home
home

 

カラヴァッジョ 天才画家の光と影
Caravaggio

2010年2月13日銀座テアトルシネマ他にて公開


■ストーリー
 ミラノで絵の修行をしていたカラヴァッジョは、コスタンツァ・コロンナ侯爵夫人の援助を得て芸術の都ローマに出てきた。ローマの街角で画家のマリオ・ミンニーティと知り合ったカラヴァッジョは、ダルピーノの工房に入り込む。夜になると、マリオや血の気が多い仲間オノリオらと街へ繰り出す。カラヴァッジョが目をとめたのは高級娼婦のフィリデ。しかし元締めは街の権力者ラヌッチョ・トマッソーニで、手が出せる女ではなかった。
  絵が売れず、窮地にあったカラヴァッジョのもとに、絵の評判を聞きつけたデル・モンテ枢機卿がすべての生活を援助してくれることになった。
  カラヴァッジョの絵がお披露目されるサロンには、有力貴族ジュスティニアーニ侯爵や画壇の大御所ズッカリ、人気画家のバッリョーネなどローマ中の名士が集まっていたが、カラヴァッジョは誰にも媚びることなく率直な意見を口にし、皆を驚かせる。

 


■キャスト
アレッシオ・ボーニ(カラヴァッジョ)
クレール・ケーム(フィリデ・メランドーニ)
ジョルディ・モリャ(デル・モンテ枢機卿)
パオロ・ブリグリア(マリオ・ミンニーティ)
ベンジャミン・サドラー(オノリオ・ロンギ)
エレナ・ソフィア・リッチ(コンスタンツァ・コロンナ侯爵夫人)
 




       

 

 フィリデのことが忘れられないカラヴァッジョは、彼女をモデルにする権利を賭けラヌッチョにテニス対決を挑み勝ち取った。モデルに乗り気ではなかったフィリデだが、彼の描く絵に感動し、その熱い思いのまま二人は激しく愛し合う。その頃、巷ではチェンチ殺害事件の話題でもちきりだった。チェンチ男爵の娘ベアトリーチェとダルピーノの工房で言葉を交わしたこともあるカラヴァッジョは、殺人の罪を着せられ首を斬り落とされる彼女の姿を目に焼き付け、フィリデをモデルに迫力あるユディトの絵を完成させる。だが、フィリデは、娼婦として暮らさなければならない自分を理解してくれないカラヴァッジョのもとを去っていく。
  フィリデとの別れからまたしても放蕩に明け暮れるカラヴァッジョにとって、最高に名誉ある仕事がもたらされる。それはサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂の絵画制作。《聖マタイの召命》《聖マタイの殉教》の誕生でローマ中の賞賛を浴びたカラヴァッジョが、誰よりも作品を見せたかったコロンナ夫人もその栄光を称え、これからは家族を持ち落ち着いた生活が必要と勧めるが、彼は夫人に永遠の愛を捧げると告白するのだった。

 その頃、教会では異端粛正が続き、火刑に処せられたドミニコ会修道士ジョルダーノ・ブルーノの末期の苦悶を見届けたカラヴァッジョは、聖人も人間だと考え《聖マタイと天使》を描く。しかし人間的すぎる聖人像だと教会に受け取りを拒否され、街での乱闘騒ぎで鬱憤を晴らすしかなかった。
  すでにスペイン派が多勢を占めていた教会では、フランス派のデル・モンテ枢機卿にカラヴァッジョを擁護する力はもうなかった。宮殿を辞したカラヴァッジョは、街の娘レナをモデルに呼び寄せ二人で暮らす。心優しく、信頼と愛情を寄せてくれる彼女に、カラヴァッジョは初めて安らぎを得る。
  しかし、モデルに庶民のレナを使って《ロレートの聖母》を描いたカラヴァッジョは、教会の非難にさらされる。その上、最愛の人レナにも危害が及び、逆上したカラヴァッジョはトマッソーニの仕業だと決闘を申し込み、怒りのままに彼を刺してしまうのだった・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

