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カルテット!人生のオペラハウス
Quartet

2013年4月19日(金)より、 TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー


■ストーリー
 秋の色に染まる美しい英国の田園地方、引退した音楽家たちが暮らす『ビーチャム・ハウス』では、オペラ《椿姫》の「乾杯の歌」のコーラス練習が行われている。ヴェルディ生誕200周年を祝うコンサートの準備に追われているのだ。その中には、テノールのレジー、メゾソプラノのシシー、バリトンのウィルフの姿もあった。
  かつてカルテット仲間だった3人はここで穏やかな余生を送っている。物静かなレジーは近隣の学生たちに音楽を教えることを生き甲斐にし、ウィルフは孫ほど歳の違う女性スタッフたちを口説くことが日課だ。CDプレイヤーを手放さないシシーは、最近、物忘れが目立つ。どうやら認知症が始まっているらしい。

  ある日のこと、出迎え用の車が出ているのを見て、ビーチャム・ハウスの住人たちは騒然となった。車から降り立ったのは、ジーン。オペラの名プリマドンナとして活躍したソプラノ歌手で、カルテット仲間の最後の1人でもあった。ジーンは住人たちから歓迎の喝采を浴びる。だが、レジーら3人の心境は複雑だった。野心家でエゴイストだったジーンは、仲間を傷つけて去ったまま、長く友情が途絶えていた。しかも、レジーとジーンはかつて“9時間だけ”夫婦だったのだ!

 


■キャスト
マギー・スミス、トム・コートネイ、ビリー・コノリー
ポーリーン・コリンズ、マイケル・ガンボン、ギネス・ジョーンズ
シェリダン・スミス、アンドリュー・サックス
 



       

 

 優雅に見えるビーチャム・ハウスだが内情は火の車。コンサートの準備を仕切っていたセドリックは、スター・ソリストのフランクが出演を辞退し、チケットの売上げが激減したため、不機嫌だった。コンサートが成功し、資金を調達できない限り、ホームの存続は危うい。
  皆との交流を避けて部屋に閉じこもっていたジーンだったが、無邪気なシシーがジーンを外へ連れ出す。思いがけない形で実現した4人の再会。ジーンはレジーを傷つけた過去を詫びるが、レジーの心は頑なだ。立ち去るレジーを必死で追いかけ、許しを請うジーン。「人はなぜ歳をとるの?」と涙ぐむジーンにレジーは思わずハンカチを手渡した。懐かしいコロンが香り立つ。それは2人の距離が縮まった瞬間だった。

 コンサートのハイライトを何にするかで悩んでいたセドリックは名案を思いつく。ジーンが入居して英国オペラ界を代表する4大スターが揃ったのだ。オペラの金字塔とも言うべき「リゴレット」のカルテットを4人が歌えば観客が呼べる。シシーは大喜びする。彼女がいつも聴いていたCDは4人でレコーディングした思い出の「リゴレット」だった・・・

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■プロダクション・ノートより


俳優として50年以上にも及ぶキャリアを持つダスティン・ホフマンは、舞台演出の経験はあったものの、長編映画を監督する機会がなかった。そのきっかけを提供したのが『新しい人生のはじめかた』(08)でホフマンと親交を深めた撮影監督のジョン・デ・ボーマンだ。
「俳優として多くの代表作に出演したのだから、監督業も始めるべきだと、撮影中、いつも言っていたんだ」。ホフマンも「もし君が脚本を見つけたら、ぜひ演出してみたいよ。ロンドンは大好きだし、家もあるし、英国で撮りたいからね」と答えていた。デ・ボーマンはプロデューサーのフィノラ・ドワイヤーにその旨を伝える。彼女の手元にあったのがこの映画の脚本だ。「本当の意味でこの脚本を生かし、新鮮味を与えられる人を探していました。当時、ダスティンは72歳で登場人物たちのように人生の最終幕にいましたし、ダスティンなら年を重ねたスターの話に共鳴できると思ったのです」。

ドワイヤーは気づいていなかったが、ホフマンとこの作品が共鳴する点がもう一つあった。それは音楽だ。5歳からピアノのレッスンを受けた彼は、演技の勉強を始める以前ジャズ・ピアニストになるのが夢だった。
  ホフマンは飛行機の中で脚本を読んだ。「読み終えたら妻が僕を見ていた。目に浮かんだ涙を見て『どうして泣いているの?』と聞かれてね。『これはやらないといけないな!』と言ったんだ。僕は普段、泣いたりしない。非常に批評的だからね(苦笑)」。
  ホフマンは脚本に「真実を描くときは、面白くなければならない」というビリー・ワイルダーの言葉を書きとめ、撮影中、毎日それに目を向けた。この映画の芯はユーモアにあると考えたからだ。デ・ボーマンは語る。「ダスティンはユーモアの感性と強い生命力を持った人です。この映画は彼そのもの。今のダスティンだからこそ、選び、作ることのできた作品なのです」。


 

 









■監督:
1937年生まれ。これまでに『クレイマー、クレイマー』(79)と『レインマン』(88)で2度のアカデミー賞R受賞と7度のノミネートを経験。
本作が監督デビュー作となる。舞台で俳優としてのキャリアをスタートさせ、オフ・ブロードウェイの舞台に出演。1969年「Jimmy Shine」でブロードウェイ・デビューを果たす。1974年には舞台演出も手掛ける。
1984年には製作も兼ねた「セールスマンの死」のブロードウェイ再上演でドラマデスク賞・最優秀主演男優賞を受賞。その後も長期上演されたロンドンでの舞台「ベニスの商人」のシャイロック役を再演し、トニー賞にノミネートされた。舞台での活躍が、マイク・ニコルズ監督の目に止まり『卒業』(67)に主演。世界中から注目を浴びた。
以後『真夜中のカウボーイ』(69)、『わらの犬』(71)、『レニー・ブルース』(74)、『大統領の陰謀』(76)、『トッツィー』(82)、『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(97)、『ネバーランド』(04)、『ミート・ザ・ペアレンツ2』(04)、『パフューム ある人殺しの物語』(06)などの映画に出演している。
1997年ゴールデン・グローブ賞からセシル・B・デミル賞が授与され、2009年には名誉セザール賞を受賞した。


■スタッフ
監督:ダスティン・ホフマン
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影:ジョン・デ・ボーマン
美術:アンドリュー・マッカルパイン
衣装:オディール・ディックス=ミレー
編集:バーニー・ピリング
音楽:ダリオ・マリアネッリ
メイクアップ&ヘアデザイナー:ダニエル・フィリップス
製作:フィノラ・ドワイヤー、スチュワート・マッキノン

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://quartet.gaga.ne.jp/


(C) Headline Pictures (Quartet) Limited and the British Broadcasting Corporation 2012

原題:Quartet
2012年/イギリス映画/99分/シネスコ
日本語字幕:栗原とみ子
配給:ギャガ