ブラック・スワン
Black Swan

2011年5月11日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開


■ストーリー
　ニューヨーク・シティ・バレエ団の新シーズンの演目が『白鳥の湖』に決定した。斬新な演出に意欲を燃やす芸術監督ルロイは、長年バレエ団の象徴的存在だったプリマのベスの引退を決めた。若く才能あるダンサーたちの中から数名を選抜し、キャスティングオーディションを実施するためだ。
　 「新しい作品には、新しい女王が必要だ。若きスターを世界に羽ばたかせる！」・・・ルロイの宣言を聞き、プリマ候補の一人であるニナは気持ちの高ぶりを隠せない。ニューヨーク、アッパー・ウエストサイドのアパートで暮らすニナは、元ダンサーの母親エリカの熱烈なサポートを受け、バレエに心血を注いできた。白鳥の女王を演じることは彼女の悲願だった。

　ルロイの前で精一杯の踊りを披露しようとするニナだったが、可憐で繊細な白鳥だけでなく、自由奔放で邪悪な黒鳥にもなりきらなければならないこの役は、極めて難易度の高い表現力を求められる。新人ダンサーのリリーの言葉に気をとられて動揺したニナは意気消沈して帰宅し、母親に慰められる。
　 翌日、ルロイのオフィスを訪ねたニナに「君は理想の白鳥だが、黒鳥を踊るのは大変なことだ。君には激しい感情を表現できない」と、ルロイは厳しい言葉を浴びせる。しかし、意外にも白鳥の女王役に抜擢されたのはニナだった。

　「君の課題は“悪の分身”である黒鳥への変身だ」。そうニナに告げたロイが、黒鳥役のお手本として指し示したのはリリーだった。エキゾチックな色気を発散し、大胆で予測不可能なリリーの踊りは、まさに黒鳥の魔性を宿したかのようだった。ニナは自分にない官能的な魅力を備えたリリーに複雑な思いを抱き、ライバルとして意識し始める。

　かくしてルロイが課すハードな練習に明け暮れることになったニナは、次々と降りかかる不可解な出来事に心をかき乱されていく・・・

※　　　※　　　※

 

■プロダクション・ノートより

当初、脚本家アンドレ・ハインズ によって書かれた『ブラック・スワン』の基になった物語は、ブロードウェイを舞台に女優と得体の知れない代役の危険なライバル意識を描いたダークなドラマだった。アロノフスキーは興味を引かれたが、子どものころに姉がバレエ・ダンサーとして厳しいトレーニングを受けていたのを間近に見た経験から、舞台をニューヨークのバレエ団に変更したいと考えた。
ハインズ によるオリジナルのアイデアに、世界的に最も人気のあるバレエ「白鳥の湖」にまつわるストーリーを組み合わせることを思いついたのはアロノフスキーだった。最終稿では白鳥、悪魔、呪い、分身、といった「白鳥の湖」の重要な要素は主人公ニナの心理と絡みつき、性心理を映す万華鏡の断片となって、彼女を無垢な若い女性から危険で変身した生き物に変えていく。

「ダーレンとは何年間もバレエ・スリラーをやりたいと話していたんです」。脚本家のマーク・ヘイマンは語る。「私は脚本の初期のドラフトを検討し『白鳥の湖』のプロットをその中心に組み入れました。そうすることですべてが変化したうえ、二重性や分身、誰かに、あるいは何かに自分の生活を乗っ取られる恐怖を描く現代ニューヨークのストーリーを生む出発点となったのです」

■監督：ダーレン・アロノフスキー
1969年、ニューヨーク市ブルックリン生まれ。ハーバード大学で実写映画とアニメーションを学ぶ。1997年、数学に取り憑かれた男の破壊的な運命を描いた不条理スリラー『π』（97）で長編デビュー。1998年のサンダンス映画祭で最優秀監督賞を受賞。
主な監督作品に、「レクイエム・フォー・ドリーム」（2000）、「ファウンテン 永遠につづく愛」（06）、「レスラー」（08）、「ブラック・スワン」（10）、「The Wolverine」（12）などがある。ほかに「ビロウ 」（02）脚本・製作総指揮、「ザ・ファイター」（10）製作総指揮 などがある。


■スタッフ
監督：ダーレン・アロノフスキー
脚本：マーク・ヘイマン 、アンドレ・ハインズ、ジョン・マクローリン
製作：マイク・メダヴォイ、アーノルド・Ｗ・メッサー、ブライアン・オリヴァー、スコット・フランクリン
原案：アンドレ・ハインズ
撮影：マシュー・リバティーク
プロダクションデザイン：テレーズ・デプレ
衣装：エイミー・ウェストコット
振付：ベンジャミン・ミルピエ
音楽：クリント・マンセル
音楽監修：ジム・ブラック、ゲイブ・ヘルファー
バレエ・コスチュ−ムデザイン：ロダルテ