home
home

 

アメイジング・グレイス
Amazing Grace

2011年3月5日(土) 銀座テアトルシネマほか全国ロードショー


■ストーリー
 18世紀のイギリス―。ウィリアム・ウィルバーフォースは交易で富を築き上げた裕福な家に産まれた。彼は、父と叔父が残した財産を多くの慈善プロジェクトに使うほどの優しい心の持ち主として成長していく。そんな中、イギリスの主たる収入源となっていた奴隷貿易に心を痛めていくようになるが、聖職者として世のために祈るか、政治家として世を変えるか、2つある選択肢の狭間で彼の気持ちは揺れていた。そんな彼の後押しをしたのは、師であり、かの名曲「アメイジング・グレイス」を作詞したジョン・ニュートンだった。
  21歳で議員に選出されたウィルバーフォースは、ウィリアム・ピットと共に、政治家として奴隷貿易廃止を訴えるという辛く苦しい茨の道を歩む決心をする。

 ピットの手引きにより、少数の仲間たちが集められた。どんなに危険な場所へも乗り込み情報を掴んで来るトマス・クラークソン。奴隷経験者として証言をする貴族出身のオラウダ・エクィアノ。そして、下院議員のヘンリー・ソーントン。彼らを中心に総勢12名の少数派のメンバーで彼らは国家に挑むこととなる。これまでも、詩人、哲学者、聖職者などさまざまな人がこの制度に反対してきたが、国益にとって不可欠なものとみなされたこの商売に対する反対の声が聞き届けられたことは一度もなかった。そのような状況下、1787年5月、彼らはついに動き出す。

 


■キャスト
ヨアン・グリフィズ
ロモーラ・ガライ
ベネディクト・カンバーバッチ
アルバート・フィニー
マイケル・ガンボン
ルーファス・シーウェル
ユッスー・ンドゥール
キアラン・ハインズ
トビー・ジョーンズ
 




       

 

 ウィルバーフォースたちは、1年たらずのうちにロンドンの珈琲店や地方のパブ、さらにディナーパーティの会場など、国中を回って演説し、世論を動かした。かつて議会への請願書にこれほどの署名が集まったことはなかった。またたく間に、賛同する世論は39万人にのぼった。そして1791年、国会に奴隷貿易廃止案を提出するが、奴隷制度賛成派の妨害により、その申し立てはあっさりと否決された。
  見かねたヘンリーが療養のためにウィルバーフォースを自宅へ招き、妻のマリアンヌと彼の看病をすることになる。そして、彼らにはもう一つの狙いがあった。生涯の全てを運動に捧げるウィルバーフォースへの縁談だった。そうしてバーバラ・スプーナーと出会うこととなる。恋愛に興味を持たない2人だったが、少し会話を交わしただけでお互いの人生観に深く共鳴し、瞬く間に情熱的な恋に落ちる。心が折れかけていた彼を立ち上がらせたのは、愛するバーバラだった。

 生涯の伴侶を得たウィルバーフォースはなおも闘い続けるが、やはり想像以上の苦戦を強いられることとなる。そんな彼を最後まで支え続けたのは、名曲「アメイジング・グレイス」。不屈の精神、妻の愛、仲間との友情、そして豊かな旋律が、観る者に大きな感動を与える奇跡を起こすのであった…。

