home
home

 

ウォールフラワー
The Perks of Being a Wallflower

2013年11月22日(金)TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラスト渋谷他順次公開


■ストーリー
 高校生活が始まったけれど、チャーリーには、楽しいことなんか何もなかった。友だちは0人、誰も挨拶してくれないし、ランチの時も独りだ。声をかけられるとしたら、イジメか悪口。唯一、国語の担任のアンダーソン先生だけが、やさしい言葉をかけてくれた。
 両親との仲は問題ないけれど、心を開く相手じゃない。姉のキャンディスは自分の恋愛で手いっぱいだ。チャーリーは課題図書「アラバマ物語」に没頭し、心を震わすザ・スミスの「アスリープ」を繰り返し聴くことで、なんとか不安で味気ない日々を耐えていた。

 それは、チャーリー史上、最大の勇気だった。学校のアメフトの試合を見に行き、上級生で同じ授業を選択しているパトリックに、自分から声をかけたのだ。エキセントリックに見えるパトリックだが、気さくに「一緒に座らないか?」と勧めてくれる。そこへ同じく上級生のサムが現れる。彼女が微笑んだだけで、周囲はキラキラと輝いた。
試合が終わると、二人は当然のように店に誘ってくれる。音楽の話で盛り上がり、チャーリーはつい知ったかぶりをするが、彼らはバカにせず、さらりと正してくれた。「付き合って、どれくらい?」そんなチャーリーの質問に爆笑する二人。サムの母親とパトリックの父親が再婚、彼らは義理の兄妹だった。


 

 


■キャスト
ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー
 




       

 

 プロムの夜、チャーリーは定位置の壁際にいた。自分たちが大好きな曲に変わり、フロアの中央へ走り出すサムとパトリック。周囲を圧倒する存在感でハデに踊る二人を見て、ぎこちなくリズムにノリながら、ダンスの輪に入るチャーリー。ついに、壁の花からの卒業だ。
その後は初パーティを体験、ハッパ入りのブラウニーでラリって、パトリックとアメフトの花形選手ブラッドのキスを目撃する。たった一人の友だちだったマイケルが去年自殺したと打ち明けると、サムは心を痛め、パトリックは皆を促し「チャーリーに」と乾杯してくれた。「はみ出し者の島へ、ようこそ」サムの言葉で仲間になれたことを知り、感激するチャーリー。
帰り道、ピックアップトラックのカーラジオから流れる“完璧な曲”に息をのむ3人。トラックの荷台に上り、腕を広げてフルボリュームの曲を全身に浴びるサムは女神のようだ。チャーリーは、「無限を感じる」と呟くのだった。

 サムとパトリック、仏教徒でパンクのメアリー・エリザベス、映画学科志望のアリスで編集するミニコミ誌を手伝い、彼らがパフォーマンスする『ロッキー・ホラー・ショー』を応援に行き、文才を認めてくれるアンダーソン先生に個人指導を受け、サムの大学受験の勉強を手伝い──チャーリーの毎日は楽しいことだらけだ。つまらないのは、サムの彼氏がチャラい大学生だという事実だけ。
チャーリーにとって、辛い思い出のクリスマスがやって来る。大好きだったヘレン叔母さんが、チャーリーへのプレゼントを買いに行く途中に交通事故で死んだ日だ。この時期、チャーリーはいつも不安定になってしまうが、今年は違う。仲間が側にいてくれる。チャーリーが作家志望だと知り、パトリックは「偉大な作家は皆オシャレだ」とスーツを、サムは「仲間のことを書いて」とタイプライターを贈ってくれる。でも、なんといっても素晴らしいのはサムがくれたキス、チャーリーにとってのファースト・キスだった・・・


※   ※   ※

 

       
 





       