撮影監督:ヴィットリオ・ストラーロ
イタリアでは、生まれてすぐ洗礼を受けるときから教会美術は身近な存在だ。しかし私が初めてカラヴァッジョの作品を見たのは20代の初め、撮影の仕事の駆け出し時代だった。
・・・作家が文学を書くのに言葉を学ぶ必要があるように、撮影学校においては、色彩、光と影、その動きを生徒に教えるべきだ。また、偉大な映画というのは、文学、彫刻、絵画、音楽、建築などあらゆる芸術を糧にしながら成り立っており、哲学的な書物を読むことも映画作りに重要だと思う。
初めて教会で『聖マタイの召命』を見て以来、あの作品が我々に伝えようとした光と影の意味について理解しようと務めてきた。私にとっては生涯をかけて探求してきたテーマであり、『暗殺の森』や『1900年』といった初期の頃から『レッズ』のときにも、その記憶を探りながら作品を生かすようにしてきた。

・・・映画『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』の撮影を依頼された時、たとえ私の仕事が壁の落書きや砂の上をなぞるメッセージほどにしかならないとしても、全身全霊で打ち込もうと思った。私は永遠に学び続ける生徒であり、哲学やあらゆる芸術に関する知識の領域を広げられるチャンスを求め続けている。
このプロジェクトは、撮影段階からポストプロダクション完成までほぼ1年かかったが、すばらしい経験になった。苦難と歓喜を共に抱え込んだ彼が、なぜ、どのように新しい表現方法を発見したのか、徹底的に理解しようとした。
カラヴァッジョは今日のすべての視覚芸術に影響を与えていると私は信じているからだ。


 

 









■監督:アンジェロ・ロンゴーニ
1956年、イタリア・ミラノ生まれ。ミラノ、ピッコロ劇場の演劇学校卒業。脚本賞に応募した“Caccia alle mosche”で注目される。監督作品に、“Uomini senza donne”(95) 、“Facciamo fiesta”(97)、“Naja”(97)、“Non aver paura”(05)などがある。

■撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
1940年、イタリア・ローマ生まれ。国立映画学校で撮影を学んだ後、20才から映画、舞台の照明に携わる。ベルナルド・ベルトルッチ監督『革命前夜』(64)以来コンビを組み、『暗殺のオペラ』『暗殺の森』(70)で注目される。
『地獄の黙示録』(79)、『レッズ』(81)でアカデミー賞撮影賞を受賞。ベルトルッチ監督とは、『ラストタンゴ・イン・パリ』(72)、『1900年』(76)、『ラストエンペラー』(87/アカデミー賞の他、多数受賞)、『シェルタリング・スカイ』(90/英アカデミー賞受賞)、『リトル・ブッダ』(93)と作品が続き、その他、カンヌ国際映画祭高等技術委員会グランプリ受賞の『タンゴ』(98)、『エクソシスト・ビギニング』(04)、オムニバス『それでも生きる子供たちへ』(05/ステファノ・ヴィネルッソ監督作「チロ」)など50本以上に及ぶ。


■スタッフ
監督:アンジェロ・ロンゴーニ
脚本:ジェームズ・キャリントン、アンドレア・ブルガトーリ
撮影監督:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:ルイス・バカロフ
美術:ジャンティート・ブルキエッラーロ
衣装:リア・モランディーニ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://caravaggio.eiga.com/

(C)2007 RAI PICTION TITANIA PRODUCTION INSTITUTE DEL CINEMA CATALA EOS ENTERTAINMENT GFM PRODUCTIONS

原題:Caravaggio
2007年/イタリア・フランス・スペイン・ドイツ合作映画
/2時間13分/35mm/スコープサイズ
字幕翻訳:岡本太郎 
配給:東京テアトル