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セントアンナの奇跡
Miracle at St. Anna

2009年7月25日より、TOHOシネマズ シャンテ、テアトルタイムズスクエアほか全国にて公開


■ストーリー
 1983年、アメリカ、ニューヨーク。郵便局員が、窓口に切手を買いに来た男を射殺する。犯人の局員は、精神状態も良好で、定年退職の3ヶ月前だった。
さらに不可解なことに、局員の部屋から、彫像の頭部が発見される。それは、イタリアのフィレンツェのサンタ・トリニータ橋を飾る“プリマヴェーラ”で、歴史的に大変貴重な作品だった。1944年にナチスが橋を爆破した時から、行方不明になっていた。

 1944年、イタリア、トスカーナの村。
第2次世界大戦の真っ只中、第92歩兵師団、バッファロー・ソルジャー。アメリカが過酷な“最前線”に送り込む、黒人だけの部隊だ。ナチスが待ち受ける中、偵察隊として彼を含む4人の黒人兵が川を渡ることに成功するが、その中の1人が爆撃に倒れた少年を助けたことから、彼らはそのまま部隊とはぐれてしまう。

 


■キャスト
デレク・ルーク
マイケル・イーリー
ラズ・アロンソ
オマー・ベンソン・ミラー
マッテオ・シャポルディ
ルイジ・ロ・カーショ
ヴァレンティナ・チェルヴィ
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
セルジオ・アルベッリ
オメロ・アントヌッティ
ルイジ・ロ・カーショ
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
ジョン・タートゥーロ
 




       

 少年を見殺しにできなかった兵士トレインは、フィレンツェで拾った彫像の頭を、お守り代わりに持ち歩いている。少年が足手まといだと怒るビショップ。無線兵のヘクター、彼らをまとめるリーダーのスタンプス。少年は初めて見る黒人であるトレインを“チョコレートの巨人”と呼び、彼にはすぐに心を開く。大きな体に純粋な魂を宿すトレインは、少年には何か神秘的な力があると信じるのだった。

 4人の黒人兵は、少年の治療と食料を求めて、山のふもとに村に辿り着く。彼らはレナータという英語が話せる美しい女とその家族に、強引に世話になる。
  ケガから回復した少年が、"友達”に「助けてあげる?」と話しかけると、壊れていた無線機が急に音を出す。それを見たヘクターも、少年の不思議な力を信じ始めるのだった。無線機からは白人少将の無謀な指令が流れる。ナチスに囲まれた村で孤立しているというのに、自分たちでナチスの兵士を捕虜に取れと言うのだ。

  村に足止めされる日々の中で、4人の兵士と村の人々は、徐々に心を通わせる。黒人を知らない彼らに、偏見はなかった。故郷アメリカでは、人種差別で辛い思いをしてきた。そして今、国のために戦っているのに、黒人兵の命は紙くず同然に扱われている。イタリアの空の下で、ビショップはレナータを誘惑し、トレインは少年との友情を深め、ヘクターとスタンプスは初めて人としての自由を感じるのだった・・・


※   ※   ※

 

       
 




       


■INTRODUCTIONより

原作は、叔父がかつてバッファロー・ソルジャーの一員だったという、ジェイムズ・マクブライドの「Miracle at St. Anna」。幼い頃に聞かされた叔父の話を思い出し、現地で徹底的に調査すると共に、自身のイマジネーションを駆使してこれを書き上げた。2003年に出版されたこの小説に即座に熱狂したスパイク・リー監督は、マクブライドに映画化と共に脚本も依頼、そこからさらに数年をかけて、壮大なスケールの感動ドラマが完成した。

第2次世界大戦時に実在した黒人だけの部隊、第92歩兵師団“バッファロー・ソルジャー”。彼らが送り込まれた最前線、イタリアのトスカーナには、封印された残酷な史実があった。1944年8月12日、ナチスが罪のない大勢のイタリア市民を殺害した“セントアンナの大虐殺”だ。
  戦場を舞台にした初めての作品となる本作で、スパイク・リー監督の視点に、明らかな変化が見られる。そこに描かれるのは、黒人と白人の対立関係ではなく、戦争を支持する者と、しない者の対立。人の命が奪われることに涙する者たちの想いが、一つになる姿だ。
  折しも、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した。バラク・オバマもまた、黒人と白人の真の共存を唱えている。彼の熱い支持者として知られるスパイク・リー監督は、様々なインタヴューに応じているが、その中で「こういう時代に生きているのは素晴らしいことだ」と語っている。変わりゆくアメリカと共に歩む、スパイク・リー監督の新たなる第1歩が、本作なのである。


 

 









■監督:スパイク・リー
1957年、ジョージア州アトランタに生まれ。ニューヨーク大学で映画の修士号を取得。ブルックリンに40エーカーズ&ア・ミュール・フィルムワークスを設立。
  自主製作のデビュー作『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(86)は、カンヌ国際映画祭ジュネス賞を受賞。長編2作目『スクール・デイズ』(88)では若手黒人俳優数人が鮮烈なデビューを果たす。主な監督作品は、『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)、『モ’・ベター・ブルース』(90)、『ジャングル・フィーバー』(91)、『マルコムX』(92)、『クルックリン』(94)、『クロッカーズ』(95)、『ガール6』『ゲット・オン・ザ・バス』(96)、『サマー・オブ・サム』(99)、『キング・オブ・コメディ』(00)、『25時』(02)、『インサイド・マン』。ハリケーン・カトリーナ直撃後のニューオーリンズ市民に焦点を当てたドキュメンタリー『When The Levees Broke』(06)など。現在、ニューヨーク大学映画芸術大学院の教授・芸術監督。


■スタッフ
監督:スパイク・リー
原作・脚本:ジェームズ・マクブライド
製作:ロベルト・チクット、ルイジ・ムジーニ 、スパイク・リー
製作総指揮:マルコ・ヴァレリオ・プジーニ / ジョン・キリク
撮影:マシュー・リバティーク
美術:トニーノ・ゼッラ
編集:バリー・アレクサンダー・ブラウン
衣装:カルロ・ポッジョリ
音楽:テレンス・ブランチャード
     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.stanna-kiseki.jp/

(C) 2008(Buffalo Soldiers and On My Own Produzione Cinematografiche)- All Rights Reserved.

原題:Miracle at St. Anna
2008年/アメリカ、イタリア/2時間43分/カラー/スコープサイズ
日本語字幕:関美冬
配給:ショウゲート