■プロダクション・ノートより

大ベストセラー小説を、自らの手ですぐに脚色しなかったワケ

1987年、17歳のスティーブン・チョボスキーは、ピッツバーグで開催された映画祭で、ホラーの帝王ジョージ・ロメロ監督に、「恐怖心を忘れるな。1作目の脚本が製作されることを願う」と書かれたサインをもらう。結局、1作目の脚本の製作は叶わなかったが、最初の小説「ウォールフラワー」は1999年に出版され、ある学校では必読書として、他の学校では禁書として扱われ、カルト的人気を博した。
「この小説は、とても個人的な理由から書いた。私生活で辛い時期を経験していて、自分自身のために答えが必要だったんだ」とチョボスキーは振り返る。非常に個人的な性質をもつ小説が、非常に世界的なものになったのだ。「自分の物語を誠実に語ったから、皆が愛してくれたのだと思う」と彼は語る。

小説の驚くべき成功によって、映画化のオファーがいくつも届いたが、チョボスキーはすべて断り、他の映画やTVシリーズの脚本に携わった。だが、ある時期がきたら、チャーリーの物語に戻るつもりだった。小説に誠実な脚本を書く準備が整うまで、自身の腕を磨こうとしていたのだ。
チョボスキーがそう決意したのは、小説のファンたちに感じていた大きな責任からだった。読者から何百という手紙やeメールを受け取ってきてわかったのは、とてもたくさんの子供たちが孤独と闘っていることだった。死のうと思っていた子供たちが、彼の小説を読んで生きることを選んだのだ。

映画界の伝説的人物からの、重大なアドバイス

チョボスキーが自身の小説を脚色していることを聞き付けた、ミスター・マッド・プロダクションズのプロデューサー、リアンヌ・ハルフォン、ラッセル・スミス、そしてジョン・マルコヴィッチは、彼に連絡を取った。初監督はいつでも最大未知数だが、彼らは全員チョボスキーが監督する必要があるという意見で一致していた。
チョボスキーは、撮影が始まる前に、マルコヴィッチから重要なアドバイスを受けたと語る。「ジョンは、自分がこの脚本を好きな理由は、偽りのない心があるからだと言ってくれた。偽りのない心があれば、感傷的になる必要はない。彼は『常に妥協しないテイクを撮れ』と言った。僕はそれを決して忘れなかった。僕は気の弱いお人よしだから、ロマンティックなテイクを撮りたくなる。でもしょっちゅう、そのシンプルな言葉が、感傷的になり過ぎることから僕を救ってくれた」。
小説は10代の若者に読まれることが多かったが、映画の魅力は年齢を超えたものになったと、チョボスキーは確信している。「できれば親子で見て、自分が経験してきたことについて、互いに話し合わずにいられない気持ちになってもらいたい。僕の望みはそれだけだ」。


 

 









■監督:スティーブン・チョボスキー

1970年、アメリカ、ペンシルべニア州生まれ。南カリフォルニア大学映画・テレビ学部脚本科卒業。初監督作『The Four Corners of Nowhere』(95)は、サンダンス映画祭でプレミア上映される。
1999年、小説「ウォールフラワー」を出版。米国内で100万部以上を売り上げ、14か国において12の言語で出版される。高校や大学でも頻繁に授業で使用され、推定読者数は500〜700万人にのぼる。また、過去10年間に5度、アメリカ図書館協会の“最も頻繁に問題視される書籍10冊”のリストに挙がっている。
21世紀に禁書となった全書籍のトップ100では、15位になる。
その後、ブロードウェイの大ヒットミュージカルを映画化した『RENT/レント』(05)の脚本を手掛け、高い評価を得る。世界滅亡後を描くTVシリーズ「ジェリコ 〜閉ざされた街〜」(06〜08)では、脚本と製作総指揮を務める。このシリーズは、打ち切りに対して怒ったファンが、抗議としてTV局に4万ポンド(約1.8トン)のピーナッツを送ったことでTV史上に名を残す。




■スタッフ
監督・原作・脚本:スティーブン・チョボスキー
撮影:アンドリュー・ダン
美術:インバル・ワインバーグ
衣装:デヴィッド・C・ロビンソン
編集:メアリー・ジョー・マーキー
音楽:アレクサンドラ・パッドサヴァス
製作:ジョン・マルコヴィッチ、リアンヌ・ハルフォン、ラッセル・スミス

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://wallflower.gaga.ne.jp/

(C)2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

原題:The Perks of Being a Wallflower
2012/アメリカ/103分/カラー/ビスタ
日本語字幕:石田泰子
配給:ギャガ