home
home

 

隠された日記
―母たち、娘たち―

Meres et Filles

2010年10月23日、銀座テアトルシネマほか全国順次公開


■ストーリー
 カナダで働くオドレイは、第一線で働きキャリアを積み、恋もそれなりに自由に楽しんでいた。しかし、恋人ではない相手トムの子供を妊娠してしまい、自分たちは結婚には向いていない、母親になることも不安、そして何よりも仕事を犠牲にはしたくないという思いから、子供を産むべきかどうか悩んでいた。

 実家に併設された病院で医師として昔と変わらず忙しそうに働く母マルティーヌと、いつも優しく迎えてくれる父。妊娠していることは打ち明けずに、久しぶりの両親との再会を楽しむはずが、マルティーヌとオドレイは、なぜかいつも素直になれずどこかぎこちなくなってしまう。
  翌日、散歩をしていたオドレイの目に止まった海辺に佇む1軒の白い家。それは、今は誰も住んでいない亡き祖父の家だった。そこでオドレイは、カナダを発つ前に任された仕事に集中するために、患者の出入りが激しい実家ではなく、静かな祖父の家で2週間の休暇を過ごすことにする。そんなある日、キッチンの戸棚の奥に隠されていた1冊の古い日記を見つけたオドレイ。それは、50年前に突然姿を消した祖母ルイーズのものだった。その日記には、家族のために作った料理のレシピとともに、子供たちへの深い愛、そしてルイーズの秘めた想いが綴られていた。

 


■キャスト
カトリーヌ・ドヌーヴ
マリナ・ハンズ
マリ=ジョゼ・クローズ
ミシェル・デュショーソワ
ジャン=フィリップ・エコフェ
キャロル・フランク
エレオノール・イルト
ジェラール・ワトキンス
ロマーノ・オルザリ
ナンヌス・ラボルド
 




       

 

 ルイーズはとても美人で、いつも素敵な洋服を身にまとっていた。愛する子供たちと、自分を愛してくれる夫、何不自由のない幸せな生活。貧しい家の出だった彼女にとって、ジルとの結婚は願ってもないことだった。しかし、ルイーズは良き妻、良き母として家庭だけに縛られる生活ではなく仕事を持つことを望んだが、夫のジルは取り合ってくれない。それでも、少しでも自分らしく生きようと悩み葛藤したルイーズは、写真や英会話を習い始めた。女性が社会に出ることが難しかった1950年代、当時の女性にはとても珍しいことで、ルイーズは常に話題の的となった。主婦が家庭から離れて新しいことを始めること、それは当時の人々の慣習に反することであり、世間体を気にする夫は、ルイーズに習い事の全てを辞めさせた。
  夫と子供を見送り、食事を作り、家族とともに過ごす毎日。“子供たちのことは愛してる。でも、今の生活が幸福とは思えない”、ルイーズは誰にも言えない秘めた想いを日記に綴った・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

ジュリー・ロペス=クルヴァル監督インタビュー

Q:本作品のアイデアは、どこから生まれたのですか?

現代女性の立場と、ここ数十年間の女性の社会的地位の変化、例えば女性の社会的役割や女性が勝ち取ってきた自由について語りたいと思っていました。これは、最初の長編監督作品『海のほとり』のプロモーションで外国を旅した時に考えさせられたことの1つでした。私が若い女性であるという理由だけで、私にとって当然と思われることが、他では奇妙なこととして見なされている印象を受けました。そうした経験から、女性が置かれている状況や私自身の家族の歴史について考えるようになったのです。
そこで、過去を回想するという形式を取りながら、女性にとって自由が無いとはどういう状態なのかを表現するため、激しさと暴力性を伴う物語にしたいと考えました。製作にあたって、私は3人の女性をイメージしました。1人は自由をどう扱うべきか悩む現代の女性。もう1人は「囚われの身」の女性。そして3人目は、その2つの世代に挟まれた女性です。一見単純なストーリーの中に、それぞれの女性の深い思いが隠されているような作りにしたいと考えました。妊娠した女性が悩みを抱え、自分の家族のもとに帰り、家族のことを調べ始める。重要なのは、本当に語りたいことを一度に明かさず隠しておくことです。各登場人物や各場面を通して、それらを少しずつ語っていくことで、個人による全体の捉え方を伝えていくのです。


 

 









■監督・脚本・脚色・台詞:ジュリー・ロペス=クルヴァル
1972年生まれ。造形美術を学んだ後、フランスの名門演劇学校Cours Florentに入学。その後、複数の舞台演劇作品の脚本、演出を務める。アルテ(仏独語のヨーロッパ文化テレビ放送局)で放映されたヴァレリー・ミネット監督の中編『Adolescents』の脚本を担当。
01年、初監督短編作品『Mademoiselle Butterfly』がカンヌ国際映画祭にノミネートされる。同年、エリック・ヴァニアール監督の中編『Une affaire quiroule/仮題:快調なビジネス』の脚本を担当。
02年、初めての長編監督作品『海のほとり/原題:Bord de mer』が、カンヌ国際映画祭のカメラドールを受賞。03年、共同脚本をしたフランソワ・ファヴラ監督の『彼女の人生の役割/原題:Le role de sa vie』で、第28回モントリオール世界映画祭最優秀脚本賞を受賞。監督・脚本を務めた2本目の長編作品、『正しい恋愛小説の作り方/原題:Toi et moi』(06)は、数々の映画祭に出品された


■スタッフ
監督:ジュリー・ロペス=クルヴァル
脚本:ジュリー・ロペス=クルヴァル、ソフィー・イエ
脚色・台詞:ジュリー・ロペス=クルヴァル
撮影:フィリップ・ギルベール
演出:エリック・グランジャン
衣装:ドロテ・ギロー
美術:フィリップ・ヴァン・エルウィネン
オリジナル映画音楽作曲:パトリック・ワトソン
音楽:オリヴィエ・シロワ
プロデューサー:アラン・ベンギーギ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.alcine-terran.com/diary/

(C) 2009 Sombrero Films - France 3 Cinema - Filmo

原題:Meres et Filles
2009年/フランス・カナダ/フランス語・英語/104分/35mm/アメリカンビスタ/
配給:アルシネテラン