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ワレサ 連帯の男
Wałęsa. Człowiek z nadziei

2014年4月5日(土)より岩波ホールほか、全国順次ロードショー


■ストーリー
 1980年代初頭、グダンスクのレーニン造船所で電気工として働くレフ・ワレサの家に、イタリアから著名な女性ジャーナリスト、オリアナ・ファラチが取材に訪れたところから映画は始まる。
 
 ワレサの話は1970年12月に起こった食料暴動の悲劇から始まる。物価高騰の中で労働者の抗議行動を政府が武力鎮圧した事件だ。この時、ワレサは両者に冷静になることを叫び、検挙された際、公安局に協力するという誓約書に署名を強いられた。
 グダンスクのアパートで質素に普通の生活を送っていたワレサとその妻ダヌタ、そして産まれてくる子供たち。この事件以降、一家は、歴史的転変期の真只中に深く関わってゆき、ワレサはその中で次第に類まれなカリスマ性と政治的感性を発揮してゆく。

 ワレサが乳母車に非合法ビラを隠していたために、生後数か月の娘と一緒に逮捕される一方で、ダヌタは家宅捜査を行う公安局職員に対して果敢に立ち向かう。
 1970年の事件の9回目の記念日に、造船所の正門前でワレサは演説しながら、リーダーとしての使命を自覚してゆく。半年後の1980年8月、彼はレーニン造船所のストライキ指導部のトップに立ち、「連帯」委員長として自由と権利のために戦う反体制の象徴になる。同月31日、共産党政府と労働者の間で、社会主義圏では画期的な政労合意が調印された。

 


■キャスト
ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ(レフ・ワレサ)
アグニェシュカ・グロホフスカ(ダヌタ・ワレサ)
マリア・ロザリア・オマジオ(オリナ・ファラチ)
ミロスワフ・バカ(クレメンス・グニェフ―造船所所長)
マチェイ・シュトゥル(神父)
ズビグニェフ・ザマホフスキ(ナヴィシラク―公安職員)
ツェザルィ・コシンスキ(マイフシャク―公安職員)
 




       

 

 しかし1981年12月、戒厳令布告直後、ワレサは住宅から連れ去られ、この1年間の軟禁は、彼にとって大きな試練となった。ワレサは自由を奪われ、活動家の仲間との接触を剥奪される中で、政府への協力を求められるが拒む。

 1982年11月にソ連邦のブレジネフ書記長が死去した直後、ワレサは軟禁から解放され、グダンスクで民衆の熱狂的な歓迎を受け、ふたたび運動に身を投じてゆく。1983年10月、ノーベル平和賞を受賞、出国を許されないワレサに代わり、ダヌタがノルウェイで行われた授賞式に出席、スピーチを行った。この受賞は彼の同胞にとっても励ましになった。
 やがて1989年、政権側と反体制である「連帯」、カトリック教会が参加した「円卓会議」で、ワレサたちは勝利する。そして1989年11月9日、東西ベルリンの壁が崩壊し、東ヨーロッパの民主化が進む。その6日後、ワレサはアメリカ・ワシントンの米国議会に招かれ、スピーチを行う。彼は、アメリカ合衆国憲法冒頭の「我々合衆国の国民は……」に倣って、「我々民衆は……」と始め、「今度は別の人々が壁を壊すでしょう。自由は人間の権利だからです」という言葉で結んだ。


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■プロダクション・ノートより

アンジェイ・ワイダ監督: インタビュー

Q:なぜ監督は、政治的にこれほど困難な映画の製作を決断したのですか?
映画『ワレサ 連帯の男』が、55年の及ぶ私の映画人生に取り上げたすべてのテーマの中で最も困難なものであることは、十分に承知しています。しかし、レフ・ワレサについての映画を作れる、しかも私が満足できるような作品として作れる監督は、私以外に誰も見当たらないのです。作るよりほかありません。

Q:現在のシナリオで映画『ワレサ 連帯の男』を作ろうと決める前に、別のシナリオを没にしたのですか?
ヤヌシュ・グウォヴァツキのシナリオは、私が最初に手に入れた、そして唯一のシナリオです。さまざまな変更はありましたが、それは当然のことであり、レフ・ワレサという、将来の観客に強い反応を引き起こす主題をめぐって映画が作られるのであれば、別の作り方はあり得ないのです。私は、「連帯」が共産党政府代表団と交渉を行っていた時期に、ワレサと知り合いました。それ以来、彼に賛嘆の思いを抱いています。映画はその思いの表現になることでしょう。

Q:主役を演じる俳優について、監督は具体的な俳優を思い浮かべていましたか? カメラ・テストをしてからようやく、誰がその役を演じるかが決まったのですか?
カメラ・テストは、主役はロベルト・ヴィェンツキェヴィチになるだろうという私の直感を証明しただけでした。私は、近年、素晴らしい若い俳優がポーランドに輩出していることを知っていますので、なおさらのことでした。

Q:この映画は誰に向けて作られましたか?
すべての人々ですが、まずは若者です。レフは政治に参加するとはどういうことかを示す良い例だからです。

(プレス資料より)

 

 









■監督:アンジェイ・ワイダ

1926年、ポーランド、スヴァウキ生まれ。第二次世界大戦中に、対独レジスタンス運動に協力、戦後、クラクフ美術大学に入学した後、ウッチ国立映画大学に転学し卒業。
1954年、『世代』で長篇映画監督デビュー。1957年『地下水道』でカンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。1959年『灰とダイヤモンド』でヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。1971年、『白樺の林』でモスクワ国際映画祭金賞受賞。1978年『大理石の男』でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。1981年『鉄の男』でカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞。
同年の戒厳令で、ポーランド映画協会長などの座を追われ、海外での映画製作を余儀なくされる。1986年『愛の記録』でポーランド映画界に復帰。1987年京都賞を受賞。その受賞賞金を基金として、クラクフに日本美術技術センターの設立を宣言。1989〜1991年、ポーランドの上院議員を務めた。1994年、磯崎新の設計による日本美術技術センター(現日本美術技術博物館)がクラクフに完成。その後、高松宮殿下記念世界文化賞、米アカデミー賞特別名誉賞、ベルリン国際映画祭金熊名誉賞などを受賞。

■スタッフ
監督:アンジェイ・ワイダ
脚本:ヤヌシュ・グウォヴァツキ
撮影:パヴェウ・エデルマン
美術:マグダレナ・デュポン
衣装:マグダレナ・ビェドジツカ
編集:グラジナ・グラドン、ミレニャ・フィェドレル
音楽:パヴェウ・ムィキェティン

     

 

 

   


(C)2013 AKSON STUDIO SP. Z O.O., CANAL+CYFROWY SP. Z O.O., NARODOWE CENTRUM

原題:Wałęsa. Człowiek z nadziei
2013年/ポーランド映画/ポーランド語・イタリア語/シネマスコープ/127分
日本語字幕:久山宏一、吉川美奈子
配給:アルバトロス・フィルム