home
home

 

大統領の料理人
Les Saveurs du Palais

2013年9月7日(土)シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開


■ストーリー
 男だけの世界、南極基地に女性がいる!? 取材に訪れたあるオーストラリアのT Vクルーが意外な場所で遭遇したのは一人の女性シェフ。彼女は何者で、どこから来たのか。興味を持った取材班たちの前で、少しずつ彼女のことが明らかになっていく。実は彼女が特別な厨房で奮闘するのは初めてではなかった。
 自然豊かな田園風景が広がるフランスの片田舎。小さなレストランを営むごく普通の女性オルタンス・ラボリを、フランス政府の公用車が迎えに来た。農家のストーブの前から宮殿に招かれたシンデレラのように、オルタンスが連れて行かれたのはパリのど真ん中のエリゼ宮だった。なんとミッテラン氏からの直々の指名で、大統領のプライベートシェフに抜擢されたのだ。

 

 


■キャスト
カトリーヌ・フロ
ジャン・ドルメッソン
イポリット・ジラルド
アルチュール・デュポン
ジャン= マルク・ラトリフ
アーリー・ジョヴァー
ブライス・フルニエ
ジョー・シェリダン
フィリップ・ウシャン
ローラン・プエトルノ
 




       

 

 しかし、官邸は独特の儀礼や規律の世界。厨房も料理を美味しくつくることを二の次にした細かい約束事で縛られていた。そのうえ代々、男たちだけで営まれてきたシェフたちのヒエラルキーの中で、オルタンスは完全に“招かれざる客”だった。それでもオルタンスは料理のこと以外は目もくれない。彼らの嫉妬や専横に構わず、美味しい料理をつくることに真摯に豪快に突き進んでいく。
 彼女がいちばん気にしていたのは、自分の料理が大統領をハッピーにしているかどうかだけ。オルタンスにはなかなか大統領の声が聞こえてこないし、秘書官たちは、大統領が料理のことなんかに割く時間はないといわんばかりだ。何層もの厚い組織の前で、彼女の料理人としての自然な気持ちはいくつもの壁にぶつかる。

 今まで官邸では、食べる人の気持ちを確かめながら料理をつくる料理人はいなかったのだ。それでもオルタンスは挫けない。食事の後の皿の様子、給仕たちの観察、そしていくつものメモを書き、あらゆる方法で大統領の気持ちを直接確かめようとする。
 当初は値踏みするような目で遠巻きに眺めていた同僚たちも、いつしか彼女の料理の熱意と腕前に刺激され、官邸の厨房に少しずつ新風が吹き始める。実は、オルタンスのまっすぐで新鮮な料理は、大統領の心の中に確かな絆をつくっていた。大統領のお皿に食べ残しがなくなってきたある日、彼女に直接声をかけてきたミッテランの口から意外な話が飛び出す・・・・・。


※   ※   ※

 

       
 





       


■プロダクション・ノートより

共同脚本・製作 エチエンヌ・コマール

3 年前のル・モンド紙の記事が、この映画が生まれるきっかけになった。ミシュランスター・シェフでもないごく普通の女性料理人が大統領のために料理をつくっていた、その事実に魅了された。
その女性料理人ダニエル・デルプシュの地元ペリゴールにいたコマールは、すぐに連絡をとった。「日曜日の昼食にいらして。」彼女からのシンプルな誘いを受け、コマールは彼女の元へ訪れると、そこには想像もできない時間が待ち受けていた。
隠れ家のような洒落たゲストハウスで供される素晴らしい食卓と多彩なゲストたち。そこにはニューヨークの有識者、経済ジャーナリスト、国際弁護士などが同席し笑顔で食事を楽しんでいた。タイプの異なる人々をひとつにまとめる抱擁力。集まる人々を見ただけでも、彼女の奥深さと手腕がわかった。彼女の語る人生もまた、驚きの連続だった。

1970年代〜80年代、女性が社会で独立し活躍することが非常に稀だった頃から、彼女は一人で農場でのフォアグラやトリュフの生産を手がけ、南極からエリゼ宮まで、必要とされる場所ならどこにでも行き、料理をつくった。
彼女はいつも意外な所へ出かけていき、献身的な仕事によって閉塞した場に風穴を開けてきた。彼女はまるで冒険家で、人生の選択はいつも料理と結びついている。シンプルかつ多様、ローカルかつ世界的、伝統と現代的な感覚の共存。彼女は物語にうってつけの人物だった。すっかり魅了されたコマールはすぐに脚本を書きはじめ、この映画の製作者として動きだした。

厨房や料理の映像化は、極めて重要なことだった。撮影現場には本物の厨房をつくり、本物の三人の料理チームが置かれた。
料理を担当したのは、パリの2 つ星の名店のシェフであったジェラール・ベッソンと、オテル・リッツ・パリの先代のヘッド・シェフであったギー・ルゲ。ジェラール・ベッソンは、若干28歳でM.O.F(. フランス国家最優秀料理人賞)を受賞した実力の持ち主。
またギー・ルゲもオーギュスト・エスコフィエの最後の孫弟子として現代の風味をつけた伝統的フランス料理に貢献しているシェフで、まさに二人とも襟にトリコロールのリボンがついている人間国宝的料理人だ。
さらに彼らの料理をより魅力的に見せるために、雑誌「ELLE」のフードスタイリストであるエリザベス・スコットが監修、見た目だけでなく、料理をしている時の音など細部にこだわり、映画史に、そしてフランスグルメ史に刻まれる<美味しい>シーンの数々が生み出された。三人が求める物はただ一つ、料理と美しい食器のハーモニーだ。CMでよく見るような料理でなく、本物の美味しさを映像で切りとるための惜しみない努力が注がれた。


 

 









■監督:クリスチャン・ヴァンサン
1955年、フランス、パリ生まれ。
『グラマラス・リゾート』(85/未)、セルジュ・ルロワ監督作『密室の渇き』(88)などの編集助手を経て、『恋愛小説ができるまで』(90)で本格的な監督、脚本家としてデビュー。
本作は、フランスで瞬く間にヒットし、ヴァンサンはこの作品で第16回セザール賞の脚本賞、新人監督作品賞を受賞。監督・脚本を担当した作品としては、イザベル・カレ主演の『Quatre etoiles』(06/未)、また脚本担当作品として、セドリック・クラピッシュ監督ロマン・デュリス主演のラブストーリー『パリの確率』(99)などがある。

■スタッフ
監督・脚本:クリスチャン・ヴァンサン
脚本:エチエンヌ・コマール
撮影:ローラン・ダイアン
美術:パトリック・デュラン
衣装:ファビエン・カタニー
編集:モニカ・コールマン
音楽:ガブリエル・ヤレド
製作:エチエンヌ・コマール、フィリップ・ルスレ

     

 

 

   


■オフィシャルサイト

daitouryo-chef.gaga.ne.jp

(C)Les Saveurs du Palais
(C)2012-Armoda Films-Vendome Production-Wild Bunch-France 2 Cinema


原題:Les Saveurs du Palais
2012年/フランス/95分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
日本語字幕:古田 由紀子
配給:ギャガ