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アイガー北壁
NORDWAND

2010年3月20日よりシネカノン有楽町2丁目、新宿バルト9他全国順次ロードショー


■ストーリー
 ベルリン・オリンピックを間近に控えた1936年夏のドイツ。アルプスの名峰アイガー北壁「殺人の壁」と呼ばれていた。
 ナチス政府は国家の優位性を世界に誇示するため、この前人未到の壁への挑戦を国威発揚のプロパガンダにすることをもくろみ、北壁を初めて征服したものにベルリンオリンピックで金メダルを授与することを決定。ドイツ報道機関にも、初登頂を大々的に報道するよう命令が下る。


 ベルリン新聞社の会議で、若き登山家の名が挙がる。トニー・クルツとアンディ・ヒンターシュトイサー。2人はベルヒテスガーデンの山岳猟兵で、難航不落の山を次々と登頂していた。ベルリン新聞社のアシスタントとして働いていたルイーゼは偶然にもトニーとアンディの幼なじみだった。上司のアーラウは、アイガー北壁登攀(とうはん)を説得させるために、ルイーゼを彼らのもとへと向かわせる。

 


■キャスト
ベンノ・フュルマン
ヨハンナ・ヴォカレク
フロリアン・ルーカス
ジーモン・シュヴァルツ
ゲオルク・フリードリヒ
ウルリッヒ・トゥクール
エルヴィン・シュタインハウアー
ペトラ・モルツェ
ハンスペーター・ミュラー=ドロッサート
ブランコ・ザマロフスキー
 





       

 

 2人は世間の盛り上がりに戸惑いながらも、アイガー北壁への挑戦を決意する。麓には、初登頂を目指す各国からの登山家や、世紀の瞬間を見届けようという報道関係者や見物客が集まってきていた。その中にはルイーゼの姿もあった。天候を待つこと数日。ある晩、トニーとアンディは北壁への登攀を開始する。彼らのすぐ後をオーストリア隊が追い、4人は快調に高度を上げていくが、メンバーの負傷や急な悪天候に見舞われ、彼らは想像を絶する状況へと追い込まれていく・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

フィリップ・シュテルツェル監督インタビュー

Q:この物語の歴史的背景について、特に何が魅力的であると思いましたか?
A:1920年代から30年代にかけて行われた命懸けの北壁登攀は、非常に重要な意味を持っていました。人生に何の展望を持てない若者たちが、何らかのゴールに到達するために、山の麓までの何百キロを自転車で目指した。自分のためのゴールです。そのゴールのためなら、死んでもいいとまで覚悟を決めていた。これはナチ神話に出てくる模範と見事に合致します。こうした彼らの行為がイデオロギーに利用され、英雄的な行為とみなされるようになりました。KdF(ナチの歓喜力行団)を率いた人物の、「ドイツの若者は山との格闘で、たくましさと男らしさを身につけ、死に方を学ぶのだ!」という言葉にも表れているように、理念や神話のためにすべてを捧げ、必要ならば命をも犠牲にすること、これこそ「英雄的な死」であると持ち上げた。だからナチは登山に興味を持ったのです。これはドイツがウラル山脈に向けて行進を始めた小さな一歩だととらえることもできます。

Q:『アイガー北壁』を見ると、この映画がカメラマンにとっては決して楽な仕事ではなかったことが想像できます。このプロジェクトはどんな挑戦でしたか?
A:私たちは本作で、とにかく可能な限りリアリズムを追求しました。登山のシーンにリアリティがなく、スタジオで撮影したかのように見える娯楽映画ではなく、『運命を分けたザイル』(2003年英)のようなドキュメンタリー映画をお手本にしました。この映画を見ると、まるでカメラがアルピニストたちと一緒に登っているかのような印象を受けます。
・・・山岳映画は、大げさなほど崇高に仕上げるのが当然であった中で、彼らは人工的なものを作り出すのではなく、あるがままの姿を撮ろうとしたのです。私たちはドキュメンタリー的リアリズムを基本とし、手持ちカメラによる映像を選びました。このほうが荒っぽく撮れ、山のシーンにリアリティが増します。昔の時代を描いた映画は、その装置や衣装、ヘアスタイルなどで必然的に絵画のような華やかな雰囲気が出るものですが、そうした山以外の華やかなシーンにも負けず、荒々しい映像がかえって映える効果もあります。

 

 









■監督:フィリップ・シュテルツェル
1967年、ドイツ・ミュンヘン生まれ。舞台美術の助手からキャリアをスタート。フリーデザイナーを経て、1997年よりミュージックビデオ、CMの演出を手がける。2001年『Baby』(日本未公開)で長編映画デビュー。


■スタッフ
監督・脚本:フィリップ・シュテルツェル
脚本:クリストフ・ジルバー、ルーペルト・ヘニング、ヨハネス・ナーバー
撮影:コーリャ・ブラント
音楽:クリスティアン・コロノヴィッツ
美術:ウード・クラマー
視覚効果:シュテファン・ケスナー、マックス・シュトルツェンベルク
編集:スヴェン・ブーデルマン
プロデューサー:ボリス・シェーンフェルダー、ダニー・クラウス、ルドルフ・ザンチ、ベンヤミン・ヘルマン
     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.hokuheki.com/

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原題:NORDWAND
2008年/ドイツ・オーストリア・スイス合作映画/2時間7分/シネマスコープ
日本語字幕:吉川美奈子
配給:ティ・ジョイ