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ミラル
MIRAL

2011年8月6日(土)、渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開


■ストーリー
 1948年、イスラエル建国宣言の1カ月前のエルサレム。ヒンドゥ・ホセイニは、路上でディル・ヤシーンから逃げてきたという55人の子供たちに出会う。ユダヤ民兵組織によって両親も兄弟も殺された彼らを、ヒンドゥは自宅に連れて帰り、空き家となっていた祖父の家で保護することにする。ダール・エッティフル(子どもの家)と名づけられた学校の始まりである。
 
  8ヶ月後、生徒は200人までに増えていた。幼稚園から高校までの孤児たちが学びながら生活するダール・エッティフルに、ヒンドゥは私財のすべてを注ぎ込む。ヒンドゥの高い志は、知事や要人の心をも動かし、支援を得ていく。

 

 


■キャスト
フリーダ・ピント
ヒアム・アッバス
ヤスミーン・アル=マスリー
ルバ・ビラール
アレクサンダー・シディク
ウィレム・デフォー
 




       

 

 1987年、7歳の時に母親を亡くしたミラルはダール・エッティフェルの門をくぐって10年がすぎていた。17歳に成長したミラルは、インティファーダによって学校を失った子供たちに、勉強を教えるために難民キャンプを訪れる。そこで、イスラエル軍がパレスチナ人たちの家屋を破壊する現実を目の当たりにする。ミラルは、学校に守られて生きてきたことを始めて知る。

 この現実に憤ったミラルたちは、学校を危険にさらすようなことは許さないというヒンドゥの静止を無視し、インティファーダへ参加する。だが、その最中、友人のハディールが流れ弾に当たってしまう・・・


※   ※   ※

 

       
 






       


■プロダクション・ノートより

■ジュリアン・シュナーベル監督メッセージ
この映画は、ルーラ・ジブリールの「ミラル」という本を原作にしている。この本を読んだ時、映画になったこの小説が目に浮かび、自分でこの物語を語らずにはいられないという気持ちになった。
これは、教育についての物語であり、愛について、人間について、希望についての物語でもある。1948年にイスラエルが誕生してから1994年のオスロ合意という希望が見えるまでの、この地域の複雑な政治的現実を背景に、イスラエルで生きる4人のアラブ人女性の個人的な物語を描いているのだ。

・・・私はこれまでの人生を通して、ずっとイスラエルの物語を見つめてきた。子どもの頃には両親と一緒に、ニューヨークのリヴォリ劇場で『栄光への脱出』を見た。「ハティクバ」(イスラエル国家)を歌うシーンでは、誰もが立ち上がり胸に手を当てて歌っていた。母も父もすごく誇らしげだった。両親はハダサやブナイ・ブリス(ともにユダヤ人互助組織)に関わっていたからだ。20年前に、私の展覧会がエルサレムのイスラエル博物館で開かれたときには、二人とも見に来るつもりが、インティファーダが始まって叶わなかったということもあった。

ルーラの本を読むまでは、パレスチナの人々についてあまり知らなかった。私は政治のエキスパートじゃないし、そうなろうとも思わない。映画では1948年から1994年にかけて起きた歴史的な瞬間を生き、またその瞬間を作り出してきた人たちを描いている。これは、彼らの物語なのだ



■ルーラ・ジブリール(原作者)からのメッセージ
私の原作とこの映画、どちらで描かれた物語も、その一つ一つが真実です。名前をかえたり、いくつかの出来事をつなぎ合わせたり、複数の人の性格やキャラクターを混ぜて一つにしたりといったことはしましたが、すべてが本当のことなのです。そこでは日々、自分が何者なのか、何をしなければならないのかを、はっきりさせねばなりません。そのように強いられるのです。

エルサレムを出てヨーロッパに来てみて、私は自分の記憶やアイデンティティといったものが、それまでずっと収奪されていたのだと感じました。そして、自分の物語を語らなければ、自分の過去と未来をつないでいかなければ、と実感したのです。それが私にとって重要だからというだけでなく、同じような経験を乗り越えてきた少女、今なおその最中にいる少女たちが大勢いるからです。ミラルは部分的には私自身ですが、同時にすべてのそうした少女たちでもあるのです。この本は、私の子供たちのため、娘のミラル、そしてエルサレムに暮らすすべてのミラルのために書きました。

この本を映画化するにあたって、ジュリアンが最も大切にしていたのは、物語や登場人物の真実の姿を保つということでした。私は彼から質問攻めにされました。誰が、どこで、何を、どうして、と。そのようにして、彼は作品のテーマを徹底的に捉えようとしたのです。ロケハンとキャスティングが始まると、ジュリアンはあらゆる場所に行きたがりました。何もかもを自分の目で見て、様々な立場の人と話をしようとしていました。私たちは、ラマツラーもヤーファも、難民キャンプも訪ねました。ジュリアンは、パレスチナ人を引き裂いている内なる対立を理解したかったのです。1カットごとに、「これは真実だね?」と私に確認しようとしました。

ミラルがそうだったように、私にも運動に加わらねばと思ったターニング・ポイントがありました。でも、今の私は、教育の意義を信じていたヒンドゥ・ホセイニから教わった愛と価値観が、私の命を救ってくれたのだと言うことができます。後年、ジャーナリストとしてイラクやアフガニスタン、パキスタンの紛争を目の当たりにして、教育こそが最良の武器だとよくわかったのです。それが、この作品が、そしてミラルの人生が伝えていることです。教育が、いかにして狂信を和らげぬぐい去ることを可能にするかを描いているのです。

今日でも、問題解決の手段は軍事力なのだと見なされることがよくあります。しかし、本来の生活を送ろうと願う市井の人々にとって、真の希望となるものは、外交による平和以外にはありません。

(プレス資料より)

 

 








■監督:ジュリアン・シュナーベル
1951年ニューヨーク市、ブルックリン生まれ。1972年にニューヨークのメアリー・ブーン・ギャラリーで初個展を開催。ニューペインティングのキーパースンとなった。絵画や彫刻作品は、MOMAをはじめ、数多くの美術館とギャラリーに出品されている。
1996年にジャン=ミシェル・バスキアを描いた『バスキア』で初脚本、初監督。2000年に『夜になる前に』を発表。
2007年『潜水服は蝶の夢を見る』でカンヌ国際映画祭、ゴールデングローブ賞、最優秀監督賞を受賞。2008年、ドキュメンタリー作品『ルー・リード/ベルリン』を監督。


■スタッフ
監督:ジュリアン・シュナーベル
プロデューサー:ジョン・キリク
脚本:ルーラ・ジブリール
原作:ルーラ・ジブリール著「MIRAL」
エグゼクティヴ・プロデューサー:フランソワ=ザヴィエ・デクラーヌ
共同プロデューサー:エラン・リクリス
撮影監督:エリック・ゴーティエ
編集:ジュリエット・ウェルフリング
プロダクション・デザイン:ヨエル・ハーツバーグ
衣裳:ワリードゥ・マウェドゥ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.miral.jp/

(C)PATHÉ - ER PRODUCTIONS - EAGLE PICTURES - INDIA TAKE ONE PRODUCTIONS with the participation of CANAL + and CINECINEMA A Jon KILIK Production

原題:MIRAL
2010年/仏・イスラエル・伊・インド/英語/112分/35mm/シネマスコープ
字幕翻訳:渡邉貴子
配給=ユーロスペース+ブロードメディア・スタジオ