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ペルシャ猫を誰も知らない
No One Knows About Persian Cats

2010年8月7日(土)、ユーロスペース他全国順次ロードショー


■ストーリー
 テヘランの音楽スタジオ。ネガルという大ぶりのめがねをかけた女の子が入ってくる。ネガルはアシュカンと“テイク・イット・イージー・ホスピタル”というバンド名でインディ・ロックをやっている。
  アシュカンは、無許可でケーブルTVに出演し、演奏したために逮捕され、今朝釈放されて刑務所をでたばかり。バンドはばらばらになってしまったが、ネガルは彼と一緒にロンドンで演奏するという夢を持っている。けれど、問題はパスポート。自分は持っているが、アシュカンは持っていない。
  それでも彼と国外に出たくて、ネガルはスタジオエンジニアのババクに相談する。

 ババクが彼女に紹介したのは、便利屋のナデル。最初は気のない様子だったが、彼女の音楽への情熱を知り、協力を約束する。ネガルはアシュカンとナデルの自宅へ向かう。ナデルは2人のデモCDを聞いて彼らの才能に驚き、国を出る前に、自分がCD制作の許可もコンサートの許可も取り付けてやると大見得を切る。

 


■キャスト
ネガル・シャガギ
アシュカン・クーシャンネジャード
ハメッド・ベーダード
その他テヘランのミュージシャンたち
 




       

 

 ナデルは2人を、国外へ出ようとしているミュージシャンのハメッドの家に連れて行く。

 ネガルは国を出る前に友達や親の前で演奏したいと思っていた。でもアシュカンは演奏許可など下りるはずがないから、偽造パスポートが先だと言い張った。2人はナデルに頼んで、パスポートからビザ、兵役修了証まで一手に引き受ける老人ダウッドの元にいく。アシュカンはこれから集めるメンバーの分も数に入れ、偽造パスポートとビザをダウッドに頼んだ。

 ネガルは心配したが、アシュカンは、ドイツにいる母親から、送金さえうまくいけば大丈夫と楽観的。そんなアシュカンをなナデルが連れ出したのは、有名歌手ラナ・ファルハンがレコーディングしているハバクのスタジオだった。コンサートなら彼女も協力してくれる。ボーカルで加わってもらったらどうかとハバクが提案するが、ボーカルはネガルがいるからとアシュカンは断る。「女性は一人では許可が下りないぞと」とハバクはアドバイスした。

 翌日、またナデルの誘いだ。今度はへヴィメタバンドに会いにいく。バンドリーダーは父親のメタル工場で働き、バンドの練習場は牧場の牛小屋だ。聴衆はアシュカンラ3人と牛たち。ペルシャ語メタルが響くが、ここは、いまいちだった。アシュカンとネガルのメンバー探しはさらに続く・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

バフマン・ゴバディ監督インタビュー

これまでの作品とまったく異なるスタイルですが?
この映画で、僕はテヘランの生活のありのままの熱とリズム、ダイナミズムを捉えようとしました。この街を違ったアングルから見せたいと思ったんです。この映画のリズムには、音楽、とくにその歌詞が影響しています。

この映画はイラン映画史で初めて、反体制的な若者に対する、政府の厳しい対応を公然と批難した作品です。この題材を選んだことで、あなたは大きなリスクを背負ったわけですが、撮影はどのように行われたのですか?
撮影中、僕は細心の注意を払いました。撮影許可を得ていなかったからです。2、3台のバイクで走って街の様子を調べると、いつものような撮影準備もないままに撮りはじめました。
警察が僕たちを見つける前にどのシーンもすばやく撮り終わらなくてはなりませんでした。ダヴィッドが警察に連行されていく場面では、普通の車を警察車に変え、警官の制服を買い、役者たちのサイズに合わせて手直しして着せました。
たった17日間の撮影だったのに、17ヶ月もあったような気がします。映画を作るには最悪の条件でしたからね。


 

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テヘランのミュージックシーンを通して、イランの今を見ることができる。音楽が素晴らしい。(JS)









■監督:バフマン・ゴバディ
  1968年イラン・イラク国境近くの町、バネー生まれ。88年からラジオ局で働きながら、自主映画製作グループに加わり、短編映画の製作に参加する。92年にテヘランに移り、93年からイラン放送学校で映画製作を学ぶ。学校には最後まで通わず、デイケアセンターで子供たちを撮影したり、友人らを題材にして10本以上の短編を製作することで技術を磨いた。
クルド山岳地帯で撮影した「Life in Fog(霧の中の人生)」(1999)はクレモンフェラン映画祭で審査員特別賞を受賞。
長編初監督作品は、イラン映画史上初のクルド語長編映画となった『酔っ払った馬の時間』(2000)で、カンヌ国際映画祭〈監督週間〉部門に選ばれ、カメラドール〈新人監督賞〉と国際批評家連盟賞を受賞。主な監督作品は、『わが故郷の歌』(2002)、『亀も空を飛ぶ』(2004)、『Half Moon』(2006)、ペルシャ猫を誰も知らない(2009)。
本作を最後にイランを離れ、現在海外に居住。


■スタッフ
監督:バフマン・ゴバディ
脚本:バフマン・ゴバディ 、ロクサナ・サベリ、ホセイン・アブケナール
撮影:トゥランジ・アスラニー
編集:ハイェデー・サフィヤリ
録音:ネザムディン・キアイ
音響デザイン:バーマン・アルダラン

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://persian-neko.com/

原題:kasi Az Gorbehayeh Irani Nadareh
2009/イラン/HD→35mm/1:2.35/106分
字幕翻訳:齋藤敦子
配給:ムヴィオラ