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大統領の執事の涙
THE BUTLER

2014年2月15日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー


■ストーリー
 黒人差別が日常で行われていた時代のアメリカ南部。幼いセシル・ゲインズは、両親と綿花畑で奴隷として働いていた。しかし、ある事件で親を失い、ハウス・ニガー(家働きの奴隷)として雇われる事に。このままでは、命が危ないと察したセシルは、何も持たずに綿花畑をとび出す。

 何日間も食べることができずにさまよい、行き着いたデザートのショウ・ウインドウ。セシルは無我夢中でケーキをほおばる。ホテルの執事メイナードは、そんなセシルに仕事を与える。

 努力の末、見習いから高級ホテルのボーイになった青年は、その仕事ぶりが認められ、遂にはホワイトハウスの執事となる。

 


■キャスト
フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、デヴィッド・オイェロウォ、
イライジャ・ケリー、ロビン・ウィリアムズ、ジェームズ・マースデン、
ミンカ・ケリー、リーヴ・シュレイバー、ジョン・キューザック、
アラン・リックマン、ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
アレックス・ペティファー、アムル・アミーンほか
 




       

 

 キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争……アメリカが大きく揺れ動いていた時代。気づけば、歴史が動く瞬間を最前線で見続けることとなったセシル。

 ホワイトハウスの執事として求められるもの、それはその空間の“空気になる”事。国を揺るがす重要な会議に立ち会えば、存在を消して仕事をこなし、黒人として大統領から質問をされれば、「求められる回答」で答え、いつでも忠実に働き続ける。
 心の中には黒人としての、そして身につけた執事としての“誇り”を持ちながら。その姿が歴代大統領や共に働く仲間の信頼を勝ち取り、さらには世間の『黒人への意識』を変えるきっかけともなっていく。

 彼の仕事に理解を示しながら、寂しさを募らせる妻。父の仕事を恥じ、国と戦うため、反政府運動に身を投じる長男。
その兄とは反対に、国のために戦う事を選び、ベトナムへ志願する次男。
大統領の執事でありながらも、夫であり父であったセシルは、家族と共にその歴史に翻弄されていく・・・・


※   ※   ※

 

       
 





       


■プロダクション・ノートより

監督:リー・ダニエルズ インタビュー

Q:本作の起源について、また製作のローラ・ジスキンとの仕事について・・・。

この企画を、ローラから受け取った。ワシントンポスト紙に掲載されたウィル・ヘイグッドの記事もよかったし、『プレシャス』の後に撮る作品として、ローラと一緒に仕事がしたいと思った。一時期はデンゼル・ワシントンのために書いていたが、彼は主役を断ってきた。ウィル・スミスもそうだった。一方、脚本はできあがったが資金の工面がつかず、スタジオが製作から手を引いてしまった。でもローラの製作に対する情熱は冷めなかった。だから「僕はインディ映画の出身だし、どうすればいいか教えるよ」と彼女に言ったんだ。そして僕たちで資金集めを始めたんだ。

その間にローラはがんが進行していたが、彼女はクリエイティブ面でも資金調達面でもずっと僕を助けてくれていた。彼女が1週間僕と会うためにニューヨークに飛んできたときは、僕たちはアッパーイーストサイドの彼女のホテルで仕事をした。その時彼女は外出できないほど、具合が悪くなっていたんだ。だが翌週の火曜日には、彼女はサンタモニカの自宅に戻った。宝くじに当たった黒人女性がこの映画に投資したいというんだ。僕はローラに言った。「凄いね、君とは数日前に会ったばかりなのに、もう別の投資家を見つけたんだね。君って本当に驚きだ!」。その数日後、彼女は昏睡状態に陥り、日曜日の夕刻に亡くなった。これはローラのための映画でもあるんだ。

Q:なぜこの映画を作りたいと思ったのですか? この物語のどこがあなたにとって重要だったのですか?

これまで、オバマ政権が始まってからも、公民権運動を親子の目を通して時系列で描かれることはなかった。この映画は、僕たちが何かをできるようにするために闘ってきた人々のことを、僕が生きている時代も含めて、バランスよく見ようとしている。それは黒人や白人を超越していて、そこが僕には重要だった。これは公民権運動の物語である以上に、父と息子の物語だ。人種を超越し、アメリカを超越している、世界共通の物語だ。歴史の勉強だけじゃない。家族の物語なんだ。

それに、セシルは僕の父に似ている。彼は、僕の父と同じように、白人に意思を伝える方法について異なる見解をもっている。彼が執事としてホワイトハウスに入ったのは、そういう方法で自分の国に仕えることができると感じたからだ。彼は自分の家族を支えるために仕事をすることに誇りをもっている。だが彼の息子ルイスはそれを恥ずかしいと思っている。セシルには従順であることと仕事をすることの違いが解らない。一方でルイスは、父とは違う生き方を求めて、選挙権のためにマーティン・ルーサー・キング・ジュニアとともに行進する。ところがキングが殺され、彼は従順さが機能しないことに気づく。そしてもっと攻撃的になり、マルコムXに倣い、ブラックパンサー党に入る。こうして、ホワイトハウスで白人のため、大統領のために働くセシルとは、反対の道を進んでいく。

誰が正しくて誰が間違っているのか。大統領に仕えることや、従順に仕えることは? 白人に受け入れてもらい信頼を得ることは、有色人種のなかでも上等なことになるのか? 或いは、信じることのために行進し正々堂々と意見を述べ、喜んで死ぬことが正しいことなのか? セシルと彼の息子は角を突き合わせるが、それこそが僕を『プレシャス』に導いたのと同じ、心からこの物語に飛び込みたいと思わせてくれた要素だった。


 

 









■監督:リー・ダニエルズ
初プロデュース作品『チョコレート』(01)で、米アカデミー賞受賞。唯一のアフリカ系アメリカ人プロデューサー。
『サイレンサー』(05)で監督デビュー。監督二作目の『プレシャス』(09)で、米アカデミー賞6部門にノミネートされ、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞を受賞。
近作に、脚本、監督、製作を担当した『ペーパーボーイ 真夏の引力』(12)がある。


■スタッフ
監督・製作:リー・ダニエルズ
脚本:ダニー・ストロング
撮影:アンドリュー・ダン
美術:ティム・ガルヴィン
衣装:ルース・カーター
編集:ジョー・クロッツ
音楽:ロドリーゴ・レアン
特殊メイクデザイナー:マシュー・マングル
メイクアップ・アーティスト:ダグラス・ノーエ
製作:パメラ・オアス・ウィリアムズ、ローラ・ジスキン、バディ・パトリック、カシアン・エルウィズ
製作総指揮:マイケル・フィンリー、シーラ・C・ジョンソン

     

 

 

   


■オフィシャルサイト
www.butler-tears.asmik-ace.co.jp

(C) 2013, Butler Films, LLC. All Rights Reserved.

原題:THE BUTLER
2013年アメリカ/カラー/ビスタサイズ/ドルビー・デジタル/132分
日本語字幕:牧野琴子
後援:アメリカ大使館
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給:アスミック・エース