猫」は貴族の記憶が作品の源であるのに対し、『副王たち(I vicere)』は歴史的な検証に基づいて執筆されているという点である。
実は、このフェデリコ・デ・ロベルトによる不遇の小説こそが、後に出版され、20世紀を代表するともいわれる、小説『山猫』(1958出版)に影響を与えた作品だと言われている。
さらに最近は、文化衰退や、イデオロギー、政治モラルの重大な危機に直面している現代のイタリア政治がイタリア統一期と似ているという指摘から、再び注目を集めている。


 

 









■監督:ロベルト・ファエンツァ
1943年トリノ生まれ。トリノ大学哲学科で学び、1965年に国立映画実験センターの監督科を修了後、『エスカレーション』(68)で監督デビュー。主な作品は『H2S』(69)、『Mio caro dottor Grasler(親愛なるドクター・グレスラー)』(89)、『Marianna Ucria(マリアンナ・ウクリア)』(97)、『L'amante perduto(消えた愛人)』(99)など。

■スタッフ
監督:ロベルト・ファエンツァ
製作:エルダ・フェッリ
原作:フェデリコ・デ・ロベルト『副王たち(I vicerè)』
撮影:マウリオ・カルヴェージ
衣装:ミレーナ・カノネロ
美術:フランチェスコ・フリジェーリ
音楽:パオロ・ブオンヴィーノ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.alcine-terran.com/ichizoku/

(C)2007: Jean Vigò Italia, RAI CINEMA Spa, RAI FICTION Spa, Isitut del Cinema Català;

原題:I vicerè
2007年/イタリア・スペイン/イタリア語/35mm/カラー/126分/
配給:アルシネテラン