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

監督:マイケル・アプテッド インタビュー
このウィリアム・ウィルバーフォースの映画を監督しないかと打診を受けたとき、マイケル・アプテッド監督は、「私は面白くもない伝記映画を作ることに興味はない。奴隷売買廃止についてウィルバーフォースとピットが英国議会に議案を提出したとき、2人ともまだ30代に満たない若者だった。私はこれを世代間の戦いとしても描きたかった。若者と旧世代との対決。それはちょうど60年代前半のアメリカに訪れたケネディ政権の、華やかで魅力のあるキャメロット時代のような瞬間だった。
私はどれほど大胆で適切な政治が行われたのかを描き出す映画を作りたかった」と語る。さらに、アプテッド監督は、「世間にはあまり知られていないが興味深い物語で、人々の目を開きたい。そして、観客には楽しみながら、人間の条件について何かを学んでもらえればと思う。信条は世界中に存在するし、物事はいつでも変えられることができるのだと…。」と付け加える。
本作のオファーを受けた翌日、偶然にもアプテッドは脚本家として尊敬するスティーヴン・ナイトと会う機会があった。ナイトもまたウィルバーフォースの人生を取り囲む時代の歴史に強く惹かれていた。2人はすぐに一緒に仕事をすることにし、ナイトはすぐさま脚本に取り掛かった。ナイトはライフワークとしてウィルバーフォースに関するリサーチをするようになる。「彼はゴールを追求する一途な男だった。そして敗北から成功を掴み取ったんだ。当時のほとんどの人々にとって、奴隷制度廃止など馬鹿げた考えに過ぎなかった。現代人ならば、今すぐに内燃エネルギーを放棄しろと提唱しているようなものだったんだ!」とナイトは熱く語る。
監督と脚本家、映画を作る上で最も重要と言っても過言ではない2人を虜にしたウィリアム・ウィルバーフォースの魅力こそが、生誕後約250年の時を経て、彼の生涯をスクリーンに甦らせた原動力となったのだ。


 

 









■監督:マイケル・アプテッド
1941年生まれ、イギリス・バッキンガムシャー出身。ケンブリッジ大学で歴史と法律を学び、グラナダ・テレビジョンのリサーチャーとして働き始め、60本以上のTV作品を手がけた。
ドキュメンタリー監督として、14人の子供を7歳の頃から7年ごとにフィルムに収めたUPシリーズが有名で、『seven up!』から『49UP』まで実に子供たちが49歳になった所まで追いかけている。
1972年に『The Triple Echo』で映画監督デビュー。ロックドラマ『Stardust』(74)、『The Squeeze』(77)、『アガサ/愛の失踪事件』(79)などを監督。アメリカ映画『歌え!ロレッタ愛のために』(80)、『ゴーリキー・パーク』(84)を監督。
85年、スティングが結成したバンド“ブルー・タートル”のアルバムとツアーの製作過程を記録した『スティング/ブルー・タートルの夢』でグラミー賞を受賞。
ほかの監督作品に、『愛は霧のかなたに』(88)、法廷ドラマ『訴訟』(91)、『ネル』(94)、『ボディ・バンク』(96)などがある。
『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99)を監督、その名を不動のものとする。その後、『エニグマ』(01)、『イナフ』(02)、『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』(11)。現在、全米監督組合の会長を務めている。

■スタッフ
監督:マイケル・アプテッド
製作:テレンス・マリック、エドワード・R・プレスマン、フォー・ボーイズ・フィルムズ、ケン・ウェールズ
製作総指揮:ジーニー・キム
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:レミ・アデファラシン
衣装:ジェニー・ビーヴァン
ヘアメイク:ジェニー・シャーコア
音楽:デヴィッド・アーノルド

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.amazing-movie.jp/

(C)2006 BRISTOL BAY PRODUCTIONS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

原題:Amazing Grace
2006年/イギリス/118分/ビスタサイズ
字幕翻訳:小寺陽子
配給:プレシディオ
後援:ブリティッシュ・カウンシル

     


「アメイジング・グレイス」

アメイジング・グレイス! 何と美しい響きだろう
私のような者まで救ってくださる
かつては迷える私が、今は神に見出され
盲目であった私にも、今は見える

神の恵みが私の恐れる心を諭し
その恵みが私の恐れを解き放つ
信じる事を始めた時の
神の恵みのなんと尊いことか

多くの危険、労苦、誘惑を
私はすでにかいくぐってきた
神の恵みが私をここまで無事に導き
私を天の家に連れて行ってくださる

主は私に良きことを約束された
主の御言葉は私の希望を支え
主は私の盾となり、私の一部となった
命の続く限り

そうだ この心と肉体が朽ち果て
そして限りある命が終わるとき
私はベールに包まれながら手にするだろう
喜びと安らぎの生を

やがて大地が雪のように解け
太陽が輝くのをやめても
私をこの世に召された神は
永遠に私とともにあるだろう