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ルノワール 陽だまりの裸婦
Renoir

2013年、10月4日(金)、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次ロードショーー


■ストーリー
 1915年、コートダジュール。“レ・コレット”(小さな丘)と呼ばれる広大な敷地に建つルノワールの邸宅を、自転車に乗った一人の女性が訪れる。ルノワール婦人からの紹介で、絵のモデルの応募に来たという若い女性。ところが夫人はその年、亡くなったばかり。とつぜん現れたアンドレと名乗る女性に驚きながらも、「君となら一緒にやれそうだ」と、ルノワールは歓迎する。
 
 翌朝から裸婦像のモデルとして働き始めるアンドレ、その夜、ルノワールは死んだ妻の夢を見る。「今度のモデルはどう?」と尋ねる妻に「光を吸い込む肌だ。よく見つけてくれた」と感謝するルノワール。ところが妻との間に生まれた3人の息子たちに話が及ぶと、ルノワールの顔には苦悶の表情が浮かぶ。昨年より始まった第1次世界大戦に兵士として従軍したまま、戻ってこない2人の息子たち。戦いで足を撃たれ、壊疽を起こしてしまった次男ジャンの安否を気遣うあまり、ルノワールは持病の発作に苦しんでしまう。


 父の心配をよそに、足を切り落とすこともなく、少尉へと昇進して帰還するジャン。その晩、家族での食卓。「前線へ戻る気はないだろ?」と確認するルノワールに、「医者が許してくれれば、戻るつもりだ」と告げる。驚いたルノワールは運命に逆らわず、自分を“浮き”だと思うようにとアドバイスするが、ジャンは「お得意の“浮き理論”か」と取り合わない。

 


■キャスト
ミシェル・ブーケ
クリスタ・テレ
ヴァンサン・ロティエ
トマ・ドレ
ロマーヌ・ボーランジェ
 




       

 

 翌日、アトリエへと向かったジャンは、裸婦モデルとなっているアンドレと出会う。ルノワールから彼女に首飾りをつけるよう頼まれたジャンはアンドレに話しかけるが「親しげな口調ね」と冷たくあしらわれてしまう。素直に自分の非を認めるジャンに好感を抱くアンドレ。二人は次第に打ち解けていく。


 泉へピクニックに出かけるルノワールたち。ルノワールは水辺ではしゃぐアンドレや使用人の女たちを見ながら裸婦の絵を描いている。ジャンがルノアールに「黒い絵の具を出すかい?」と聞くと、「ルノアールの絵に暗い色はいらない。人生は不愉快なことばかりだ。不快なものを増やすことはない」と返すルノアール。貧困、絶望、死、そして戦争にも興味がないという父に対して、兵士として戦地に赴いたジャンは戸惑いを隠せなかった・・・

※   ※   ※

 

       
 




       


■プロダクション・ノートより


父の偉大さに押しつぶされていたジャンは、当時、特にやりたいことも持たない若者で、見せかけの快活さをまとった世捨て人であり、塹壕での友愛から慰めを得ていました。
最後の作品が真の作品だといわれるにもかかわらず、オーギュスト・ルノワールの晩年は、締めくくりという考えを持つことが一切許されませんでした。
妻の死も、少しづつ不自由になる病も、彼の最後の作品に影響を与えませんでした。臨終を迎えるまで、高貴で英雄的であり続け、欲望の恩恵と生きることの喜びのすべてを留めようと心に決めていたオーギュスト・ルノワールは、自分の庭の中に、自分が尊敬する巨匠たち、ジョルジョーネ、ティツィアーノや18世紀のフランス派の画家が描いた地上の楽園を再現しました。一生を通して、女性、花、子供たちをまず描きました。
地中海のエデンの園の中心に作った、木とガラスでできた不思議なアトリエ―画家のアトリエというより、グリフィスの初期のスタジオにより似ているもの―を想像している時、この映画の構想を思いつきました。まさに同じ場所で、ジャンが映画のことを思いついたように。
女優になると決心したアンドレは、この若者に、彼女の映画への情熱を吹き込みました。彼はアンドレの言うがままにしました。水の流れの中のコルク栓のように、人生は流れに身を任せるものだという、父の理論に忠実に従うかのように。
後にジャンは、こう認めています。「私が映画界に足を踏み入れた理由はただ1つ、妻をスターにするという願望だけだった」と。


 

 









■監督:ジル・ブルドス 
1963年、フランス生まれ。短編の『L'éternelle idole』(89)、『Relâche』を経て、『Disparus』(98)で長編監督デビュー。ほかに『Inquiétudes』(03)、『メッセージ、そして愛が残る』(10)などがある。


■スタッフ
監督・脚本:ジル・ブルドス
脚本:ジェローム・トネール
撮影:マーク・リー・ピンビン
美術:ブノワ・バルー
衣装:パスカリーヌ・シャバンヌ
編集:ヤニック・ケルゴー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
偽装画家:ギー・リブ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://renoir-movie.net/

(C) 2012 FIDELITE FILMS / WILD BUNCH / MARS FILMS / FRANCE 2 CINEMA
原題:Renoir
2012年/フランス/フランス語/アメリカン・ビスタ/111分
配給:クロックワークス、コムストックグループ