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ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物
HERB & DOROTHY 50X50

2013年3月30日(土)、新宿ピカデリー、東京写真美術館ほか、全国順次公開


■ストーリー
 NYの1LDKの部屋から始まった二人のささやかなプランが、やがて歴史に残る大事業に・・・

 「ドロシー&ハーバート・ボーゲル・コレクションの50作品を50州に(50X50)」と名づけたプロジェクトが発表された。
 50作品を一括りとして、全米50州の各美術館に、合計2500点を寄贈するというもの。この中には、ソル・ルウイット、リチャード・タトル、ロバート・マンゴールドなど、総勢177人のアーティストの作品が含まれている。

 数千点のアート作品で埋め尽くされたNYのLDKのアパートは、1980年代のアート界では、多くの関係者が一度は訪れる巡礼地として知れ渡った。その二人が世界的に有名になったのは、最後に1点も売らずにコレクションのすべてをナショナル・ギャラリーに寄贈したことがきっかけだった。1992年に寄贈のニュースが世界を駆け巡った時、これが二人の物語のハッピー・エンドだと信じていた。ところが16年後、二人が精力的にコレクションを続けた結果、作品数は5000点近くになっていた。これにはナショナル・ギャラリーもお手上げ。引き取れるのは約千点が限界と判断。そこで、ギャラリーは二人とともに作品の引き取り先を探し始める。これが50X50プロジェクトの始まりだった。

 

 


■キャスト
ハーバート&ドロシー・ボーゲル
リチャード・タトル
クリスト
ロバート・バリー
パット・ステア
マーク・コスタビ
チャールズ・クロフ
マーティン・ジョンソン
 




       

 

 カメラは、コレクションを受け取った10の美術館に向かう。ハワイ、ノースダコタ、モンタナなど、現代アートほとんど接点のない地方も登場する。現代アートの前で、自由に想像をめぐらせる子供たち、一方で「なぜこれがアートといえるの?」と言う大人。

 各地の反応を通して見えてくるのは、今。美術界が直面している問題であり、挑戦でもある。現代アートとは何か?私たちの住む社会にアートは必要なのか?アートを、文化を支援し、後世に残すためには何が必要なのかを映画は問いかける・・・。


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■プロダクション・ノートより

監督:佐々木芽生インタビュー


編集者と議論を重ねて、構成やテーマを考え続けました。編集しながら描いていたのは、縦糸を50X50という寄贈プロジェクトに、横糸に2人の人生のその後やアートを巡るテーマを編み込んでいき、最後きれいなタペストリーが完成する、というビジョンです。

タペストリーが編み上がるまでもうすぐという時、2012年の夏に、ハーブが89歳でこの世を去りました。1人残されたドロシーにつきそい、支えながら、自分もしっかりしなければ、と悲しむ余裕もないまま緊張する日々でした。その間、「映画はどうなる?」ということを考える余裕は殆どありません。ハーブの死は想定していたものの、映画のテーマは変わらないので、方向性を大きく変えることはない、ハーブの死は、ほんのさわりだけ伝えればいい、と自分に言い聞かせる毎日。ハーブの死が近づいても、すでに撮影済みの素材だけで映画を完成するつもりでした。後で思い返して、私は何て甘かったのだろう、監督失格だ、と深く反省し落ち込んだものです。

しかし、実際にハーブが亡くなってみると、予想外のことが起きました。ハーブのお葬式で、ドロシーは、コレクションの終了宣言をしたのです。「2人のコレクションは、ハーブと共に始まり、ハーブと共に幕を閉じた。だからアパートのコレクションは全て
ナショナル・ギャラリーに引取ってもらい、アーティストからの作品も今後一切受け取らない」と。さらに、ハーブが亡くなって初めて明かされる事実がいくつかでてきました。そこで、10月に予定されていた映画祭での上映を諦め、急遽予算と時間をかけて方向転換し、作り直そうと決めました。ハーブの死をしっかりとらえ、そこへ向けて内容も変更。追加撮影をして、4ヶ月近くかけて完成したのが『ふたりからの贈りもの』です。


 

 









■監督:佐々木芽生
青山学院大学仏文科卒。1987年渡米。以来NY在住。1990年初め、フリーのジャーナリストとして活動。1992年NHKニューヨーク総局勤務。NY担当レポーター、ニュース・ディレクターなどを勤める。1996年独立し、NHKスペシャル「世紀を越えて」「地球市場」「同時3点ドキュメント」などのテレビ・ドキュメンタリーの取材・制作に携わる。2002年、映像制作会社・(株)ファイン・ライン・メディア・ジャパンをNYにて設立。
2008年、初の監督・プロデュース作品『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』を発表。
現在は、続編にあたる本作『ハーブ&ドロシーふたりからの贈りもの』を完成させた他、捕鯨問題をテーマとした長編ドキュメンタリー映画『THE WHALE MOVIE』製作に向けて取材を進めている。




■スタッフ
監督:佐々木芽生
撮影:エリック・シライ
編集:バーナディン・コリッシュ
音楽:デビッド・マズリン
製作:佐々木芽生

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://herbanddorothy.com/jp/

原題:HERB & DOROTHY 50X50
2013年/アメリカ/英語/87分
日本語字幕:
配給:ファイン・ライン・メディア・ジャパン