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ミケランジェロの暗号
Mein Bester Feind / My Best Enemy

2011年9月10日より、TOHOシネマズ シャンテ他にてロードショ


■ストーリー
 1938年オーストリア・ウィーン。ユダヤ人一族カウフマン家の画廊に、ふらりと使用人の息子ルディ・スメカルが戻ってくる。亡き母親は25年もカウフマン家に仕え、一家はルディをわが子のように可愛がっており、息子のヴィクトル・カウフマンにとっては兄弟も同然であった。
 
  その夜、画廊では画家モーリッツ・ハイデンの展示記念パーティが行われ、たくさんのマスコミ関係者が集まっていた。挨拶をするヴィクトルに、イタリア人女性記者が詰め寄ってくる。 「幻の名画ミケランジェロはどこにあるのか」
400年前バチカンから盗まれたというその絵を、カウフマン家が所有していると、世間では噂になっていた。「絵はイタリアに返還されるべき。ムッソリーニ閣下も同意見だ」という記者に対し、「とある米国人のコレクターに、鑑定を依頼された。鑑定後は持ち主に返した」と父ヤーコプは説明する。

 パーティの後、ヴィクトルはルディを誘いバーへと向かう。ヴィクトルは、ルディからミケランジェロの絵について問われ、本当のことを話してしまう。絵は150年前、ユダヤ人の質屋が手に入れ、一族に渡ってきたもので、伯父から父に受け継がれたと教えてしまう。

 

 


■キャスト
モーリッツ・ブライプトロイ
ゲオルク・フリードリヒ
ウルズラ・シュトラウス
マルト・ケラー
ウド・ザメル
ウーヴェ・ボーム
メラーブ・ニニッゼ
ライナー・ボック
カール・フィッシャー
クリストフ・ルーザー
セルゲ・ファルク
 




       

 

 オーストリア国境に、ナチス・ドイツが進軍してくる。ナチスは、ユダヤ人から財産を略奪することを知ったカウフマン家は、絵画を守るため、チューリヒへ輸送する手続きを進めていた。ある日の早朝、ミケランジェロの絵を奪うため、ナチスの軍人たちが家にやってくる。彼らは絵の隠し場所も知っていた。ヴィクトルは銃で脅され、絵が隠された扉を開けるが、絵は消えていた。ナチス軍人たちは「次に来るまでに絵がなければ、銃殺に処す」そう言い残し、去っていった。

 1943年ベルリン。戦況が少しずつ不利になっていたナチス・ドイツは、イタリアとの同盟を強固にするため、ムッソリーニが欲していたミケランジェロの絵を贈ることにする・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより

ヴォルフガング・ムルンベルガー監督 インタビュー

Q:この作品は、緊張感がありながらも、常にどこかにユーモアがありますね。

脚本には沢山の皮肉が込められていた。そしてこの皮肉は、リアルで真面目な背景で語られると、より効果的だと思ったんだ。登場人物たち―特にヴィクトル・カウフマン―を形作る皮肉を、最大限に見せるためには臨場感が必要だった。

Q:人々が想像する、「迫害を受けるユダヤ人」的な立ち振る舞いを、ヴィクトル・カウフマンはしませんね。

この時代を舞台にした映画は、いつもユダヤ人は犠牲者として描かれていた。それにうんざりしていると語ったユダヤ人もいたんだ。でも成立させるのは簡単じゃなかった。そこにクエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』が出てきた。違う描かれ方も可能なのだと、観客が次第に理解していくのが感じられた。『ミケランジェロの暗号』では、強制収容所に収容されているユダヤ人は犠牲者ではなくて、ヒーローだ。そしてヴィクトルはアドルフ・ヒトラーの時代を巧みに生き延びる。

Q:この時代を、これまでと違うアプローチで描くことに不安はありませんでしたか?

映画のどこを非難されるかわからない。常に自分に問いかけ、スタッフとも話合ったよ。ナチスを人間味をもって描きすぎていないか、とかね。でも映画に出てくるナチスが、すべて同じように描かれなければいけないのだろうか? その時々で個人の人間性は存在したはずなんだ。でもナチスの恐怖の前ではなかったことにされてしまう。こういう考えを受け入れる時期が来ているのか分からないけど。


 

 









■監督:ウォルフガング・ムルンベルガー
1960年、オーストリア・ヴィナーノイシュタット生まれ。ウィーン・フィルムアカデミーで監督、脚本、編集を学び、91年からフリーランスの作家兼監督として活動。卒業制作の『天国か地獄か』(未・映画祭上映のみ)が注目を集める。
01年監督の『COME SWEET DEATH』(未)は、興行的に大成功を収めた。
その他の監督作は、04年度『シレンティウム』(未・映画祭上映のみ)。サイモン・ブレナー三部作の三作目『THE BONE MAN』(08年・未)などがある。

■スタッフ
監督:ウォルフガング・ムルンベルガー
脚本:ポール・ヘンゲ
視覚デザイン:ペーター・フォン・ハラー
美術:イジドール・ヴィンマー
衣装:マルティナ・リスト
編集:エフィ・ローメン
音楽:マシアス・ウェバー
製作:ヨゼフ・アイヒホルツァー

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://code-m.jp/

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原題:Mein Bester Feind (英題:My Best Enemy)
2010年/オーストリア/106分/シネマスコープ
日本語字幕:岸田恵子
配給:クロックワークス