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屋根裏部屋のマリアたち
Les femmes du 6eme etage

2012年夏、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!


■ストーリー
 1962年、パリ。ジャン=ルイ・ジュベールは、祖父の代から続く証券会社の経営者。彼の妻シュザンヌは、悠々自適の主婦生活を送っている。ある日、シュザンヌは、今は亡き姑の部屋を改装しようとして、先代から仕えるフランス人メイドのジェルメーヌと口論になり、ジェルメーヌをやめさせてしまった。
  台所には使用済みの皿がうず高く積み重ねられ、洗濯機には汚れもののワイシャツが無造作に叩き込まれたまま。ジャン=ルイは朝、事務所に着て行く新しいシャツにさえ事欠く事態となった。頼りにしていたメイド紹介所からは何の音沙汰もないまま、シュザンヌは、友人から「メイドなら、フランス人よりスペイン人。勤勉で、文句も言わない」と太鼓判を押され、スペイン教会に出向く。そこで出逢ったのが、故郷スペインから伯母のコンセプシオンを頼って、パリに到着したばかりのマリアだった。

 



■キャスト
ジャン=ルイ/ファブリス・ルキーニ
シュザンヌ/サンドリーヌ・キベルラン
マリア/ナタリア・ヴェルベケ
カルメン/ロラ・ドゥエニャス
 






       

 

 当時のパリは、20年以上に及ぶフランコ政権下の軍事独裁に疲弊しきったスペイン人移民の大量流入が社会問題となっていた。そんな根深い人種差別の中、マリアとコンセプシオンはジュベール家の暮らすアパルトマンの6階の屋根裏部屋で暮らしていた。ふたりのほかにも、屋根裏部屋には個性豊かなスペイン人メイドが勢ぞろい。信仰心に厚いドロレス、“共産主義者”のカルメン、フランス人男性との玉の輿結婚を夢見るテレサ。狭く、汚く、決して恵まれた環境とは言えない屋根裏部屋だが、彼女たちはつねに陽気でパワフル、何より結束力には揺るぎがなかった。
 
  ある日、シュザンヌから使わなくなった母の家具を、マリアとともに6階の物置部屋に運ぶよう命じられたジャン=ルイは、この階に住むスペイン人メイドたちの生活を目の当たりにする。詰まって使えないトイレに、思わず鼻を背けるジャン=ルイは、早速、配管工を呼び、修理に着手、メイドたちから拍手喝采を浴びるのだった。こうして、ジャン=ルイとスペイン人メイドたちとの思いがけない交流が始まった・・・

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■プロダクション・ノートより

フィリップ・ル・ゲイ監督 インタビュー

―あなたの作品は恋愛の物語だけではなく、まず第一に他の世界に向かう道のりを描いています。
何があっても避けなくてはいけない罠は家政婦に恋をする主人の物語になってしまうことでした。これが一人だけではなく複数の女性が登場することに固執した理由です。ジャン=ルイ・ジュベールはある共同体を発見し、別の文化が彼の人生に乱入するのです。彼は混乱し、動揺し、そして最後には魅了されるのです…
この作品は近くにあるのに知らなかった世界を見つけることを提案しています。奇妙な事がすぐそばにあるという考えが好きです。自分自身の世界から出て別の世界を発見し、触れるためには些細な事で十分なのです。この作品の中でジャン=ルイは全てを要約する台詞を言います。『この女性たちは私たちの頭の上に住んでいるが、私たちは彼女の事を何も知らない』と。

―あなたの作品には寓話のような趣きがあります…
この作品はユートピアを基盤にしています。社会階級とは行き来することが可能で、ブルジョワは屋根裏の“女中”たちの部屋に住む事ができると。しかしこのユートピアは2つの側、これをスキャンダルと考えるブルジョワ側と、そして召使い側からも拒否されます。カルメンは階級闘争を信じており、ジュベール氏に自分の場所にいるようにと要求します。コンセプシオンもマリアとジャン=ルイの関係を妨げようとします。例え言葉にしなくても、コンセプシオンはこの恋愛のユートピアを激しく拒絶するのです。彼女は寓話に反する時代遅れの現実を体現しているのです。

ファブリス・ルキーニ インタビュー
ジャン=ルイ・ジュベール役

―あなたの役はどのように説明できますか?
最初は存在感のない、自分の仕事に没頭した人だと見受けました。日常生活にマリアが入り込んでから、本当の意味で存在し始めるのです―これは彼にとっての始動装置でした。彼は彼女にではなく、自分の知らなかった世界に恋をするのです。スペイン女性の女中たちがこの物語の主人公です。彼の妻はセックスだけの単純な話だと思い込もうとしますが、そうではないのです。ジャン=ルイ・ジュベールは屋根裏の生活、そのエネルギーに魅了され、妻に追い出された後にそこに住み始めます。スペイン女性たちの中で、型にははまらない愛の物語が生まれるのです。私は脚本を読むのが下手で、撮影する時にしかその豊かさを測ることができないのですが、この脚本は確かに豊かなものでした。

ナタリア・ベルベケ インタビュー
マリア役

―あなたの意見では、フランスで女中になる事は何を意味していますか?
家族や知り合いは、女中になるためにフランスにやってきた女性たちのことを知っていました。大変な仕事ですが、国に残っている家族の生活費を手に入れることができるチャンスでもあったのです。その事に関しては調査もしましたが、今ではこの時期に出稼ぎに来た人たちの数を想像するのはとても難しい事です。
撮影をした本物の女中部屋を初めて見た時は、とても強い感情に襲われました。自分たちの家から遠く離れて、何も持たず、ここに到着し途方にくれたこの女性たちの立場に立ってみたのです。彼女たちの悲嘆、孤独を理解し、その勇気に感嘆しました。


 

 









■監督:フィリップ・ル・ゲイ
1956年パリ生まれ。国立映画学校IDHECを卒業後、ニコル・ガルシア監督の処女作 “15 Aout”に脚本参加、1989年に長編第1作“Les Deux Fragonard”を発表。
1995年に長編第2作『ジュリエットの年』(未)を手がける。『ナイトシフト』(01/未)、"Le Cout de la vie"(03)、『一夜のうちに』(06/未)などを発表。『屋根裏部屋のマリアたち』は6本目の劇場長編作品となる。


■スタッフ
監督・脚本:フィリップ・ル・ゲイ
撮影:ジャン=クロード・ラリュー(A.F.C)
美術:ピエール=フランソワ・ランボッシュ
衣装:クリスチャン・ガスク
編集:モニカ・コールマン
音楽:ホルヘ・アリアガータ
エグゼクティブプロデューサー:フィリップ・ルースレ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.yaneura-maria.com/

(C)Vendome Production-France2Cinema-SND All rights reserved.

原題:Les femmes du 6eme etage
2010年/フランス映画/フランス語・スペイン語/106分/ビスタサイズ
日本語字幕:加藤 リツ子
配給:アルバトロス・フィルム